氷
その日、サウスウィンド一帯は、寒波に襲われていた。
「むっ!これはきっとハルモニア辺りで、何らかの紋章が暴走してるんですねっ!その為の異常気象です!!」
「そんなあるようなない事言って…;」
つまりはまあ、寒い日の朝の事であった。
パリッ
「おおっ!」
パリンッ!
「おおおっ!!」
パリパキパキッ!
「カイルさ〜〜〜ん♪」
スキップで、水たまりの氷を割っていたカナタは、小犬のごとくカイルを呼びに城の中へと戻って行った。
「うわぁ…」
露出した頬を、包み込むような冷気の中、カイルは凍り付いた景色を眺めた。
「凄いですよねー!氷割るの楽しいですしーっ!」
「霜柱も立ってる…」
サクサクと楽しげに土の上を歩いて、感触を楽しむ。
「カイルさんカイルさん♪やっぱりこれだけ凍ってたら、池も凍ってるかもですよね♪」
「うん…多分、」
と言う事ならば、やる事は一つ。
池の前まで移動して来た2人は、思って来た通りの光景に笑みを零す。
「じゃじゃじゃじゃじゃ〜ん!」
「大丈夫?;」
ぷるぷると不安定に、池の上に立つカナタ。それをカイルは不安そうに見ている。
池の氷が厚く固まっていた為、無事に上に乗れたらしい。
「大丈夫みたいですー♪おー☆」
シャーーーッ!と音を立てて、革靴でスケートのように滑っている。なかなか上手い。
「トリプルジャーンプ!!」
「カナタ、危ないから;」
「大丈夫です〜♪カイルさんも一緒に乗ってみましょう!!」
そう言われると、なかなか楽しそうなのでカイルもそっと足を踏み出す。
…全然大丈夫のようだ。
2人分の体重を乗せても、池の氷は軋んだ音一つ立てない。
「…」
少し不安定な場に、緊張するがなれてみると楽しくなって来る。
「どきどきですよね〜♪」
「うん、」
ほのぼのと笑いあう2人だったが、その背後から、
「カナタ〜♪お姉ちゃんも参加よ〜〜〜!!」
「あ。」
思いっきりジャンプでこちらに来たナナミに、カナタは…
よかった…お風呂沸かしてもらってて…
と思ったらしい。
「へーっきしっ!;」
…フォローを入れておくが、ナナミの体重が重いとかそう言う問題ではなく、乗り方と言うものがあるのだ…。