夢の世界

 

 

夢の中に好きな人が出て来るとドキドキ。

好きな人の夢に自分は出ているのか、

―――好きな人の夢の中。覗いてみたくありません?

 

 

 

見られぬのならいっそ出てやろう夢の中!

…そんな訳で、またつまらない騒動が起こった。

 

「好きな人の夢の中に入る薬です〜♪」

「………」

また変な物を作って…とカイルは困った顔をしていた。

「これは薬を飲ます事によって隣に寝ている人の脳波と、自分の脳波を同調させる事によって…(云々)…まあ細かい説明と考証は無用です!!一緒に夢が見れるんですーーー!!」

「うん、」

しかしもはや、幻水とは何の関係のない話になってしまっている…。せめて、シンダルの遺跡から発掘した何かを使ってほしかった。

「で、一緒の夢見てもいいですかv?」

「…いいよ、」

少し考えて、カイルはそんなに見られて困るような夢は見ていない事と、カナタの小犬のような哀願に負けて、首を縦に振った。

「わ〜い♪今日はいい夢ですよ〜〜〜vvv」

「………」

「そして、ちゅー♪」

「!?」

不意打ちに、口移しで薬を飲まされ、焦るカイルだった。催眠効果もあったのか、一瞬で眠たくなってしまう…。

 

そして、夢の中へ…

 

「ふっ…カイルさんの夢の中進入完了ですーーー!!」

じゃ〜ん!とポーズを決めて少年は宣言した。しかし、周囲にカイルらしい姿はなく逸れてしまった事がわかる。

「ああっ!!;せっかく夢の中でカイルさんを押し倒して夢の中でもらぶらぶー♪深層意識からの意識をvな計画がーーーー!!;」

底が浅い。

…しかし、まあ最初の目的は、カイルを探す事だろう。

「―――――とは言っても、…どこから探すべきでしょうかね〜」

めぇーめぇーと鳴いて歩いている羊の上に乗り、カナタはあてもなく彷徨う。

羊の群れの中をぴよぴよとヒヨコが歩き、その周囲をコリー犬が走っている…。メルヘンだ。

空はピンク色でこそないが、コバルトブルーの綺麗な色で、今日の夢はなかなか精神状態が安定している状態で見ているようだ。

「平和ですね〜」

「めぇー」

羊が答える。

少々空しくなったカナタは、発想を変えてみる事にした。ここは夢の世界、それならば簡単に場面 転換ができるはず――――――そういう訳で、カナタはカイルを呼んでみる事にした。

「カイルさーーん!!」

「カナタ…?」

ひょこっと現れた、同じく羊の上に乗ったカイルに、カナタはパァアッと顔を輝かせ、――――そして落ち込んだ。

「カイルさん、その姿…」

「あ…今日、小さい時の夢見てたから…」

「…そうですか(泣)」

ちょーん、と5、6才程の姿で現れたカイルに、カナタは「さすがにこれじゃあ何も出来ないですっ…(涙)」と思ったらしい。…ミッション「夢の中から貴方をラブ洗脳☆」は失敗した。

そして、2人は雪うさぎの跳ねる草原を仲良く散歩した夢を見た。

 

 

夢の中、

そう上手く行く訳がないから、夢なのである。