バレンタイン(学園ネタ※一部テド4)

 

 

「カイルさんvバレンタインに僕にチョコくれますよね♪」

「え…; それはちょっと…」

 

―――と、カイルが返事を下途端、カナタはムンクの叫びと同じポーズで固まった。

 

「カナタっ!?;しっかりして!!;」

慌てたカイルが、ガックンガックンと肩を揺すると、ようやく少年は息を吹き返した。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜なっ、なんでですかー!?(泣)」

そして、号泣した。

「………………アレを、見て…;」

カイルはそっと指差す。

事情を説明する為に、まずカナタの視線をちょうど通りかかった製菓店へと向けさせた。

 

――――そこは、さながら戦場であった…。

 

手作りチョコを作ろうと、学校帰りの女の子達が、楽しそうにチョココーナーを巡り、何を作ろうかと囁きあっているのだ…。

振りまくオーラはピンク色で、どことなくお花畑のような世界――…

「…あそこに入るのは、ちょっと…;」

「わーーーーん!!(泣)愛が足りませーーーん!!!!(号泣)」

納得させられたカナタは、それでも納得できないと大泣きだ。

「ケーキとかクッキーなら、(※家に材料があるから)大丈夫だけど…;」

「チョコがいいんですーーー!!!!!(泣)」

―――製菓店の前で、少年からチョコが欲しいと訴えられるカイルは、年下の彼氏からねだられる恋人同士そのままとして映っており、非常に目立っていた…。

そして、周りの(微笑ましそうな)視線に負けたカイルは、チョコを渡す事をついに了承してしまうのだった…。…その場からすぐに移動したものの……どうせ目立ってしまったなら、その時に買ってしまえば良かったと気付くのは、既に帰宅してからのことだった。

 

 

う〜ん;とカイルは悩む。

普通の板チョコや生クリームを使用するようなチョコ菓子を作るならば、スーパー等でどうにかなったのだけれども。少年が求めたものは、少々厄介な代物であった。

『この本に載ってるトリュフとか希望しますー♪』

…一応どんなものが良いのかと希望を聞いたところ、カナタはわざわざクーゲル(トリュフボール)を使うレシピを示したのだ…。

柔らかな中身を入れる為に必要なチョコの外枠は…バレンタインの特設コーナーに行かなければ、手に入らない…。(取り寄せる時間はもう既に残っていない…)

計算か策略か…何かを試そうとするかのような、カナタの選択だ。

(トリュフボールって…何とか手作りで出来ないかな…??;)

カイル当人はその可能性に気づいていない様子で、何とかしようと頭を悩ませている。

「―――誰かに、相談してみようかな…?」

ふとカイルは呟いた。

 

 

で。

 

 

「カイカさんは、テッドにチョコ渡しますか…?」

「…(こっくり)」

何故だかカイカに聞いているカイルだった。

「じゃあ、あの…材料はどうやって…;」

「…」

材料の購入についてカイカに相談すると、相手は少し考えてカイルと手を繋いだ。

「?」

「…」

そして、そのまま手を引かれる。

既に授業は終わり、帰り支度も出来ていた為、カイルは素直に引っ張られるまま着いていく。

すると―――…

 

「あ!カイカ来た来た!」

「早く行かないと、店が混んでしまいますよ」

 

「いっしょ。」

女の子の友達と一緒に行く、という意味なのか、一緒に行こうという意味なのか…とにかく、カイルは一緒に行く事になった。

 

 

 

ポーラとジュエルの(面白がった)意見により、コートを着て、可愛らしい形にマフラーを結ぶと、店内に紛れても全く目立つ事はなくなった…。

それはそれでどうかとは思うものの、目的は達成できたのだから…とカイルは何とか自分に言い聞かせる…。

そう、例え女性陣により、居辛い店内をくまなく探索させられたり、ショッピングの衣装で遊ばれたりしても、だ。(…ちなみに、カイルには女性陣に買ってきてもらうという選択肢は端から用意されていなかったようだ…。)

自宅に戻った時、カイルは完全に疲労困憊していた…。

 

 

 

――――――そこまでして向かえたバレンタイン当日…。

 

「あvカイルさーん♪♪」

「…………………」

 

カイルの目の前では、カナタが他の女生徒からチョコを受け取っている光景があった。

しかも、女生徒は受け取ってもらえたのが嬉しかったのか、笑顔のまま立ち去っている。

「…………………」

「……カイルさん?;」

――カイルだって人間だ。

たまには怒る事もあるし、何かの限界がぷつっとくる事もある…。

特に、とてつもなく恥ずかしい試練を乗り越えてまでチョコを作った今は………。

「カ、カイルさん…?;何か様子〜…」

「………」

 

にーっこりと、カイルは笑った。

 

―――そして、そのまま手に持っていたチョコを、パーン!と床へと投げつけた。

「ギャーーー!!;カイルさーん!!?;それ僕のチョコじゃ…!?;」

はっし!とそれに縋るカナタにも、ニコニコと笑顔を絶やさないままだ。

「もういらないと思ったんだけど…?」

「要りますーーー!!!!;絶対要りますーーーーーー!!!!!命と同じくらいカイルさんの愛の手作りチョコは必要ですーーーーーー!!!!!;―――――ハッ!!;カイルさん!何か誤解があるみたいですけど!今この手に持っているチョコは、お約束通りの展開の!今席を外しているジョウイに渡して欲しいと預かっただけのチョコですーーーーーーーー!!!!!;(必死)」

 

 

 

…(何とか誤解は解けたものの)この日、1人の少年が恋人の恐ろしさを知った…。

 

 

そう言えば、やってなかったな〜と、学園ネタでバレンタインをば…(笑)

殆ど学園ネタとか意味を成してませんがね!(威張るな!!;)