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打倒冒険者を掲げたものの、具体的にはどうするか考えていない。
………とりあえず、小さいままではいけないだろう。うん。
おれはお気に入りの泉に向かう。
そして、水を呑む!呑む!呑む!
何をしているのかと仲間が見守る中、おれの体積はは仲間よりも100倍(おれの気持ちの上で!)は膨らんだ。
ちなみに中身は水なので、吐き出せば元のサイズに戻る。
後は―――

ぐぐぐっ…

生前の姿だろう人の形を作る。
…透けた水色の体色の人間はいないだろうが、周りの仲間達は弾んで凄いと伝えてくれる。
とりあえず、しゃがみ込み、掌サイズになった仲間を掬い上げる。
…ぷよぷよで気持ちがいい。(いや、通常サイズでもぷよぷよ戯れるが、遊びと勘違いされてのしかかられまくり、感触を楽しむ所ではなくなるのだ)
そんな訳で、思わずピンク色の仲間を頬擦りしてしまう。可愛い!
…………いやいやいや、こんなことをしている場合ではない!皆を守る為にも、まず―――この身体を使って避難所と罠を作成しよう!
………穴を、掘るとか!

そんなことを考えていると、ガサリと近くで足音が聞こえた。
ハッ!冒険者か!!
予想通り、そこには見習い魔法使いらしい女の子が混乱したように立ち尽くしていた。
十中ハ九半透明の人の形をしたおれが何なのかと考えているのだろう。
しかし!先手必勝!!
身体に蓄えた水を一点に集中し、魔法使い目掛けて噴き出す。主に目を狙って!
甲高い悲鳴を上げた女冒険者に、続けて体積の減った自分の身体を張り付かせる!
窒息しろ〜〜〜っ!!
杖を振り回そうと、もがこうとも、スライムの柔らかボディは剥がれないぜ!!………でも魔法で自分の顔面を焼く勇気があるなら、剥がれそうだ…。うん。
そんなことを考えつつ、暫くそうしているとピクピクと痙攣した後、魔法使いは動かなくなった。
おれはそっと地面に下りる。た、倒した!?

 

ガサガサガサッ!

 

っ!!
気が緩んだ瞬間、背後からこの魔法使いのパーティーメンバーだろう見習い剣士が現れた!
当然スライムに襲われた仲間を助けようと、おれに向かって剣を振り上げる…!もう…ダメかっ…!

(さようなら…!おれの短かった第2の人生…!)

動けなくなったおれの目の前で、先程抱き上げたピンクのスライムが剣士の口目掛けて弾丸のように飛び込んだ。
…………
………?
…え、えぇ!?
もがき苦しむ剣士君は、どうすることも出来ずにその場へ倒れ込んだ…。

――――ぱらっぱっぱっぱ〜♪

…はっ!どこかでレベルアップの音が響いた!?
レベルが上がったと判断していいのだろうか!?
心なしか軽くなった身体で倒れた剣士の側へよると、口からピンクのスライムが嫌そうな感じで這いずり出てきた。
無事で良かった!!
スリスリと身体を擦り付ける(驚いたショックで水が漏れ、元の体積に戻った。…おもらしじゃないからね!)と、ぶるぶると身体を震わせ、おれを連れて泉へ向かう。身体が汚れて気持ち悪いらしい。
そして泉から上がったおれ達2匹を待ち受けていたのは、カラフルなスライム達の熱烈な包容の嵐だった!
うん、もうね…色混ざっちゃうかと思った。

こうしておれ達は人間達への反逆の狼煙を上げたのであった!!…ちょっと大袈裟だったかもしれない。

 

 

後、冒険者達のはじまりの町ではスライムに負けたPTの噂で持ち切りだったとか……(生命維持システムとかで気絶した冒険者は最寄りの町へ戻される仕組み。)



 



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