エイプリールフール。
「いいですか、カナタ殿?
戦術的に虚言を用いることはありますが、基本的にウソはいけないことです。」
「はい!わかってますよー!クラウスさん!」
良い子のお返事だ。
「はい、ではウソをつくという習慣を行う、4月1日のイベントは…」
「でもですねっ!エイプリールフールはウソをついて良い日なんです!!だから、この日はウソをついて良いんですよ!!」
「…父上ッ!; やはり私ではムリですっ…!(汗)」
子供さながらの純真な瞳で弁明され、クラウスはその場で泣き崩れた――――…
4月1日。
誰が決めたかエイプリールフールの日。
同盟軍本拠地では、人々は妙な緊張感に包まれていた。
すなわち、騙されてなるものかという意地の張り合いである。
子の同盟軍のリーダーカナタが流行らせた習慣は、明らかに兵士らの信頼感やら連帯感を失わせてしまっている…。かなりの大問題だ。
カナタ本人に言わせれば、「そんなモンでなくなるくらいの信頼ならとっととなくなったほうがマシですよv」…という事だったが。管理の立場のものにしてみれば、たまったものではない。
なんとかエイプリールフールまでに教育を行おうと、クラウスに押し付け…もとい、任せたのだが、やはりどうにもならなかったらしい。
殺伐とする城内で、一人呑気なのは、元凶である少年だけだ。(後は、一部の我関せず主義のものと、彼の義姉のみ)
「あははっははははーーv楽しいですねーvv」
この殺伐とした雰囲気が!と、他人の不幸は蜜の味を素で味わえる少年は言う。
その暴挙を止められるはずのカイルはというと、今この場におらず…怒られる事がわかっている少年が珍しくもカイルから逃げに逃げていたりした。
「〜〜〜〜(怒)」
そこで、さすがに我慢の限界を迎えているものがいた。
軍師であるはずのシュウだ。
「カナタ殿…ッ(怒)」
「何ですかぁ?シュウ軍師〜?」
両者ともに、心に思っていることを表に出さない(ように見えて実は出している)呼びかけで話す。
「――――いいでしょう、それほどまでにやりたいというならば、もう止めはしません…」
「へ〜?どういう風の吹き回しですか?天変地異でも起こるかな〜」
「(怒)ッ…その代わり、今日一日はずっと本当のことは一切喋らないでもらいましょう…!」
「へえ…」
キラリとカナタの瞳が光った。
つまり、反対遊びである。
珍しく粋な計らい(?)を見せたシュウの様に見えるが、水面下の争いはそんな生易しいものではない。
「―――シュウさん、」
「…なんですかな?」
「僕実は貴方のことを事を心の底から尊敬しています!
むしろ父や兄のごとく敬愛してます!的確な作戦能力や見事な長髪!!これを尊敬せずに誰を尊敬するって言うんですかっ!!」
「………………………………………グッ…!;」
バッターン!!
「シュウ殿ーーーっっ!!;」
「あっはっはー♪♪ああっ心の底から心配です〜!お大事にぃ〜♪♪♪」
胃痛で倒れたシュウを背に、カナタは足取りも軽く歩き出した…。
「るんららるんらら〜♪ い〜感じですね〜♪♪」
真実と逆のことを告げられ、その裏の事実を知った人が死屍累々となっていく有様を、少年はとても楽しんでいた。
紳士を目指すだけのことはあり、女性陣の被害者は無かったが、その被害数は少ないものではなく、打ちひしがれるメンバーがあちらこちらに倒れていた。
子供のいたずら♪で済ませられるレベルを超えた暴挙だ。
今日が終わるまで平穏は訪れないのか…!と皆が思ったその時だった。
「シュウ殿の犠牲を無駄にする訳には…」
「こちらは準備OKです、クラウス様」
「カナタ様の進む方角、OKです」
執務官が、クラウスを筆頭にして、着々と連絡を取り合う。
―――そう、シュウとカナタの確執により、仕事が捗らない事を苦にするメンバーが今まさに、最終手段をとろうとしていたのだった…!
「カナタ殿っ!」
「あ、クラウスさんー今日は悪い天気で――――…カイルさんっっ!!;」
クラウスは最終措置として、カイルを連れてきたのだ…。
「………(汗)」
しまった!!とカナタは硬直した。
遊び浮かれ、ついつい警戒を怠ったがゆえの失態だ。
「あわわわわわっ…!;」
「カナタ…;」
「カナタ殿…これでもまだウソをつけますか?」
「かっカイルさんにっ…カイルさんに逆のことを言うなんてそんな…!?」
ああああああ!!;と、頭を抱え、絶叫するカナタ…。
よほど、スキも大好きも愛してますも封じられたのが、厳しかったようだ。
「くっ…!!
――――――――――僕のっ…僕の負けです…っ!
僕には真実カイルさんを愛していることしか告げられませんーーーっっ!!(泣)」
「カナタ…;(恥ずかしいから…;)」
カナタの敗北宣言に、執務官一同から、歓声の声が響き渡った。
こうして、エイプリールフール大会(?)は幕を下ろしたのだが…。
「まあ別にエイプリールフールが終わろうが終わるまいが、仕事しないことは確かなんですけどね〜♪」
「カナタ…;仕事はして;」
と、愛しのカイルにくっつきながらカナタ。
これに、執務官側はというと…
「まあ…シュウ殿のストレスが少しでも減れば…;」
との返答だった。
もはや、カナタにマジメな仕事ぶりは求めていないらしい…。
両者引き分け。
一応書こうと努力していた品です…
…今6月ダヨッ!!(吐血)