「―――――ハロウィン…一体何をやりましょうか?」
「…………(汗)」
いきなりカナタはそんな事を言い出した…。
本日、10月31日。ハロウィンである。
「今スランプなんですよ〜〜〜!!(泣)」
頭を抱えてそんな事を叫ばれても、カイルは困るだけだ。
「―――カボチャを並べて、一つだけ中に人に入ってもらって、それをクライブさんから借りた銃で撃つ、名付けてロシアンカボチャゲームを…!!」
「やめて」
「ちゃんとおくすり用意しますよ!」
「いいから、;」
カイルが必死に止めた為、その企画は止められたが、やはり色々と人格に問題のある少年である。(※実際行われる場合には、カイルが切れてカナタを中に詰めるので、御安心下サイ。>教育的配慮?)
「じゃあですね〜」
だれているのか甘えているのか、小犬のようにカイルの膝の上に頭を乗せて転がるカナタに、カイルは既に慣れてしまった様子で特に何の動きも見せない。
「よし!ゲームしましょうゲーム保しボクとカイルさんでv」
「ゲーム?」
「で、もし今からやるゲームにカイルさんが勝ったらーフツーのお化けの格好したりカボチャを吊るしたりのハロウィンをやります!で、カイルさんが負けたらーv」
いいアイディアを思い付いたのか、突然にこにこと笑いながら言う少年に、なんとはなしに微笑ましい気持ちになるカイルだ。子供らしいカナタの姿を見て、カイルは思わず、「うん」と相づちをうってしまった…。
――――――後悔したのは、そのすぐ後だ。
「口では言えないような、卑猥な格好してもらいます〜♪」
「!?」
一瞬硬直してしまった。
…しかも。その隙に話を進められた。
「よし!なんかやる気出ましたーーーー!!とりゃーーー!!」
「あ、;(正気に戻った)カナタッ!?」
カイルの上からガバッ!と起き上がったカナタは、準備ー!とばかりに外に飛び出した。…もう、カイルの声は聞こえない…。スイッチ(何のかは不明)の入ってしまった少年の暴走を止められる者など、皆無である…。
「ゲームの内容とカイルさんの衣装は後で届けますねーーーvvさあ準備ですーーー!!何人たりとも僕の邪魔はさせませーん!!」
「………(滝汗)」
――――詐欺の戦法だ…。(でも怒れない)
見渡す限り赤い衣装の波と、祭り独特の喧噪…(実際はちょっと違う)
そんな中、カイルは1人だけ(同じ赤い服とは言っても、)いつもの衣装のまま立ち尽くしていた。(ちなみに、カナタの用意した服は花の妖精服と言うのか手店そんな白のドレスに花付きの赤いリボンだったので、着なかった。)
そう、周りの状況は――――カナタがいっぱい。
「………(汗)」
いや、少し語弊があるのだが…そう、カナタの衣装と同じ者を着た者が一杯なのだ。
屈辱に泣く人々の声が喧噪となって、辺りに満ちている…。
そう、カナタのゲームの内容はというと
『ハロウィン中に僕の変装をした人々の中から、僕を見つけて下さいね!早く見つけないとハロウィンが終わっちゃいますよ♪逆でも良かったんですけど、カイルさんの居場所はすぐに見つけられますからーv(匂いで)』
●ォーリーを探せと言うか、かくれんぼというか…
同盟軍メンバー女性陣は楽しんでいるのだが、男性陣の方はどうも見るに耐えない様子になってしまっていた。(少年らはともかくとして、)―――カイルの方に、突き刺さるような哀願の視線が注がれて来る…。
「………(滝汗)」
早く終わらせて、頑張って下さい、というオーラが悲痛すぎて怖い。
とりあえず、カナタを見つけさえすれば、一同は普通のハロウィンの衣装に着替えられるのだ。
そして、公平を期す為に、カイルに話し掛ける事は禁止と言うルールだ。
ハロウィンってこういう日だっただろうか?;とカイルは悩みつつ、溜息を吐いた。
――――早く終わらせよう、そう思って目を瞑る。
…自分の感覚に従って、カイルはいつものペースで上の階へと歩き出した。
「カナタ、」
カイルが声をかけたのは、この城に飾られるカナタの像にだった。
しかし、石で作られたそれは当然ピクリとも反応しない。
「………カナタ、」
もう一度呼び、カイルは軽くその石像の頭を棍で叩いた。
すると、そこからピシリと石が剥がれ…
「…えへへ〜♪バレましたかー?」
「…うん、(汗)」
全身を覆っていた石のコーティングが剥がれ落ちた…。皮膚呼吸やら、その間身動き一つ取れない事やらを全く考えていない隠れ方に、なんでここまでして隠れるのかカイルにはまったくわからない…。
「やっぱちょーっと苦しかったですね〜;」
「(ちょっと?;)」
人として無謀としか言えない隠れ方だ。
確かに、まさかの隠れ方とはいえ…
「………;」
カイルは溜息を付いた。
…しかし、見つかったにしてはカナタは特に残念がっている様子はない。というか、にこにこと機嫌よさそうにしている。
「?;」
「えへへへへ〜♪」
「カナタ?」
不思議に思ってカイルが首を傾げると、喜色満面という様子でカナタが口を開いた。
「カイルさんカイルさんvかなり見つけるの早かったですよねーv」
「?うん、」
「で、いきなり僕がここにいるのわかりましたよねーv」
「まあ…;」
「普通こんな場所でこんな隠れ方してるのわかりませんよねー?」
「そう、かな??」
なんとなくわかった身としては、頷き難いカイルである。
「―――――愛の力ですよね〜v?」
「――――?」
…愛の力で居場所がわかるというのは、ともかくとして。―――確かに、カナタの行動がわかる程カナタを理解していると言うのは―――――…
「………」
「ですよねv!?」
…とりあえず、カナタがここまで喜んでいるのだから――――…
とてつもなく嬉しそうな表情でいるカナタと、顔を真っ赤にしたカイルとが手を繋いで座っている姿が、ハロウィンの夜の中にあったという…
「…あ、僕の用意した衣装は絶対に着てもらいますから。」
「Σ!?;」
―――――本来の狙いは元々そっちだったのかもしれない。