ずっしり…
そんな音が聞こえるような、非常に寝苦しい重圧がかかっていた。
本当に何かが体の上に乗っている重みではなく、気配や視線の類の重圧だ。
(………?;)
この大きなベッドには、自分一人で寝ている訳ではないため、残り二人が起きているのだろうか?と思い、カイルは眠気を頭から追い出してゆっくりと目を開いた。
そして、そこには…
「あ、起きましたーvおはよーございます! とりっくおあとりーと!」
「とりっくおあとりーと?」
「…………………」
ガイコツお化けと、カボチャお化けがいた。
ハロウィン〜3人日常劇番外編〜
そういえば、今日はハロウィンパーティーの日だったと気付いたのは、起きてから3秒も後のことだった。
パーティーが楽しみで、早く起きてしまったカナタとカイカは、早速仮装の扮装に着替えて、カイルの目覚めを待っていたらしい。(それであの視線の重圧だったらしい)
今日は同盟軍全体で、ハロウィンパーティー催しの日。(…ただ単に騒ぎたいために、この企画が通ったとしか思えない)
カナタは黒ローブに、背中に悪魔の羽をつけ、ガイコツの仮面と鎌を装備し―――もう悪魔なのか死神なのかよくわからない格好になっているし―――、カイカは(カナタの趣味によって作られた)大きな三角帽子に、膝丈のスカート型ローブに星ステッキを装備し、魔女っこにされてしまっていた。(そして、変質者避けに、カボチャの仮面をつけられている)
そして、カイルは―――――
「………」
…かしゃかしゃとボールの中のクリームを泡だて器でかき混ぜる。
そう、カイルはカナタの用意したネコミミメイド服(フリル仕様)にどうしても我慢できずに、お菓子をあげる(ついでに作る)側として参加中だ。
…黒ネコ耳尻尾つきで。(結局それだけはつけられた。)
「〜〜〜〜〜〜っ(泣)僕の力作ーーー!!カイルさんの艶姿ーーーー!!(悔し涙)」
「…」
ビリビリに破かれ、燃やされたメイド服(実用性皆無のフリルレース仕様)の残骸を前に、カナタは号泣していた。…この残骸のおかげで、カイルの怒りは収まったのだ。
カイカはというと、よくわかっていないのか、先程いただいたまんじゅう〜ハロウィン仕様〜(カボチャお化けのような目と口の焼き跡つき☆)を頬張って、首を傾げている。
「切ない!切ないんです!!せっかく作ったのに…! ―――また機会があったら着てもらいますか〜…(涙)―――まあ、気を取り直して!さあ!」
そこまで嘆き悲しんだ後、カナタはおもむろに気を取り直した。立ち直りの早さがこの少年のいい所だ。
「せっかくのハロウィンパーティーですし!猫耳カイルさんもいますから!楽しみますか!!」
「…(こっくり)」
「じゃあカイルさんのお手伝いですよー! カイルさんー!おやつ運び手伝います〜!!」
ようやく復活したカナタの声に、カイルもありがとうと、機嫌の直った声で答えるのだった。
で。
カボチャクッキー
カボチャプリン
ゼリーにケーキに色とりどりのアメ。
それを大テーブルに運ぶカナタとカイカは考えた。(※別にカイカは考えていないが)
「うーん。こう、子供受けしそうなファンシーなおやつばっかですけど、何かが足りません…」
「?」
「――――ずばり!ハロウィンらしい恐怖です! 恐怖さと可愛らしさがミスマッチングした感じのトキメキが足りないんです!!
…てな訳で、カイルさんの手が空くまで、何か工夫しましょう。」
「カイカさんは何かアイディアありますか?」
「…」
カイカは考えた。
元々小間使いな為に、何か言われれば、それを叶えるだけの方法を考えなければならない習性を彼は持っているのだ。
「…これ。」
カイカはテーブルの脇においていたジャムの瓶を手に取ると、おもむろにフィンガークッキーの先に塗りつけていく。
…まさに、指クッキー(切断)だ。
「おお!いい感じです!! じゃあ、僕も〜♪プリンに苺ソースとか、ラズベリーソースをかけて〜♪♪」
血塗れプリンの完成。
…一気に恐怖度満載だ。
「〜〜〜〜(面白いです…!) カイカさん!厨房からタピオカとって来て下さい!僕はゼリー作りますから!!」
「…(こくっ)」
バタバタと走り、すぐに持って来るカイカ。
二人して手分けして簡単にテーブル上で作り上げたものは…細長く作ったゼリーの中に、ブラックタピオカを仕込んだ、かえるの卵風ゼリーだった…。
「いい感じです!!この食材はいい感じです!さあ次は目玉です!葛餅と餡子で原寸サイズの目玉を作りますよ!!カイカさん餡子好きですよね!?おいしいですよ!」
「…(♪)」
騒ぐ二人のその背後…
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜カナタもカイカさんもっ!食べ物で遊ばないっ!(怒)」
ようやく二人の元へ来たカイルの、恫喝が二人(というか、主にカナタ)の暴挙を止めた…。
とりっくおあとりーと。
いたずらも程々に。