春のお彼岸

 

「カナタ、今時間………」

「ありますっっ!ひまですっっっっ!!!!どこまでもお供しますッッ!!!!!」

書類の散らかった部屋の中。

更にそれを散らかし、少年は勢いよく立ち上がった。

どこをどう見ても、時間は無さそうなのだが、本人は全くそれを自覚していないようだ。

「――――か、カナタ殿ッッ!!!」

いそいそと楽し気にカイルの方に近づこうとするカナタを、―――あまりの事に一瞬魂の抜けてしまった―――シュウがもちろん止めようとする。

「とうっ!煙幕ですっっ!!!」

 

ぼむっ!

 

どこでそんな技を教わったのか、カナタは煙幕に紛れて一瞬の内に姿を消した…………。

そう、書類の山を残して――――…。

 

 

 

「―――で、どこに行くんですか♪」

「……………(そこまでする用事じゃなかったんだけど…)えっと、」

カナタに腕をとられ、花束を落としかけつつも、カイルは目的を告げる。

 

「―――お墓参りですか?」

「今日はお彼岸だから………」

桶と柄杓を運びながら話す。

「そうですか………あ、『線香』いりますか?」

どこからか、カナタはそんな物を取り出す。―――一応は気を使っているようだ。

「うん。ありがとう、」

墓の前に花を供え、線香に火を灯す。

墓場独特の厳かな雰囲気が辺りを支配していた。

カイルは何もいわなくとも、その墓が彼の父親の墓だという事は何となく察しがついた

「……………」

「……………。」

「……………」

「……………(義父さんvカイルさんは僕が絶対幸せにします☆)」

「………(???>汗)」

供養と青春が入り交じった春のお彼岸だった…………。

 

 

 

 

「カナタ、お団子食べる?」

「えv食べます!!!!!」

カイルが差し出したお供えの団子にカナタは喜んで手を伸ばす。

――――――が、

 

「hっっ」

 

「カナタ?」

「のっ、のどにひっががりばじたっっっ」

「え゛!?」

「ぐるじいでず………」

酸欠にてどんどん真っ青になってゆくカナタ。(もうそろそろ土気色かもしれない。)

別にこれは、息子の行く末を心配した父親の呪…いや、天罰ではないはずだ。

―――おそらく…多分………………。

 

「カナターーーーっっ?!」

「ぐ、ぐは……」

 

                      終