ここは、ファンタジーパロvな合作ですvv
誰と合作しましたのかは、本人様より、「ナイショで!」という事ですので、覆面 作家様vとさせていただきますが、(何故覆面?;)
…読めばわかります!―――ていいますか、かなり無理を言って、置かせてもらいました、理由は読めばわかります…海月の担当の駄 文ゾーンはともかく、その方の場所がいいのです…笑いあり!涙あり!愛あり!な話です!そして、妖精さんのあまりの可愛さにメロキュン☆なのですよー!…絵板で絵を集めましたよ、ええ。(笑)
後、この話を読むにあたって、知っておいた方がよい作品は、『ドラ●エ』『レイ●ース』ですv
奇数番号が覆面様v偶数が海月です☆
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★61
よくわかんない異空間を飛ぶ一行。
穴を通れなかったブライトはお留守番だ。
ラスボス戦にはヨッシーは連れて行けないマリオと同じように。
暇なので、2主らは今までわからなかったことを聞いた。
「ゲンスイピアは、魔王の意思の力によってバランスが保たれ、 維持されている世界です。」
はっきりいえばレイアースのパクリで、柱みたいなもんらしい。
「神獣って何だ?」
「神獣…説明するのは難しいですね。ただ、魔王を見つけることが出来るのは神獣だけです。 だけど決して味方ではありません。味方になり、魔王の武器となることもありますが 魔王の魂の中に封印されている邪王と手をとることもある。彼が選ぶのは純粋な強さです。意思の強さ。」
でも大抵魔王を選んで邪王を一緒に封印してきたんですけどね、と心配そうに語る。
「そして魔王は人間の中に生まれる。それは光と闇を一緒に宿せるのは 人間にしか出来ないからです。最も弱い器に最も強い魂が宿り、それが魔王となります。」
「それがカイルさんってことですか?」
「はい。もう何百年も前のことなので記憶にないのですが、 27代目魔王さまは、ゲンスイピアの王室で生まれました。歴代の中で最も強く、 美しく、そしてお優しい方で、誰からも愛されてました。」
僕はそのとき神獣からの贈り物として魔王さまが生まれたときに創られたんです。と幸せそうに説明する。そして自分が創られたときのことを思い出した。
〜回想〜
「王子は動物好きと聞いたから、うさぎちゃんでいこう。うん。 そんでいつでもどこでも付いていけるように羽根をつけよう。 守れるように牙と毒を。そして癒しの力を少し。」
光る粘土でウサギを作り、その中に自分の羽根を入れる。
「ただ、優しさとか勇気とかは王子に教えてもらいな。」
そして一気に暗かった視界が開けて、目の前で笑う神獣が目にうつった。
自分がやっと生まれた瞬間だった。
自分の主人となる人を見たとき優しそうな人だなと思った。
箱の中に入れられていた僕を抱きあげると優しく笑ってくれたから。
「君の名前…何にしようか?」
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★62
「小動物好きは変わりませんね…」
「そうだな、」
「???」
頷きあう2主らに、兎なトーマス君は、首を傾げるような動きを見せた。
フッチとビクトールは、気絶したフリックを解放しているので、会話自体聞こえていなかったりする。
「…魔王さまは、僕に『トーマス』という名前をつけてくれました、それからしばらくは楽しい年月が流れたんです…」
「なんでカイルさんのペット止めて、あの(古い)城にいたんですか?」
「それは…」
「やっぱり、魔王が邪王にのっとられた事と関係あるのか?」
「………出口です、」
トーマスは答えず、そう言った。
兎の悲しげな表情、というのは見た事がないが、きっとそれはこんな顔をしていたのだろう。
トーマスがしめした先には、黒い穴がぽっかりと空いていた。
「ぎゃーーー!;」
「うわあっ!」
ドサドサー!と一同は穴から転がり落ちた。
そして、石畳の上に順番に落ちたのだが、うさぎトーマス君だけは、ゆっくりと降りてその一同の上にちょこんと座った。
「ここはまだ城門なんです、」
「…以外にマイペースだよな、」
「ですよ…;」
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★63
そして城門をくぐり、少し歩いたところで、足元に亀裂が走った。
「ここから先には通さない!誰にも邪魔はさせない! こんな世界は間違ってるんだ!」
仮面の神官将が立ちふさがっていた。
幻水3のルックもよくわからないことを口走っていたが今回もそうだろう。
「そんなことはどうでもいいからカイルさんを返して下さい!」
だが、最初から最後までカイルさんしか見ていないカナタ君にはどうでもいい話だ。
ルックはその迫力に呑まれながらも尚も言い返す。
「魔王の孤独で成り立ってるこんな世界は滅んだ方がいいんだよ…その方が魔王も幸せなんだ。神獣も我らの元についた。諦めろ。」
その様子をみて、フッチが眉をひそめた。
「あいつ、洗脳解かれてますよ…何故あんなことを…」
「さぁ…」
そんなことリクだってわからない。
「ずっと一人で誰のことも想えずに世界の平和だけを考えなきゃならないなんて! 滅びるまで人柱つとめて滅びてもこの世界の力となるなんてこんな不幸は…」
ルックが熱弁を語ってる途中カナタ君が飛び蹴りをかました。
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★64
「そんな事はどうでもいいんですよっ!ともかく僕はカイルさんに会いたいんですっ!」
ビシリとカナタは言い放つ。
どうやら、カイルさん欠乏症が出ているらしいが、そんなに自分本意な意見でいいのか…。
「それに!…今カイルさんは一番したくない事させられてんですよっ!そんなの絶対喜んでませんし!カイルさんは僕のなんですーっ!邪王にも誰にも渡しませんーーーっ!!」
火を吹きそうな程の勢いで叫ぶカナタ。
リク君は、「そっちが後かよ、」と小さく突っ込んでいる。
…しかも、カナタの蹴りは本気だったのか、ルックは口から血を吐いて、ピクピクと痙攣しながら気絶している。
仮面は、見事に砕けちった。
「だっ大丈夫ですかっ?;」
わたわたと兎トーマス君が飛び寄り(?)ルックを回復させようと必死だ…。
「カナタさん、落ち着いて下さい;」
「キシャーッ!」
「人語喋れ;」
しかし…これから先、どうなってしまうのか…。
カイルの意思が戻ったとしても、カイルの意思はないも同じ。魔王を引退しても、また別 の者が犠牲になるだけだろう…。
「…システムの根本を変革してやる……(怒)」
ぼそりとカナタが呟いた…。
どうやら、欠乏症が悪化して、地がどんどん噴出し始めているようだ。ガラが悪い…。
とにかく、一同はそれでも前に進む!
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★65
やっと城へ足を踏み入れたとき眩い光が辺りをひたした。
一同が見上げた階段の上に彼がいた。
「ごめんね?ちょっと事情が変わったの。」
ニッコリ可愛く女神(え)のように微笑みながら体育座りして見下ろしている。
自らの身体より幾分も大きい羽根が純白に輝く。
どうみても敵には見えない清らかさだ。
「神獣…!」
ビクトールやフッチ達に緊張が走る。
「ティウ!馬鹿なことはやめてこっち戻ってこーい!」
「そうですよ!いくらティウさんでも気分変わりすぎですー!」
だが、それには答えず今や神獣となった彼は浮かべていた笑みを消すと、
音もなく立ち上がり、ふわりと彼らの前に着地した。手を翳すと、銀色の鎌がそこに現れた。
それを握り、一同を見据える。
「だって、今の君らにあの子の全てを救えると思えないもの。邪王の方がずっと強い。 現に今も、4つの封印を解いたのに魔王は目覚めない。もう駄目ってこと。 ならば僕は、邪王に従う他無い。世界が破壊を望んでいるのなら。」
一振りすると大きな衝撃が彼らを襲った、が寸での所でトーマスが防御壁をはる。
「そんなことまだわかりませんよ!」
「魔王に戻ったとしても、あの子に自由は無いよ。それでも救えるの? 死んでもこの世界に縛られたままだよ。今、あの子はとても良い夢をみて眠ってる。 その方がいいんじゃない?世界を革命する力が、君たちにある?その覚悟が。」
「それは…!」
熱く語ろうとしたカナタ君をリクがひっぱると耳打ちする。
「お前、一人で先行け。」
「え。」
「お前のラスボスは、カイルさんだ。俺は…」
勇者はそのために二人いる。
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★66
「…わかりました、―――他人の恋路を邪魔したら、甘煮にされちゃいますからね、」
「なんで、甘煮だよ。」
ちょっと笑いあって、2主達は頷きあった。
好きな人を助ける為に、好きな人と戦う。そんな笑えないシュチェーション。
でも、やるしかない。
「何の相談?」
首を傾げて、尋ねるその姿は、まさに死を司る天使。
無表情に、それでも唇に笑みの形だけを浮かべたティウさん、見とれる程に美しく、肖像画にしてみたい程だった…。
「愛の相談です!じゃあリクさん!後は任せました!!」
「ああ!」
言うが、早いかカナタは階段の頂上を目指し、駆け出した。
2段、3段飛ばしで、ぐんぐんと昇って行こうとするが、ふいにその目の前に陰が出来た。
「行かせると思う?」
「イ”ッ!?;」
予想より容赦がなかったティウさんが、白銀の鎌を振り上げて立ちはだかっていた。
「ティウ!?」
リク君が叫ぶ。 殆ど重さを感じさせない動きで、鎌がカナタへと振り下ろされた。シールドを張れる間すらない速さ、
「ッ!」
一応受け身ととる体勢を整え、なんとか堪えようとカナタは頭を抱えた。
永遠を感じさせる瞬間の長さ、
…その後に、足の下で妙な浮遊感がある事に気付いた。
そして、予想していた痛みも感じない。
「………?;」
もしかして、もう一瞬で死んでしまったのかと、カナタはそうっと目を開けた。
「っ!と、トーマス君ですか!?」
(ちょっと悲鳴が混ざったが、そこは無視して)カナタは、自分を空中で支えながら、必死で飛んでいる小さな生き物を見て、声を上げた。
人の体重を支えれる程の力はない生き物が、必死にカナタの服を掴み飛んでいるのだ…。
「僕もっ…行きます…ッ!――う、あァあ…っ」
ティウさんから、5m程離れた所くらいでトーマスは力つき、階段途中の踊り場にぼとりと落ちた。
「…ありがとうですっ!」
カナタはそう言うと、トーマスを小脇に抱え、更に走り出す。
「リクさんも頑張って下さい!」
「お前もな!」
そう最後に会話を交わすと、だばだばと駆け昇るカナタ。腕に抱えたトーマスはぽつりと言葉を、誰にともなく零していた。
「僕は…魔王様を助けられなかった…魔王様が邪王に変わる前に……逃げてと言われて、僕はどうする事も出来なくて…ただ逃げて…それであの城で暮らしてた…。―――けど…だけど……今度は…僕にでも何かできる事があるのなら…少しでも、魔王様を助けてあげたい…」
翼のある兎はそう言うと、綺麗な涙を落とした。
「………カイルさんは渡しませんからね、後助けるのは僕です。」
トーマスの言葉にそうとだけ答え、カナタは改めてしっかりとトーマスの身体を抱え直し、頂上へ目指す。
―――――聖獣は自分の殻を破った…
まだどうなるかわからない中、それでも少年らはそれぞれの道を選びとった。
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★67
カナタ君達が去ったあと、張り詰めた空気が流れた。
しばらくカナタ君たちの背中を見ていたティウだが、あっさりリク達に向き直る。
「…君達に僕を倒せるとは思えないなー封印できるとも思えない。
それに、僕を封印するにはある条件がいるんだけど知ってるのか?リークナイト。」
そういって銀の鎌をリクたちに向ける。
「その名前やめろっつの…それに、俺とお前が敵になるなんて現実問題ありえないんだよ。何故なら心臓に悪すぎる。」
寸前に迫った鎌を、剣で受け止める。
そう、ありえない。敵と味方に別れることなんてこの先絶対ありえないことだ。
「そんなこといって、僕を倒すか完全に封印しないとクリア出来ないぞ。」
「封印なんかするもんか!俺はお前が好きなんだから!」
リクは気合と共に鎌を弾いた。
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★68
一方…
「どっ…」
カナタは、スピードを落とさないまま、口を開いた。
「どこまで続くんですかーーーーっ!?;」
そして、叫んだ…。
もはや、既にリク君達の陰も形もなくなっているというのにも関わらず、いつまでも階段は続いているのだ。
頂上に見えるドアはまったく近づいてもこない。
「くうっ!罠ですか!?罠なんですかっ!?」
「あ、あの…多分幻術にかけられてるんだと思います、昔の階段とは…違って見えますし…」
抱えているトーマス君(兎)がそう発言した。
「幻術?」
一般的に、単純な者程かかりやすい術だ。
そう言えば、さっきから周りの景色がかわっていない。そういう造りなのかと思っていたが、どうやら違うようだ。
クリスタルで造られた整然とした階段は、どこか綺麗過ぎる程に硬質だ。人の匂いすら…自然の匂いさえしない…。
「……昔は、どんな感じだったんですか?」
「え、あの…昔は、綺麗な花が飾ってあったり、もっとなんていうか…温かい感じの造りでした」
カナタは、足を止めた…
「……もしかして、もうカイルさんの中に…?」
「え?」
そう呟き、カナタはそう言えば、兎だからいいけれども、人間状態で考えると、このトーマス君を抱えている格好はちょっと嫌だな〜と思った…。
★☆夢色ふぁんたじー☆★69
はっきりいって戦況は不利だった。
今、戦ってるのはビクトール(+剣)とフッチ、リクだ。
ルックとフリックはまだ気絶している。
「さっさと諦めな。無力な君達に何が出来る。」
冷たい表情のまま魔法を操り攻撃してくる。
彼らはそれを避けるので精一杯だった。
「だめです!強すぎる…!」
「神の獣って言うぐらいだからな…そりゃ強いだろ」
「大丈夫だ。勝てる!」
リクだけが根拠の無い自信で満ち溢れている。
だが他の二人は不安を隠しきれなかった。
「世界は邪王を神に選んだんだよ。もう無駄さ。」
魔王の守護者であり、邪王の破壊者である神獣とは、
世界が選んだ意思に従い運命の歯車をまわす判定者。
それが彼本来の正当な本質なのだ。
ティウはほんの少し残念そうにしながら銀の鎌を掲げる。そこへ、白い光が集まって きた。
「僕だって王子を助けたかったさ。トーマスを可愛がってくれたしね… …でも、もう邪王が完全に勝っちゃったから。世界の契約の元、僕は従う。」
掲げた銀の釜に集まった白い光をリク達に向ける。
「じゃあ、ばいばい。」
無慈悲な光が彼らを襲った。
★☆夢色ふぁんたじー☆★70
―――硬質なまでに閉ざされた空間、
本当に目覚めたくないのだろうか…?
「どうやってここからカイルさんの所に行けばいいんだろう。」
うーむとカナタは悩んでいた。
そして、トーマスは所在なさげにその白い後ろ足をプらプらと揺らしていた。
カナタはふいに何かに気付いた顔になった。
「そういえば、ティウさんはカイルさんとこに行ってたんですよね?」
「え?はい、多分…??」
「他の人も行ってましたし、何か方法があるはずです―――――所で、トーマス君はティウさんの羽が原材料に入ってましたよね?」
「原材料―――…は、はい。」
ちょっと落ち込むトーマスだが、なんとか返事はした。
―――カナタは、冷や汗をかいた状態でニヤリと笑った。
「すみませんーーーーっっ!!(汗)」
「う、うわあああああっ!;何を…!?」
カナタは鬼畜にも、トーマスの後ろ足を掴み、床に向かって振り始めた。
妖精の粉とでも勘違いしているのか、カナタは加減しながらも、延々と振る…。
そして、一枚の羽がポロリと取れて、床に落ちた。
ブワッ―――――…
階段が溶けるように輪郭を崩して、闇でも光でもない、透明な粒子へと姿を変える。
カナタ達が立っていたのは、今度こそ本当の現実空間だと思わせられるような、濃厚な重い空気の満ちる広間だった。
闇の気配が強い、
「…いそうですね」
カナタはぽつりと呟いた。
トーマスもぐったりと呟いた。
「き、きもちわる…;うっ…」
「すみませんっ!;アレしか方法がなかったんですッ!」
振り回されて気分が悪くなったようだ。言い訳じみた謝罪をカナタは叫ぶ。やっぱりトーマス君が怖いらしい。
カツン、カツン…
と、乾いた足音が響く空間、
2人は玉座を目指して歩く。
下手に動くと、闇に喰われそうな場所…
それぞれの意思だけで進んでいた。
息をする事すら苦しい、高圧的な力の満ちた…そんな世界。
「何用だ―――?」
そんな中に、邪王はいた。
「カイルさんを返してもらいます!」
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★71
もう駄目かもしれないとリクが思った時、目の前に誰かが現れて 結界を張った。
「ルック!…フリックも、目が覚めたんだな!」
「…あれだけ大騒ぎされたら流石にね。加勢するよ…」
「何となく今の状況は判った。俺達の敵は神獣ってことだな!」
フリックが剣を抜き放ち、構える。
「違う。あいつは敵じゃない!」
ティウを傷つけないでくれ、とリクは他の4人にいう。
それにルックが反発する。
「じゃあどうするんだ!大人しく殺されろとでも?
僕らにはまだ魔王を守る使命があるんだ。」
「そうじゃない!何か方法があるはずなんだ!絶対に…」
焦りを隠せない5人をティウは冷たく見下ろしている。
その表情がふっと和らいだ。
「4人揃っちゃったか。しかも勇者を加えて… 頑張れば僕を封印できるよ。条件が揃ってる。」
「だから!俺はそんなことしないんだよ!」
イライラと怒鳴るリクにティウは不思議そうにする。
「君は勇者なんだよ。敵は倒さなきゃ。 今までもそうしてきたでしょう。これからもそうしなきゃ。 たとえ、立ち向かう敵が愛する者でも。」
「…それは幻水2でジョウイをぶっ殺す俺に対する嫌味か?
それとも幻水1の自分に対する自虐的ギャグか!?」
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★72
ブワアッ…!!
鼓膜を刺激する音が鳴り響くと、頬が切り裂かれて赤い血が視界に舞い飛んだ。
焼けるように熱いとはこの事かと感じながら、カナタは更に仕掛けられる技を避ける。今度は太腿を抉られた、
「まっ魔王さまっ……!」
「喋ると舌噛みますよ!」
相手は、一歩も動いていないというのに、一方的に追い詰められて行く状況。さすがにカナタも焦り始める。
わざとカイルと同じ、うっすらとした笑みを浮かべている相手に神経が逆撫でされてしまう。これでは前と同じ結果 だ、しかもトーマスを頭に乗せた状態では反撃のしようがない。
真っ黒な闇の触手が迫った時、カナタは剣を片手に持ち替えて、トーマスをガシッと掴んだ。…そして、高く高く天井へと放り投げた。
「う、うわああああああ!?」
そして、高い天井にすれすれの所で止まり、灯りのついていない巨大なシャンデリアに兎はひっかかった。
それと同時にカナタは、触手を剣で凪払う。
「暫くじっとしてて下さい!」
「聖獣の力も借りずに我と戦うつもりか…?」
クスクスと嘲笑の篭った声がカイルの、…邪王の口から漏れる。玉座に座った彼からは、全てを飲み込もうとする闇が溢れ出ていた。
指一本で少年をあしらっている中、少年はそんな事は気にせずに玉座へと突っ込む。
「…トーマス君、『命をかけてでも…』って思ってますからね、そんなんで戻ってもカイルさんが泣きますからちょっと退いててもらったんです、よっ!」
「愚かな」
一歩一歩確実に踏み込んでくるカナタを、軽くシールドで弾くと、心底愉快そうな声色で言葉を返された。
「では、お前は死ぬつもりなのか」
ブシッ…!と服ごと脇腹が裂けた。
カナタは剣を振りかぶる。
「あいにく―――――僕も死ぬつもりはないんですッ!」
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★73
圧倒的にリク達5人が劣勢だった。
しかし、ティウは容赦が無い。すでに彼らは避けるだけで精一杯となっていた。
「やっぱ神獣に関わるとろくなことがない…」
どんよりとしたフリックにフッチがこたえる。
「…ティウさんは、さっきから手加減してますよ。多分。」
そう、手加減している。もしかしたら最初からかもしれない。
思えば神獣相手にここまでもってるのがおかしい。
「まるで僕らに倒されたいみたいだな。。」
「ティウはそんな根暗なこと思わない!…筈。」
ルックの言葉にリクが噛み付く。
現実のティウとこの世界のティウがごっちゃになってわからなくなってきた。
「それはどうかな…」
冷ややかな口調のルックをリクが睨む。
「認めないよ!だって俺の立場がないだろう!?」
キーっ!と癇癪を起こす勇者に4人があきれた視線を送るが すぐ傍を光の渦が横切った。
「お喋りしてる暇があるのかな?」
「誰かさんが手加減してくれてるからな。」
首を傾げてきくティウにリクが堂々とこたえる。
その言葉にムッとなるティウだがすぐに苦笑する。
「仕方ないだろう。僕は迷ってるんだから。」
微かに、魔王の気配を感じた気がした。
もう消えてしまっていたのに。
そんなことあるはずがないのに。
★☆夢色ふぁんたじー☆★74
重過ぎて…
辛すぎて…
応える事が出来なくて…
闇の中、掠れた泣き声が小さく響く…
それは包まれた優しい眠りから、ひび割れた外を覗いた瞬間、
刺す程の強い光が差し込んだその瞬間、
「…、」
「はあっ!はぁ…ッ!」
全身を朱に染めたカナタは、それでもなお瞳に強い意思を残していた。
その身体を邪王は、オーラで凪払うと、あっさりと床の上に転がった。
「カナタさんっ!」
天井の近くで、トーマスが叫ぶ。
もはや、聖獣の力を持ってしても、この戦いに介入する事が出来ないでいた。
転がった少年が、その声にピクリと反応するが、返事を返す余裕すらないのか、それだけで後はなんの動きもなかった。少年から放たれる気迫はそのままで、
「…良い事を教えよう、」
カイルの姿をした別の人物は、その時始めて玉座から立ち上がり、カナタへと近づいた。
その表情は、どこかつまらなそうだ。
「我がこの身体を乗っ取った訳ではない、」
「…」
「この身、自ら明け渡した
のしかかる重圧に、責任に、希望に、願いに、思いに…
…耐え切れず逃げだしたのだ」
だから…と、邪王は笑んだ。
「我はこの身で、絶望を死を…創り出す」
「…ふ、ざけないで下さいっ!」
カナタは跳ね起き、覗き込むようにしゃがみ込んでいた邪王の襟首を掴んだ。
「逃げたからなんですかっ!逃げたからってカイルさんがそんな事望む訳がないんですよっ!勝手にカイルさんの身体使ってカイルさんの泣くような事するなッ!また…カイルさん泣くじゃないですかっ!!」
顔色一つ変えない相手を締め上げていた、その身体がふいにずるりと床に崩れた。
…いや、『呑まれた』。
「なっ!?」
床一面を支配する闇が、カナタの身体を呑み込んだのだ。
「カナタさん!!?」
…何かに引っ張られるように、少年の身体は影の中引きずり込まれた…。
―――後には虚無だけが残る…
★☆夢色ふぁんたじー☆★75
神が平和を望むか破壊を臨むか。
自分はただ機械的に神に従うように出来ている。
迷うようには出来てない。
だった筈なんだけど。
「こういう場合はどうしたらいいんだ…!?」
他の五人がぽかーんと見つめる中、ティウは頭を抱えて座り込んだ。
こんなことは無かった。負けて滅んだ魔王の気配が一瞬だが甦った。
世界は邪王のものとなったのに。世界は魔王を望んでいる?
そうなれば自分は一体どうすればいいんだ。
強いのは邪王だ。だが、昔の魔王はもっともっと強かった。
「ティウ…?」
いつの間にか、勇者が目の前に立っていた。
そして自分の前にしゃがみこみ、手を掴み、目を合わす。
「…え?わっ」
思いっきり手を引かれたと思ったら抱きしめられていた。
他の4人はすでにリクに全てをまかせたかのように二人を見つめている。
勇者こそが、この世界で唯一魔王も神獣も凌駕する力を持っている。
世界を救い、この秩序を破壊できる。
それはこの世界の制約に囚われていないから。
自分たちが出来ないことを成し遂げることができる。
「俺が、ティウの望みを叶えてあげるよ。」
「へ?」
「だってティウが俺達を呼んだんだろう。 助けて欲しかったんだろう?」
そう、勇者を呼んだのは自分だ。
ずっと気付かなかったけれど助けを求めたのもきっと、自分なんだろう。
「僕の望み…」
「助けてやるよ!だから信じろよ!」
きっと何をどう助けるのかは判ってはいないであろうリクにティウは唖然としながら、だがやがて眩しそうに笑みを浮かべた。
★☆夢色ふぁんたじー☆★76
…真っ暗です。
意識すら溶けてしまいそうな闇の中、カナタはう〜ん…と考え込んでいた。
呑気といえば、呑気な態度だが、何故かこのどこかにカイルがいる気がするのだ。それを思えば特に怖がる事はない。むしろ、喜ぶべきだ。
それに、どうでもいいが、この感覚は感じた事がある。…ソウルイーターに吸われた時だ。
…カイルさーん ―――……、
少年が呼ぶと、どこかで身じろぐ気配が伝わって来た。
それを頼りにカナタが感覚のない手足を動かすと、誰かが踞っているのが見えた。
…カイルさん?
…………
声をかけると、黒いローブに身を包んだカイルは耳を塞いだ。
ジャラリと手足についた長い鎖が音を立てた。
…カイルさん、それどうしたんですか?
―――…
尋ねてからどれくらいの時間が流れたのかわからない、それでもカナタは返事を待っていると、ようやくカイルが顔を上げた。
その瞳は、すぐにでも泣きだしてしまいそうな物だった…。
―――自分で、つけて…ここから出ないように……
この闇の中から、
出ないように鎖をつけて、
この闇の中から、
声を聞かないように耳を塞いで、
…闇の中で一人泣いている……
夢と現実がふいに交差した、一瞬だったが…
カナタは気を取り直して、口を開いた。
★☆夢色ふぁんたじー☆★77
「ティウ、ほら。」
座り込んだティウにリクが手を差し伸べる。
ティウが無言で手を取るとリクが笑みを浮かべて腕をひく。
周囲でそれを見ていた4人はやれやれと息をついた。
「とりあえず休戦ってことだよね?」
「できるならずっと休戦してくれ…」
「結構血みどろだしな。」
「回復魔法かけてよルック。」
「めんどくさ…神獣に頼めよ。一瞬だろ。」
ルックの言葉に4人の視線がティウに向かう。
フッチとビクトールは複雑な、フリックは恐れを含んで、ルックはどこか冷めた視線で。
「ティウが傷つけたんだからさ、それが筋ってもんじゃない?」
つっけんどんなルックの言い方にティウとリクが苦笑する。
と同時に皆の身体を優しい光が包んだ。
光が消えた後にはもう傷は無くなっている。
繋いだ手をリクは離そうとしなかった。
「行こう。」
★☆夢色ふぁんたじー☆★78
―――――…
口を開いたカナタは、………そのまま屈み込んで、カイルの唇を奪った。
…。
そして、すぐに離れる。
…一瞬何がなんだかわからなかったカイルは、目を大きく見開いた後、顔を真っ赤に染めて喘いだ。
「…なっ(///)」
「会いたかったですvカイルさん♪」
パキリと長い鎖の付け根が、ひび割れた音がした。
いつの間にか声も肉声に戻っている。
「何し…」
「迎えに来ましたv助けに来ました!もう大丈夫ですよ!」
強く断言する、
一瞬でもこっちのペースに巻き込めば、後は簡単だ。
「…ぃゃ…もう、戻るのは…」
「重いからですか?」
「………」
「大丈夫です!僕と半分こしましょうっ!重くないです!」
「…でも、」
「――――カイルさん、この世界好きですか?」
僕はカイルさんが一番ですけど、と突然カナタは話を変える。
一瞬気をとられたが、カイルはこくりと小さく頷いた。
「なら大丈夫です!願いで世界を支えるなら、誰を好きになって誰を大切って思ってても世界も大切なんですから!(僕には無理ですけど!)」
パキンと、鎖が僅かに砕け散った。
「…………でも…僕は…一度、逃げて」
「大丈夫です!今度はカイルさんに頼るんじゃなくて、カイルさんを助けようって思ってみんな頑張ってくれますから!(怖いですけど)トーマス君も来てますよ!後、リクさんに任せましたからきっと今頃ティウさんともラブラブになってます!」
『カナタさんっ…魔王さま―――っ…』
遠く、遠くから泣きそうな、聖獣の声が聞こえた…
神獣の優しく、重なる鼓動も聞こえる…
彼も自分の道を選びとった…
長い長い、本当は僅かだったかもしれない沈黙。
カイルの手から手枷が消えた。
「…もう一回だけ戻って下さい、だって、これはカイルさんの願いじゃないでしょ?」
「…………」
「何かあったら、今度は僕がその相手になります!」
熱く言い切るカナタを、少しカイルは見つめると、その枷の消えた手を自ら伸ばした…
「―――――…ぃっしょに…いてくれる?」
「喜んでっv!」
――――周りを包んでいた闇は、夜の静けさとなり、その一面に星が輝いた。
…本当は、誰かに来て欲しかったんでしょう?
…じゃないと、こんなに簡単に話を聞いてくれないですし?
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★79
「城が…」
暗く淀んでいた屋内が呪いから解けたように光に満ちた暖かい空間に変わっていく。
外から見たその光景はさながら白黒写真に色が戻っていく様に良く似ていた。
ティウはその事実に驚いた表情をすると純白の羽根を大きくのばした。
他の5人は一瞬で周囲が変わったのを認めると同時、目の前の人影に武器を構える。
「邪王…」
フリックがそう呟いた。自分達は、この世界の理に疑問を持ちながらもずっと何もしようとしなかった。けれど、今は。
邪王は冷たい笑みを浮かべていた。その視線はティウに向けられている。
ティウはリクが止めるのもきかずに邪王に近づいていく。
そして邪王の手をとった。
「負けちゃったね。」
「そのようだな。だが我は滅ばない。」
「……おやすみ邪王。」
神獣は、母のように柔らかく微笑んだ。
★☆夢色ふぁんたじー☆★80
ざぁっと、邪王の身に纏っていた空気が溶けるように消えると、右手にその力は凝縮した…。
その途端、邪王は魔王へと早変わりする。
ついでに、もう一人その場に人物が増えた。
「挙式です〜〜〜♪」
…。
はあ?と言いたくなるが、カナタ的にも今回は寂しかったようなので、勘弁してあげてもらいたい。
カイルは少し困ったような顔をして、ティウさんを見て、他のみんなの顔を見渡す。ごめんね、と言っているようだ。
「挙式ってカナタ…お前な;」
「おめでたい時には、めでたい事で更に場を盛り上げるんですよっ!!」
そういう問題ではない。
とにかく、少年がカイルに抱きつこうとしたその瞬間、カナタの身体は床へと叩き落とされた。
上からかなりのスピードがついた何かが降って来たのだ。
「魔王さまっ!!(泣)」
「トーマス君、」
むぎゅりっと、小さなふわふわの足で、カナタを台にして飛び上がると、トーマスはぎゅ〜っとカイルに抱き締められた。
「ごめんなさいっ…僕はっ…僕はっ…」
よしよしと小動物を撫でるカイルの表情は、とても嬉しそうな物だった。
…カナタの方はそうもいかなかったが、
「ううっ…;さ、さっきの仕返しですね…!?;」
出来たたんこぶがとても痛い。
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★81
そんでもって…
「やっぱり挙式はするんだな…」
正装に着替えたリクとティウは少し離れた所でらぶらぶしているカイルさんとカナタ君を苦笑しながら見つめた。
カイルさんは衣装合わせをしているようだ。黒い服ばかり着ていたが、今日は白い。
「ついでに俺達もしようか?」
「は?僕はプロポーズ受けてないしする気もない。 この先ずっとずっとずーっと無い。」
一刀両断するティウにリクは力なく肩を落とす。
「つれないなー全くよ〜」
「別にいいじゃない。今のままでさ。」
「…ま、いっか。」
「関係ないけど新婚旅行はゲンスイピア100周らしいです!」
人間の姿に戻ったトーマスが言う。
自分の主人が幸せだと彼も幸せなのか終始笑顔だ。
「幸せになって欲しいです…」
ティウはトーマスの頭を愛しそうに撫でてもう一度魔王に視線をおくる。
微笑むティウを見て、リクも微笑んだ。
★☆夢色ふぁんたじー♪☆★82
「わ〜いvvホントに挙式ですーー!!」
快哉を叫びながら、衣装合わせ中のカイルをお姫さまだっこするカナタだ。
されたカイルは、慌てた表情で身じろいでいるが、それすらも何やら微笑ましい物に思える。
ティウさんとリク君とトーマス君は、にこにことそれを眺めていたのだが…
「うっふっふ〜♪むちゃくちゃ嬉しいですーっ!」
「………(///)」
「だから、カイルさんv誓いのキッスの練習もしましょう〜♪」
「え?」
うっちゅー☆
…。
ちゅ〜v
ちゅ〜♪
ちゅーっ!
…。
…あ。これはマズいな〜…とティウさんら(トーマス君を除く)が思った瞬間、
カイルの拳が飛んだ。
「〜〜〜〜〜!?☆@◇△!!!!(怒///)」
「あー!;ごめんなさいです〜っ!だって嬉しさ大爆発だったんですよーっ!;」
人前で熱烈な抱擁を受けて、カイルはもう大変だ。
…とりあえず、邪王化する事はないだろう、きっと。
★☆夢色ふぁんたじー☆★最終回
盛大な拍手と紙吹雪に加え色とりどりの精霊たちが空を舞う。
幸せそうな二人をバルコニーの上から見下ろしていたリクにティウが声をかける。
「…ゲンスイピアを助けてくれてありがとう、勇者。」
「どうせなら勇者さまって言ってくれよー」
照れから茶化したようにこたえるが、振り向いて見たティウの真摯な瞳に息がつまる。
真っ赤になったリクに微笑むとそっと何かを差し出した。
「羽根…?」
きらきらと優しい光を放つ真珠色のその羽根は
「僕のだよ。あげる。お守りになるよ。」
「あり、がとう…大事に」
戸惑いながら言いかけた言葉は遮られた。
柔らかい感触が一瞬唇に触れ、すぐ離れる。羽根のように軽く優しいキスだった。
そして、これ以上可愛い顔はいまだかつて見たこと無いといったようなティウの笑顔。
「ありがとう。忘れない。愛してる!」
「俺も…愛して…」
言いかけた言葉は今度は衝撃によって遮られた。
痛みに呻きながら目を開けると気味が悪そうにティウが見下ろしている。
「きもい。何寝ぼけてんのリク。」
「へ??…お前羽根が無いぞ?」
「はぁ!?」
も一回殴ろうか?とティウが拳を握るのでリクは慌てて起き上がった。
傍にはカイルさんとカナタ君が寝ている。
「夢・・・?」
「ホントどーしたの?暑さにやられた?」
頭大丈夫か?という目で見てくるティウにリクは何でもないと言う。
「?変なやつ。」
ティウはそれだけ言うと喉が渇いたと何かを飲みに行った。
残されたリクはしばらくぼんやりしていたが、ふと、右手に違和感を覚える。
「あ。」
そこにあったものを見てリクは笑みを浮かべる。
これからもずっと、きらきらと光る羽根は輝きを失わない。
HAPPY END!
超長編大作ですよねっv!!
…お目汚しな箇所も多々ありましたが、;
何はともあれ、無事終わってよかったですよね!覆面様v!!>目立たないようにって…;