「憎い憎い〜っ憎んでも憎みきれない憎い人〜〜〜っ」

 

「カナタ…;」

「…」

朝っぱらからドス黒いオーラを撒き散らす少年の名前はカナタ。

…一応は、責任ある同盟軍の幼きリーダーのはずだ。

対するのは、トランの英雄カイルと、その英雄に寝癖を整えてもらっている、群集諸島での隠れた英雄?無口なカイカだ。

「…どうかしたの?;」

と、カイルは、異様に態度の悪いカナタに、その理由を聞く。

「っどうしたもこうしたも…!!―――なんで当然のようにカイルさんがカイカさんの寝癖なおしてあげてるんですかーーーっっ!?(怒)」

「え…;だって、気になったから…」

「自分で直させれば良いじゃないですかーーーっっ!!(泣)」

「でも後ろだったから、直しにくいんじゃないかなって思って…」

「…」

カイカは今のムードをあまり理解せず、ありがとうという視線を送っている。…カイカもちょっとずれている。

「わーーーんっっ!! カイカさんばっかりズルイですーーっっ!!なら僕の髪の毛もしてくださいーーーっっ!!こうイチャつかんばかりにっ!!輪っかついていると前髪がはねるんですよーーーっっ!!」

「え…それ寝癖だったの??; いつもついてたから、トレードマークかと…;」

「〜〜〜〜〜〜わーーーんっっ!!! グレてやりますーーーーーーっっ!!!!(泣)」

「あっ!!;カナタ…」

 

ダダダダダーーー!!…と、カナタは走り去った。

…間違いなく、修羅場の状況だ。

 

 

 

 

 

「ううううう〜〜っめそめそめそっ!ちきそーです!!(泣怒)」

膝を抱え、少年は木のてっぺんでベソ泣きをしていた。

何か某アニメの某生き物のようだが、別にオカリナなどは持ってはいない。

「ジェラシーッ…ジェラシーです!!」

しかも、有り得ないほどに瞳に嫉妬の炎を浮かべている…。

「…こうなったら、カイカさんを殺して僕はカイルさんとTHE☆心中劇を…!!―――はっ!!;でもその場合心中じゃなくて、痴情の縺れの死ってことになりますか!?;それは何かイヤですー!!;」

案外ホンキの目で言っていたカナタだったが、しかしすぐに我に返るとブンブンと激しく首を振って否定する。

「ああっ!!でもカイルさんが他の人と仲良くしているのを見るのはイヤですし…っ!!どうしたら…!!」

目の前に炎をかたどった嫉妬のマスクの幻が見える…。

「ああああああっっ!!;イヤですっ…イヤですーー!!;そ、そこまで堕ちたくないです〜〜〜っっ!!;」←失礼。

 

「カナター…?」

 

一人幻覚と戦いながら、カナタが悲鳴を上げていると、そこにカナタを呼ぶ声が響いてきた。

どうやら、カイルらは突然失踪したカナタをわざわざ探しに来たらしい。

ついでに、あれだけカナタが叫んでいたのだが、まさか木の上にいるとは思っていないのか、まだ尋ね人は見つけられていないようだ。

「カイルさん…ハッ;それにカイカさんもっ!!;」

二人の姿が見えたため、カナタは一瞬で獣のごとく気配を潜める。

まだ見つかりたくはないようだ。

 

「どこに行ったのかな…?;」

「?」

一人ごちるカイルに、カイカはわからないというように、首を傾げるばかりだ。…ちなみに、手にはしっかりとまんじゅうの詰まった袋を抱えている。

「カナター?;」

「?」

「カイカさん、石の下にはいないと思うから…;」

「…」

 

(な、仲良しっ…!! ほのぼの…!)

ゴゴゴゴゴゴッ!!とカナタは嫉妬に燃え上がる。

普段なら、仲良くしている姿を見て、自分もそこに加わったり、百合…☆などとほざきながら、妄想をするのだったが今日のカナタはマイナス思考だった。

 

(カ、カイカさんばっかり構うなんて…!!別に保護者被保護者の関係がほしいわけじゃないんですけど…っ!!)

 

 

―――何かジェラシーなんですーーーー!!!!

 

 

嫉妬のマスクというより、般若の仮面を被り、カナタはとりゃーー!と木の上から飛び降りた。

 

 

 

 

「ねこ」

「あ、この間生まれた仔だ…v」

「ちょっと待ったですーーーー!!」

小さな仔猫をナデナデと撫でる二人の前に、大量の葉っぱと、その尋ね人が振ってきた。

こう、ズシャー!と。

「あ;カナタ;」

「何で僕探しているのにカイカさんとのほほん散歩なんですかっ!?しかもっねこに気をとられて脱線してますしーー!!」

「………(汗)」

否定できないカイルだ…。

かわいいもの好きのカイルはついつい、小動物に気を取られやすかったりする。むしろ、小動物に弱いのだ。

だから、未だに暴走癖のあるこの少年に愛想を尽かしていないのだろうが…。

「―――いいんです…」

ふいに、カナタは言った。

「カナタ…?」

急にがくりと頭を落とすカナタに、カイルは恐る恐る声をかけるが、カナタはそれにも気づかない様子で声を低く話し続ける。

「いいんです…カイルさんの中で僕は、『僕<カイカさん』『僕<ねこ』なんですよね…」

「カナタ…;」

いつの間にそこまでマイナス思考になっていたのか…。

カナタは暗くよどんだ瞳のまま、ふいに顔を上げた。

 

「―――――――カイルさんを殺して僕も死にますーーーーー!!!!!(怒泣) 愛ゆえにーーーー!!」

 

「!!!!!;」

やっぱりこうなった…!;とカイルが思っても仕方のないことだろう。

すっかり暴走したカナタは、トンファーを構えてカイルに跳躍してきたのだから。

…こうなったら、問答無用とばかりに、カイルとカイカも武器を構える。

 

ドグシャッッ!!

 

「カナタっ!!;落ち着いて!;」

「…」

Wリーダー攻撃(みねうち)が素早く、かつ容赦なく決まった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん…;」

 

(何か…妙に頭がずきずきします〜;)

カナタが目を覚ました場所、それは仄かに良い香りが漂う寝心地の良い場所だった。

(落ち着きます〜vv)

そこがどこか、という認識を抱く前に、カナタは自分を呼ぶ声にふっと目を開いた。

「カナタ…?起きて大丈夫…?」

そこには、心配そうに自分を覗き込んでいるカイルの姿だけが見えた。

しかも、至近距離。

 

(えーっと… この状況って…?

 頭の下が妙に居心地良くて、良い匂いで…なおかつ、カイルさんの距離が―――…?)

 

膝枕。

…その結論が出たとき、一気にカナタの血液が頭に回った。

 

「ブッッ!!(鼻血)」

 

「カナタッ!?;しっかりして!!; やっぱり打ち所悪かったの!?;」

「…っ!」

鼻血を噴出したカナタに、カイルと、ついでにその近くにいるカイカもわたわたと慌てる。

「いえっ!大丈夫です!!;(むしろ幸せです!!;)」

「ほんとに…?;」

「若さゆえの暴走です!!」

「??」

 

本人がそう言うなら、と布を鼻に当てられるだけの処置がとられる。

 

「ふーv幸せですーvv」

少年は満足げにカイルの上で息を吐く。

未だにカイルの膝の上を陣取っているらしい。もう嫉妬も心中も忘れきったようだ。

「機嫌直ってよかった…; 、カナタ」

「はい?」

「カイカさんが、」

カイルがそう言ってカイカを示すと、横に座っているカイカがそっとカナタに紙袋を差し出す。

先ほどから持っていたまんじゅう袋だ。…カイカの大好物の。

「え?いいんですか、まんじゅう…」

「…」

小首を傾げるカイカは、何言わなかったが、何となく「ごめんなさい」と「お見舞い」というような意思表示が見えているようにも思えた。

…無表情だが。

「ありがとうございます〜v …僕も暴れてごめんなさいです…;」

珍しく自発的に謝るカナタに、カイルも微笑ましいといった様子で笑みを浮かべた。

 

 

とりあえず、まあ…

 

 

「ちょうど3つ入ってるみたいですし! みんなで食べましょう〜!!」

「vv」

「ならお茶用意するね、」

「ああっ!!;膝枕はまだやっててほしいんですーーーっっ!!;」

 

今日も同盟軍本拠地は平和である。

…それでいいのかは知らないが。

 

 

 

 

 

オチもネタも弱いのは…

気力レベルの問題でしょうか…;

精一杯やっていますが!!;