―――同盟軍本拠地ぼっちゃんラブ城…そこにはたくさんの生き物らが住んでいた。

 

…馬はいいだろう。

移動用やら、戦争用やらの用途として、当然必要な生き物だ。

牛、鶏、豚。

これも、食用としては必要だ。

竜、犬、猫、鳥、魚、ムササビ…

この辺りになってくると、一部は戦闘メンバーに含まれているのだが、非常食とも判断できないようなできるような、微妙な所だ。

しかも、ここの城主の性格からして、娯楽的な生き物としか思えない。

隙あらば、この同盟軍リーダーカナタは――加減なく、躊躇いなく、遠慮なく落ちている生物を拾ってくる…。

そこへ、小動物が非常に好きな、トランの英雄カイルが加わったが為に…

――――いつか同盟軍本拠地は、わくわく動物王国になってしまうのではないか…?

と、恐れられていた。

 

 

そして、今日もまた本拠地に新たな生き物が増えようとしていた…。

 

 

「……………」

「……………」

 

――――ふわふわのしっぽ、夜色をした艶のある整った毛並み、そしてつんとした耳…

 

「………げ…、」

そして、…そして! 愛しの人(と書いてカイルと読む)と酷似した雰囲気…!

 

「GETですーーーーーーーーッッッ!v!v!v!v!」

にゃあッ!?;(えっ!!?;)

 

 

 

 

 

 

 

すぐ先ほどまでは、静かで平穏だった本拠地…。

今はもう見る影もない。

 

「カイルさーーーんっ!!!! いいもの拾っちゃいましたーーー♪♪♪」

生き物を扱っているには、少しばかり荒っぽい方法(in懐…)で、確保した戦利品(にゃんこ)を持って、少年は物凄いスピードと勢いで自分の自室へと駆け込んで行った。

「カナタ、」

しかし、もうそのテンションに慣れてしまっているカイルはというと、大して動じず、イスに腰掛けたままカナタの方を振り返る。

何やら膝の上に何かを乗せている様だったが、それに気づく余裕はカナタにはない。

「聞いて下さいッ聞いて下さい!カイルさんーーーvvvスゴイ可愛いんですよッ!!」

「うん、;」

「見て下さいッ!!このカイルさんそっくりなにゃんこさん―――…」

懐から、苦しそうな顔をしたにゃんこが取り出され、それについてカナタが言葉を紡ぎ終わるよりも早く…

 

シャーーーッッ!!(カイルさんに何てことしてるんですかーッッ!!!)

 

ガリリッ…と、カイルの膝の上にいた物体が、勢いよくカナタを引掻いた。

「…………何ですか、コレ?」

「迷子になってたから…それに、カナタに似てると思って;」

茶トラ縞の耳としっぽを持つこにゃんこは、カナタの元から逃げ出せた黒いにゃんこを背に庇うと、シャーッシャーッ!といつまでも威嚇を続けていた…。

 

 

「飼い猫さんかな?」

「こっちは完全に野良だと思いますけどね〜?(怒)」

とりあえず、カナタは手当てを受けつつ、カイルと一緒にようやく落ち着いた2匹のにゃんこを観察する。

黒にゃんこは、特に懐く訳でも怯える訳でもない様子で、茶トラのこにゃんこの隣に座っていた。

こにゃんこの方は、未だに敵意をむき出した瞳でカナタを見ているが、もうしっぽは膨らんではいない。

どうやら2匹は知り合い猫らしい。

「…ムカつきます〜(怒)」

そして、顔に消毒液を塗られた少年は、その様子を不機嫌そうな顔で眺めるばかりだ。

何せ、せっかくカイルに似た可愛いにゃんこを触れると企んでいたのに、自分に似たこにゃんこのせいで、運んできた時以来、全く触れていないのだから。

「可愛くないですよコレッ!! 人に慣れてもいないですしッ!!(怒)」

「そう?」

カイルは首を傾げながら、こにゃんこの方に手を伸ばす…と。

 

グルグルゴロゴロv(『カイルさん』は好きですーv)

 

それまでの敵意が嘘のように、某ジブ●アニメのごとく、こにゃんこは甘えた。

「…可愛いと思うんだけど、」

「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎッ!!(やっぱりコレは敵ですッ…!)」

どこまでも気に食わない相手だと、カナタは歯軋りをした。

そう。

どうにもこうにも気に食わない。

元より、カナタはカイルに近づく輩は、それが猫であれ鳥であれ、ネズミであれ気に食わないのだけれども、今回の場合はそれらに対するレベルを軽く超え、ジェラシーストームが渦巻いている。

そう!それは言うなれば、同属嫌悪!

 

(むちゃくちゃ気に入りません…!何とかカイルさんを丸め込み!そっちのにゃんこさんだけを手元に残したいです…ッ!!どうやってこっちだけを城の外に戻してきましょうか…!)←悪。

 

カナタの心が悪へと傾いたその時、ペトッと、小さな生き物の手独特の感触が、膝の辺りでした。

にぁー?(怒らないであげてね?)

何事かと見てみれば、黒にゃんこの方が執り成すかのように、カナタの元へと来ていたのだ。

しかも、サイズ的に見上げるような体勢で。

 

 

可愛い…v

 

 

つぶらな瞳に、ノックアウトされ、カナタはニヘラ〜vと笑み崩れた。

「飼っ、飼っちゃいましょうか…vカイルさん…2匹まとめて…」

「え?いいの? ――でも、飼い猫みたいだけど…」

「じゃあ飼い主が見つかるまでって事で!ね!預かりましょう!!」

こうして、あっさり2匹のにゃんこらは、しばらく城内に生息する事になった。

 

 

「いいの?ここにいる事になっちゃって…」

「おうち探しは一旦休憩って事でいいじゃないですか☆ ―――大丈夫です!何があったとしても何人たりともカイルさんには近づけさせません!!」

キラリと爪を尖らせるこにゃんこ…。

それを見て、黒にゃんこさんは、本当にそっくりだなぁ…;と思った。

 

 

2匹のにゃんこが、本拠地にやって来て、はや3日…。

 

「ぶ〜。(怒)」

 

…カナタは、机の上に肘と顔をのせ、すっかり拗ねていた…。

「つまんないです…つまんないんですーーーーーッッ!!(怒) しかもムカつきですーーーーー!!あの可愛い生き物を膝の上に乗せたり抱っこしたいって思ってるのに全然出来ませんーーーーーッッ!!(怒泣)」

 

そう、ここ暫くの間…

「黒にゃんこさーんvv」

にー?(呼んでる?)

ふしゃーッ!!(聞かなくていいんですーッ!!カイルさんに近寄んじゃないですーッ!!)

「ギャーッ!!(怒)」

しゃーふシャシャーーッ!!(カイルさんには指1本たりとも触れさせませんーッ!!)

黒にゃんこにカナタが触ろうとする→こにゃんこ威嚇→黒にゃんこに触れないカナタ→戦い勃発…という、公式が繰り広げられていた。

しかも。茶トラのこにゃんこの方はと言うと、ちゃっかりカイルの膝の上に乗ったりするのだから、カナタの怒りは言わずもがなである…。

これは、カナタが2人いたら、互いに戦い合うという証明のような気がしてならない。

 

 

(餌やろうとしても引っ掻きますし〜ッ…!)

ちなみに、カイルが上げる時は普通に受け取っているらしい。

「…しかもッ今日はカイルさんもいませんしー(怒) 退屈ですーッ」

ブスくれた顔で、独り自室に残るカナタは、独りでただ愚痴る。

悪循環のようだ。

今、カイルは図書館に本を返しに出かけた所である。(1人で行けるから、と言われてカナタは強制留守番)

―――こんな時にこそ、あの可愛らしい黒にゃんこを膝に抱き上げたりして、心を癒したいというのに、そのにゃんこはというと…

(あのにっくきこにゃんこめ…ッ!!)

そう、茶トラのこにゃんこと2匹して、遊びに出かけている所なのだった。(しかも、茶トラの方が引っ張って行く所を目撃。)

その恨みに、カナタはまるで…いや、そのものズバリ悪役といった感じで、ギリギリと拳を握りしめていた。

「いつかビシッとバシッとあのカイルさんなにゃんこさんを手にしてやりますよ!!」

にゃー!(大変…!)

「ハッ!;聞かれましたッッ!;…って、あれ?」

ビクッとなった所で、その黒にゃんこ本人が、転がるような勢いでカナタの自室に飛び込んで来た。

「…聞いてました?」

に?(え?)

「(聞いてなかったみたいですね!;)…って、事は、黒にゃんこさんも僕の胸に飛 び込んできたかったんですねーーーーッッv」

むぎゅうッv

にゃー!;(違うのッそうじゃなくて…!;)

ぎゅうぎゅうと、遠慮なく抱きかかえるカナタに、黒にゃんこは苦しそうというより も、何かを訴えるようにじたばたともがいた。

にゃー!にゃあにゃあ!(カナタがッ…助けて!)

「え?」

ただならぬ様子に、幾らカナタと言えども抱き締める手を緩める。

そして、よくよく見てみると、ただ事ではない事態を訴えようとしていた。(ような気がした。)

「…何かあったんですか?」

にゃあっ(来て!)

緩んだ腕から、黒にゃんこはするりと抜け出すと、来た時よりも速いスピードで外へと駆け出した。

「ああっ僕の癒しがッ(泣) …でも、そんなに急ぐ事が何か起こったんですか?」

そして、カナタはどこへ行くのかと疑問を感じながらも、素直に従って走り出す。

 

 

 

辿り着いたのは、洗濯場…。

 

「………」

綺麗にたなびく洗濯物が並んでいるはずのそこは、今は何故だかバラバラグチャグチャと歪んで並んでいた。どうやら、強風にでもあったらしい。

「ヨシノさんが大変ですね…;」

にゃあッ!(あそこに…!)

呑気に呟くカナタに、黒にゃんこが指し示すようにしたのは――――洗濯物と一緒にガケの途中で引っかかっているこにゃんこの姿。

つまり…

「…落ちたんですね;」

にあっ!(お願い…助けてあげて!;)

何をしていたのか、こにゃんこは風に飛ばされた洗濯物にひっかかり、崖の下へと転 がり落ちたという有様らしい。

にゃんこの身では、とても這い上がれそうにない、急傾斜な崖…。

何とか、こにゃんこはそこに引っかかるようにしてしがみ付いているのだが、力尽きるのも時間の問題そうだった。

「………さすがに、ここで見捨てたら寝覚めが悪い上に、嫌われそうですよね…;」

カイルさんからも、この黒にゃんこさんからも…と、言葉は継がなかった。

フッ…と、息を吐くと、カナタは崖へと向き直り、そして…ゆっくりと崖を降り始める。

 

に〜…;(くっ…屈辱です〜ッ 突風さえ吹かなきゃこんな所に落ちる事もなかった のにっ…!!)

 

弱々しげ…というより、どこか悔しげに鳴くこにゃんこ。

それに気付いたのか、カナタはニヤリと笑った。

(ふっふっふー♪勝ち星一つですね…♪)

そう思いながらも、注意深く少年は崖下へと降りていく。そう脆くはないが、湖に切り立っている為、少々崩れやすい。

にゃ〜?(大丈夫?)

心配そうなにゃんこの声が頭上から響く中、2人(1人と1匹)は声を揃え、

「大丈夫ですよー!」

にゃー!(大丈夫ですからー!)

と、返事をする。

 

「………」

………。

 

ふいに、そう離れてもいない距離で、1人と1匹の視線は交差した。

(ふっ!こんな状況においても、無事だと強がれるなんて…愛ですね! 猫ながら天晴れな態度です…ッ!)

カナタは、こにゃんこをライバル(と読みを振る心友)に注ぐがごとく視線で、相手を見つめる。

見直しましたよ、と少年は言いたげだ、そしてそれは茶トラのこにゃんこの方も同じだったらしく、確保しようとカナタが伸ばした手に、大人しく自ら落ちて来た。

…何となく、友情が芽生えたりする一瞬だ。

そして…

に。(あ)

「こんな所でなにしてるの?危ないから…え?―――カナタッ!?;何でそんな所に…!」

「あ、カイルさん〜vv」

そうこうしている内に、2人(1人と1匹)して崖にへばりついている所を、カイルに見つかってしまった。

カナタはそれに駆け寄るがごとく、マッハのスピードで降りた崖を一瞬で登って行った。

「ちょっと救出作戦中でしたv!」

「そうだったの…?; でも、…今度からは、せめてロープくらいは使ってね;」

「はッ!;(忘れてました!)」

にー(大丈夫だった?)

にゃ〜v(大丈夫ですー!)

「まあとにかく!洗濯物片付けましょうか!」

「うん、そうだね」

なぁぅ(手伝えるかな?)

にー!(運ぶのとかなら手伝えますよ!)

2人(1人と1匹)に迎えられた、カナタらは、窮地を救い救われした事で、以前より少し仲良くなった。

 

 

 

 

 

――――――かに、見えたが。

 

 

 

 

 

「カナタ、仲良くなれて良かったね?」

に〜(本当によかった…)

黒にゃんこを膝に乗せたカイルは、和やかな空気でカナタにそう声をかける。

対するカナタはというと…黒にゃんこをだっこしようとしたというのに…何故だか、こにゃんこが乗っていた。

「ハハハハハハハハハ〜(怒泣)」

 

(チクショ〜ですーッッッ!!せっかく黒にゃんこさんに触れるチャンスをーーー!!)

にゃ〜(それはそれ、これはこれ…カイルさんは触らせませんよー)

 

…膝の上、茶トラのこにゃんこが不敵に鳴いた。

 

 

 

 

 

こうして、こにゃんこの勝利の日々は続いたと言う…。

 

 

 

 

 

END

 

 

『にゃんこな二人と人間(?)な二人が出会ったら?』

という、拍手メッセージより、

…恐ろしい戦いが勃発しました。

答えは、血を見る争いが起こるでした(笑)

都合により(?)にゃんこらは、猫語としてお送りしております。

…一応、ドラッグで会話が…出たり出なかったりです。

何だかよくわからない話となりましたが、ありがとうございました〜☆

 

 

 

↓後、とりとめなくなり過ぎたので、消したシーン…。

 

 

 

<没シーン。>

城の中、だいぶにゃんこらがいる生活になれてきた頃…。

「2匹とも…自活してるみたいだね、」

「自活はいいですケドね…―――この間、池の金魚採ろうとしてましたよ?」

「…金魚だけはやめてねっ!?;」

にー?(え?ダメだったんですか??;)

金魚は完全な愛玩用らしい。

「ほら!金魚も危ないですしvこっち(茶トラこにゃんこ)だけ、他の危険がない場所に隔離しましょ――…」

ガブリ。(怒)

「ギャーーーッ!!;猫なのに噛みましたーー!!;」

「カナタッ!!!;大丈夫!?」

にーっ;(カナタッ離してあげてっ!!;)

2人(1人と1匹?)のカイルに宥められ、本日も2人(1人と1匹)のカナタの、血を見る戦いは収まるのだった。