十年バズーカー!?〜過去編〜
「ひゃ…」
ドサッ!と、カイルが投げ出されたのは、深い森の中だった。
深い森、とはいっても。薄暗い感じではなく、緑が多く、人の出入りも多そうな森である。
「…ここは?;」
服についた土を払いつつ、カイルはゆっくりと何がどうなっているのかということを思い出してみる…。
そう、確か…
カナタが何かまた妙なものを手に入れていて…
―――えっと…『十年バズーカー』???
確かそういっていた気がする。
カナタの言う事はいつもよくわからないのだが、また別の作品から妙なものをとってきたのだろうという事だけは、よくわかる。
どうやら、その被害にあって、こんな場所にいるらしい。
「………」
しかし。
分かったからといっても、ここがどこであるのかという事は全くわからない。
辺りを見渡してみるが、全く見覚えのない土地のようだ。
気候からすると、そこまで遠くには来ていない気もするのだけれども…
「………」
とりあえず、ここでこうしていても仕方がない。
どれだけの時間この場所にいるか分からないけれど、とにかく人家を探さなければならないだろう。
そのうちカナタが探しに来るだろう事は確かなのだし………と、何故かそんなところだけ妙な信頼感がある。
カイルは、森を抜けようとてくてくと歩き出すが、その歩みはかなり早い内に止められる事となった。
「、」
茂みの中…目をこなさなければ、気付けないくらいの場所に、小さな子供が隠れるようにしゃがんでいるのが見えた。
(こんな所に子供…?)
子供の遊び場所にしては、少し深い森だとは思うものの、何とかここが常識の範囲の世界であることが分かり、実際のところほっとした。
―――しかし、声をかけてもいいものか、カイルは少し悩んだ。
急に声をかけてしまって良いものか…もしかして、相手は迷子かもしれないとも思うし、不審人物のように思われてしまうかもしれない…等と首を傾げながら、カイルは考えるが、悩んでいても仕方がない。
「あの…、君」
「!」
びくん!とばかりに後頭部を見せて座っていた子供の体が跳ねた。
「………え?;」
「…おにいさん、だれ?」
少し警戒の色を浮かべながらも素直そうな顔つきに、大地の色をした目と髪、年齢よりも賢そうな口ぶりに誰かを彷彿し、カイルは思わず声を上げていた。
…そう、いつも見慣れている少年を10才くらい若返らせれば、こんな感じになるだろうという子供に、カイルは…少しめまいを感じた。
「ここは…どこか教えてもらっても、いい?;」
「…きゃろのまちのちかく…のもり。 おにいさん、まいご?」
質問に返ってきた答えに、カナタの故郷の街だと思い出す。
…それでも、まさかと思った。
「君の…名前を聞いてもいい…?;」
「…おにいさんの―――」
おそらく、子供はカイルの名前を聞きたかったのだと思われるが、不意にカイルの顔をまじまじと見ると、思い返したように頷いて、にこーっとと嬉しそうに自分の名前を口にした。
「ぼく、かなた」
…その声に、カイルはふぅっと意識が遠くなった。
どうやら、過去に飛ばされてしまったらしい。
「ぼくね、もりの中でかくれてたの、このあいだちっさいムササビみたよ。いっしょにじょういとななみもいたけど、きょうはぼくひとり。」
最初の警戒が嘘のように、子供特有の人懐っこさでカイルに話し続けるカナタ(幼)。
別にカナタ本人が小さく化けている様子もなく、下心なく懐いて来る子供の姿はとても愛らしいものだった。…たとえ、その子供がねだるように膝の上に乗っていたとしても…。(腐ってもカナタはカナタらしい。)
にこにこと笑いながら、自分の顔を小さい手で触ってくるカナタ(幼)に、カイルは少し困りながら、話しかける。
「どうしてこんな所で遊んでたの?」
「いじめられるからー」
「………」
…カナタに、もっとも不釣合いな言葉を聞いてしまった。
「…苛められてるの?」
「うん。ひろわれっこだからって、いじめられるけどぼくはかてるよ、じょういが負けるんだーななみがいちばんつよいから、すぐきてくれるし」
「………」
あまり昔の話は聞いた事がなかったカイルだったが、カナタにも色々と複雑な過去があったことだけはわかった。
考え込むカイルの顔を見上げ、子供はまっすぐな目で問いかける。
「ぼくつよいよ?」
「うん…。……大きくなったら、もっと強くなれるから…」
微笑して、カイルはそう付け加える。(…多少強くなりすぎている感があるが…その辺りはスルーする。)
するとカナタ(幼)はきょとんとした表情を見せた後、にぱーvと子供らしい満面の笑顔を見せた。
…今もこれに近い笑い方をするが、この頃の方がもっと純真な笑顔だった。
「ぼく、がんばってもっとつよくなるね!」
「うん…」
「でねっつよくなったら…」
「かなたーーー!どこーーーーーっ!?」
「あーななみだ。」
義姉の前で膝の上で抱っこされているのを見られるのは恥ずかしいのか、何か言いかけたのをやめてカナタ(幼)は、しぶしぶとカイルの膝から降りた。
そして、カイルをじ〜っと見上げる。
「?」
カイルはそんな様子を何だろう?思いながらも微笑ましい気持ちで見ていたが、さすがにずっと一緒にいる訳にも行かないので、小さく手を振って見せた。
「バイバイ、」
「う〜〜〜…またねー?」
「………うん、」
何年も何年も先のことだけれども。
カイルは小さく頷いた。
それに子供は笑顔を返すと、少し離れた場所で自分を呼ぶ義姉の下へと走り出した。
大きな声で…
「ななみおねえちゃんーーー!!よーせーさんがいたーーー!ぼくようせいさんとおはなししたよーーー!!」
と叫びながら。
「煤I?;」
妖精!?
自分がそんなものではないことは、カイル自身が一番よく知っているし、何故カナタ(幼)がそう思ったのかも分からない。
カイルはパニック状態に陥ってしまった。
「えええーーっあたしもみる〜っ かなたばっかりずるいーーっっ」
「いたいいたいーっ」
ポカポカと殴られているのか、じゃれあう声が聞こえる。
「〜〜〜っ;」
よりにもよってそんな恥ずかしい思い違いをされているなんて…
(子供の夢を壊すわけにもいかないし…;)
どちらにせよ、将来はあのカナタになるのだから、そんな気を使う必要はないと、普通なら思われるが、カイルは見つからないようにその場から一気に遠ざかった。
そして、フッ!と突然、周りの景色が歪んだようにぼやける。
次の瞬間、カイルが見たものは―――――…
「絶対可愛いですーーーーーーーっっvvvvv」
…ぎゅうぎゅうと自分に抱きついているらしい、今のカナタの後頭部だった。…しかも、鼻血を噴いている。
「…カナタ?;」
「はっ!; カイルさん!もう10分経っちゃいましたか! おかえりなさい〜〜〜vvv」
「………」
きっと何かやらかしたのだろうけれども、それが何かは分からない。
周りにいるビクトールやフリックたちがほっと胸を撫で下ろしているのもかなり気になるのだが…
「…さっきの、何?」
端的に説明を求める。
「えーっとですねーv 10分だけ、10年前の自分を入れ替えるアイテムですv」
聞きたいことは一つだけ。
「………………………………………10年前の僕に何かした?」
「………………………………………えへv」
とりあえず、何かされたという記憶が自分の中になかったので、棍の一撃を食らわせるだけで勘弁してあげた。
過去と現在の坊ちゃんが入れ替わるに続く?(爆)
別作品からのネタを使う…v(吐血)
おまけ。
「そういえば、カイルさんはどこに行ってたんですか??」
「え?僕は…小さい時のカナタと会ってたけど…」
「ええ! じゃあ小さい時の僕とカイルさんて会ったことがあるんですかvv!? …ていうか、何でキャロにいたんですか?小さいカイルさん…」
「さあ…でも、昔行方不明になった事があって…長い髪の女の人がくしゃみして………今思ったら、ビッキーに飛ばされたのかも; 誰かが迎えに来てくれて、家に戻れた記憶はあるんだけど…;」
「………なんか複雑なタイムパラドックスがありそうですね;」