とろんと潤んだ瞳。
熱くて甘い吐息。
上気して赤く色付いた頬。
誘うように薄く開かれた、花弁のような唇…。
―――――カナタは一瞬、あれ?ここ裏だっけ?と思った。
でも、そんな訳はなく、間違いなくここは堂々たる表サイトである。
そして、5周年企画のリクエストの場である。
「カイルさーーーーん!?!?;」
「かなたぁ…v」
ほんぎゃー!とカナタの叫び声が、夜の酒場に響き渡った。
ぼっちゃんラブ城、夜の酒場…そこは、荒くれ共と言うよりは、飲んだくれのダメな親父が集う場所であった。
ついでに、うるさくもにぎやかな場所ではあるので、眠れない未成年者も稀に、レオナから甘くて温かいハチミツホットミルクを飲ませてもらったりもする場所だ。
まあ、カナタもたまにと言うか、やや多く滞在している場所ではあるのだが、今その慣れた場所でとんでもないことが起こっていた…!
「ふ、はぁ…」
にこにこにこv
「カイルさん…(鼻血でそうです)」
少し赤く染まった顔で、満面の笑顔を浮かべ、気持ちの良さそうな声を上げている…。
カナタは知っていた、―――これは、酔っている…と。
まだ大人しい方の酔い方だが、酔うとカイルはとても色っぽくなるので、すぐに分かる。
そもそも、自分もカイルも酒に弱く(飲めるけどすぐに酔う)めったな事では、酒は口にしない。(カナタはあえて挑戦して酔っ払う事はあるが…)
―――――自分に触れてくる熱い身体からあえて意識を逸らす為に、カナタは更に思考に集中する。
(えーっと; あ〜原因はー僕が倉庫に言ってる間にーちょっと寒くなってきたから〜今は不在のレオナさんが、ホットミルクにブランデーを一さじ入れてたのをカイルさんが飲んじゃったせいで〜; ブランデー一さじでもカイルさん酔っちゃうんですよね〜…温かくて、いい匂い…―――て、ハッ!;危うく理性がッッ!!;)
頭を振って野獣の心を振り払いいつつ、カイルの方を見ると、崩れた襟元から覗く白い首筋やら、ピンク色に上気した鎖骨が見えている肌とか、とろけた笑みを浮かべていて――――
「ぎゃーーーーー!!消え去れ煩悩ーーーっっ;」
素面のカイルがしていたなら、即座に飛びついただろうけれども、酔って正常でなくなっているカイルを押し倒すなんて…さすがに出来ない。(善魂)
しかし、これ以上美味しい状況もないわけで…(悪魂)
「あつぃ…」
「ふに”ゃごっ!!;」
肩にすりん、と頭を擦り付けられて、カナタは踏まれた猫のような声を上げた。
…ちなみに、周囲はというと、夜も更けているため、酔っ払いonlyで、正常な理性の持ち主はいなくなっていた…。しかも、今日はフリック不在の為、ツッコミ人口も皆無だ。
「…………………ぃちばん…かいるまくどーる…」
「カイルさん?;」
ふいにカイルが肩に預けていた頭をふらりと上げると、完全に意識が朦朧としているような声で呟いた…。
「ぬぎます…v」
「ぶはーーーーーーッッ!!;」
宣言するが早いか、カイルはニコニコと笑いながら、テーブルの上にのし上がって、上着から脱ぎ始めてしまった。
まさに、セクシーショーだ。(?)
「おー!やれやれーー!(笑)」
うおおおお!と盛り上がる一同。
「ビクトールさぁああんッ!?(怒) 止めて下さいよーーー!僕もーっ理性がぁーーーッッ!!!」
「いいじゃねぇか、めったにある事でもなし」
「『めったに』!?」
以前にもカイルさんのもろ肌がーーーーッ!?;とホンキで叫ぶカナタだ…。
…後に、フリックが語った所によると、「宴会芸として脱ぎ技の見本を見せたのは…ビクトールだった;」との事だった。
「カイルさんーーーっっ;ストップですーーー!!人前で脱いじゃ嫌ですーーーー!!;」
「かなた?」
背後から抱きついて止めるカナタを、とろんとした目でカイルは見る。もう、Tシャツの裾に手がかかっている為、ヘソがチラ見えだ。
…ちょっと鼻血が出た。
「じゃましないで…?」
「ダメですーー!!;脱ぐのは僕の前だけにしてくださいーーーっっ!」
「かなた…僕のことキライになったぁ…」
「そんな事はないです!!全くありえません!!;」
うりゅんっと涙で瞳が潤む。
どうやら、泣き上戸になりかけたらしいが、カナタの返答を聞くと…
「ほんと?」
にっこりと花のほころぶような笑顔を見せたカイル。
目の端にに涙が少し溜まっていて、グラリグラリと理性が揺れる。
しかも、かなりの密着具合で、吐息が首にかかるほどで、欲望がどんどん理性を押してくる。
(もーーーーけーー〜〜〜>ショート寸前)
…ふいに首筋にくすぐったい感触。
「じゃあ…かなた…―――――…して?(///)」
恥らいつつも、確実にあんなやそんなやの行為を求める言葉に、カナタは…
ドカーーーン!ドカーーーン!!ドカーーーーーン!!!!!
(心象風景)
「―――――――はーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!!; 危うく人格崩壊の危機がーッッ!!;」
「…してくれないの?」
「あ”−−−−−−首に息がーーーッ!!誘わないでくださいーーーッッ!!;」
そろそろ何故自分がここまで我慢しているのか、分からなくなって来た。
悪の心が、食っちゃえ食っちゃえ♪(デビルカナタ)と囁く声が聞こえる…。
そして、カナタが自分との戦いに熱中していると…
―――ぐるんっ
「って?あれ?」
いきなり、視界が反転した。
何故か天井が見える。
仰向けにひっくり返されたのだと気付いたのは、上気して色っぽいカイルの顔が見えてからだ。
カイルは非常に悩ましい、素肌がチラチラと見えるような格好で、頭がフリーズしてしまっているカナタに顔を寄せると、拗ねたような口調で囁いた。
「してくれなきゃ…するから、(///)」
ちゅっと首筋に甘い感触。
―――――――――――――――押し倒された(しかも誘い受)のだと気付いたのは、一秒半後だった。
ああ…もう、こりゃダメだ…。(セクシーすぎる)
プツン、とカナタの何かが切れた。
「カイルさーーーーーーーーんっっっ!!!!!」
おー!やれやれー!と無責任な野次の元、上にのしかかっている暖かな身体を力一杯抱きしめる。
もしかしたら、夢のあんな事やそんな事もしてもらえるかもしれない!
もう目がイッちゃってる感じのカナタだったが、――――ふいに腕の中の体が、ガクンと重くなった。
「…カイルさん…?;」
嫌な予感に恐る恐る、カイルの顔を覗き込んでみると…
「すー…」
電池が切れたように眠りに落ちているカイルが、そこにはいた。
「ぎゃーーーー!!;(泣) カイルさん寝ちゃいましたーーーー!!; 生殺しですーーー!!;(号泣)」
どわっはっはっはっは!と爆笑する酔っ払い達に、八つ当たりで『大爆発』でも放ちたくなったが、カイルを起こしてしまうかもしれないので、一応は止めて置いた。…後で、閻魔帳にメモされるだけに留めたようだ。
「うう…(泣)後で憶えてろーです〜」
カナタは男泣きに泣きながらも、カイルを姫抱っこで抱えると、自室のベットに向かって歩き出す…。
「…後で、起きたら襲いますけどね…」
そんな不穏な事を、平和に眠るカイルに呟きながら…。
「あー;せめて裏の企画だったら〜;」
「うーん…;(魘され)」
このサイトの天魁星は、酔っ払うとタチが悪いです。(笑)