ああ…!好きな人の事を限り無く知りたいと思うのは、世の常…!
一歩間違えれば、ギリギリアウトでストーカーになるケド、大丈夫です☆
だって全ては愛ですからv!
BY オレンジドラゴン軍リーダー15才少年の独白♪
好きな人(カイルさん)の為なら、毒杯でも呷る!(そして根性でもって死なない!)
常々、そんな持論を持っている少年は、現在毒杯ではないが、限り無くそれに近い飲み物を呷っていた。
―――『?薬』(鑑定待ち)
それは、この少年カナタが、趣味と実益を兼ねてつくり出したり、どこからか仕入れて来たりする、原材料不明の怪しい薬である…。
効能、味、どちらも良く、副作用もない代物ではあるが、そんな都合の良い物が存在する事事体が怪しい。そしてそんな物を口にするのには、かなりの勇気がいったりする。
現在カナタがそれを口にしている理由はというと、――――『愛の暴走』。この一言で説明できるだろう。
…どんな周期でやって来るのかは分からないが、少年は思いつきと衝動で突拍子もない行動を取る事がある。
ちなみに、今回は…
「―――――っぷは〜!カイルさんの秘密!絶対一個は新しいの見つけて見せますよ〜vv」
という理由だった。
そんな訳でカナタは、―――犬になった。
くぅ〜〜…
鼻から音を出すような声が部屋の中、響く。
(う〜ん…犬になったはいいですけどー…ちょっと微妙ですー!;特にまゆげッ!)
姿鏡の前、元カナタであった犬が、不満げに鼻を鳴らしていた。
子犬とまではいかないが、成犬よりも小さな姿に、ふわふわもこもこの茶の毛並み。
それだけでも犬好きの者は可愛いと思ってしまうだろうに、更にそこにポイントを加点しているのは、額に白くある、まゆげのような模様だった。情けなくも可愛らしい。
ついでに犬になる前に括ってあったのか、首には黄色いバンダナに何か物を包み、風呂敷のように担いでいる。
(まあいいです!これだけ小さければカイルさんに気付かれず、かつ!下からの角度…もといいつもとは違う角度から眺め放題調べ放題です!)
小さければいいというなら、ネズミにでもなればいいと思うが、それは排除される危険性(特に台所仕事関係のものから)があるので、犬になったらしい。
「くぅ〜!」
カナタは脱げ落ちた衣類を部屋の隅にまとめると、一声鳴いて獣特有の素早さで部屋から出立した。
(あ!いました!)
犬並になった嗅覚を使い、カイルを見つけだすと、カナタ(犬)はチョロリと樽の後ろに隠れ、顔だけを出した。
発見したカイルはというと、平穏に池の魚にエサなどをやっている所だった…。
(右よーし左よーし、不審人物なーし!)
そして、左右と辺りを見回し、カイル以外の人間がいない事を確認する。
(僕がいない間にカイルさんを狙う輩はいませんね!)
カナタ(犬)の鼻から満足げな息がもれる。
とりあえず満足し、伏せの体勢のまま、カイルの観察を続けるカナタだが、視線の先のカイルはというと何か不穏な物を感じ取ったのか、辺りを見回しているようだった…。(しかし相手が獣の気配をしている為、犯人を見つけられない。)
「………;(何か変な気配がするような…?;)」
首を傾げ、更に見回すが、やはり辺りに人気はない。
もしやカナタがどこかに潜んでいるのかとも思うが、―――それならそれで、(本気で隠れているなら)見つけだしようがない。
「―――?;」
しかし。やはり集中して気配を探ってみるが、人の気配は見つける事が出来ない。
カイルは悩むが、それで答えが出る訳でもない為、池にエサを撒く作業を再開する。小さな波紋が広がり、そこに小さな魚が集まって来る光景は、とても平和で心が癒される。
「〜〜〜〜…;」
が。やはり、どうにも落ち着かない。
何かにじっと見張られているような気配は、気持ちが良い訳もなく、少し周囲を探索してみようかとも考えた。
エサの箱をぱふっと閉じ、身を翻した時、―――ふいに訓練場から人影が出て来た。
「よう!カイル。――珍しいな、今1人か?」
「カナタはどうしたんだ?」
「ビクトール、フリック」
見知った顔が来た事に、カイルは、ほっと微笑を見せた。
(む〜ムムム〜!)
くぅうう〜!
唸るというよりは、やはり間抜け可愛い声をカナタは出していた。
(微妙な邪魔をされましたよーッ!! 僕のカイルさん秘密を探せ作戦が台無しです!)
ビクトールとフリックは、カイルに何ごとか話し掛け、その返事を聞くと笑ってどこかへと連れ去って行く。(カナタ視線的に)おそらく、カナタがいないという事を知った為だろう。
(こうしちゃいられません!!追い掛けますよ〜!)
くぅうう〜
…やっぱり間抜け可愛い声で鳴いて、カナタ(犬)は勢い良く後を追い掛けた。
もはや、誰が見ても犬にしか見られない姿だ。元々人間であるのが信じられない程、本能に忠実な行動である。
カイルがつれられて来たのは、毎度お馴染みの酒場だった。―――カナタもカイルも酒は飲めないが、何となく居心地が良い為、ついつい利用する回数が多い場所だった。
今、カイルはビクトールらと同じ席に付き、それを追ったカナタ(犬)は死角にある、椅子の下にこっそりと潜り込んでいた。
アルコールが頭に回った物が多い為、カナタが入って来た事や隠れている事に気付く者はいないようだ。
(でも、少しのジェラシーを除けばッ…これはこれで秘密ゲットのチャンスかも知れません…!僕の知らないカイルさんの秘密…!それはやっぱり、過去の話…略して過去バナですよ!ビクトールさんとフリックさんが相手です!口も緩みやすくなっている筈!!)
しっぽをぱたぱたと押さえきれないといったように揺らし、カナタ(犬)はピーンと耳をたてて盗み聞きする。
(さあ!早く!今こそ僕の知らないカイルさんのサイドストーリーを…ッ!!)
…そんなカナタの(不純)な願いが天に通じたのか、頭上からは望み通りの会話がぽつりぽつりと交わされ始めていた。
「そういえば、お前昔とだいぶ性格変わったよなぁ?」
「そう?」
「おう。」
「ああ。」
(ムムッ!それです!その辺りの事を少し!)
昔の話は聞きにくい事もある上、解放軍メンバーに聞いても話を逸らされる事が多いのだ。
「良い意味と悪い意味でもあるがなぁ…、3年前の性格っていえばお前…」
(何ですか!?)
ビクトールの笑いの隠った声に、しっぽが激しく揺らされる。
「そうそう…(汗)変わった例で言えば、特に…カナタの奴に対する態度とかか?」
(僕ですかv!?愛ですかっ!?)
「そう…かな?」
困ったようなカイルの声。
「甘くなったんじゃねぇか?」
「そうだな…;アレに怒らないんだからな…」
(愛ですね!?愛!!)
カナタの心臓と同じリズムで、しっぽも揺れる。
「確か…昨日カナタの奴がやってたような事、3年前にもやられてたろ?」
(――――え!?僕何しました!?どれですか!?むしろカイルさん何されたんですかッ!?)
「あの時は確か」「お待ちどうさまでした、注文の品です」「…な事が、ああ、ありがとう」
(何があったんですかーっ!?)
「ネクロードのヤツの時にもなぁ…いい気味だったが…アレはなぁ」
(アレって何ですかー!?)
「お前あの時なんて言ったか覚えてるか?あの時――「フリックさーんっvv」「うわあッ!!ニナッ!?」って言ってなぁ、まさかあそこまで「うわあああああああッ!!」ってな〜(笑)」
(こっちがうわああああッですよッ!!;全っ然!全然聞こえませーんッッ!!; ああああッ!!一体何があったんですかーッ!!)
ドタンバタンッ!と、ニナとフリックの争う騒音で、ビクトールとカイルの会話は掻き消されてしまっている。秘密どころか、会話さえ聞こえない。
カナタ(犬)の喉からは、口惜しさから、くぅう〜くぅう〜とうなり声が上がってしまっていたりした。
「だから「やれやれ…酷い目に…;」な事があった時にもだなぁ」
適当な口実と別の日にデート(?)の約束をこじつけられた為、フリックはなんとか解放されたらしい。
「大丈夫?フリック;」
「いや…;」
あんまり大丈夫じゃないと言うふうに、フリックは首を横に振った。
そして、その拍子にテーブルの上に置いてあったスプーンが、床に転がり落ちてしまった。
「あ…」
「いや、オレが拾う…;」
ついていない時は、とことんついていない。そう確信したフリックは、手を伸ばそうとしたカイルを制し、テーブルの下を覗き込んだ、そして――――
チャリーン…
と音がした時、椅子の下のカナタはこう思った。
(あ、ヤバいですーーー!!;)
その予感は的中し、テーブルの下を覗き込んで来たフリックと目がかち合ってしまった。
「あ?」
「――くぅうっ!」
マズイ!そう感じ、思わずうなり声を上げると、黄色いスカーフ風呂敷からはみ出した長い木の棒のような物をくわえ、一気に引っ張り出す。
ズルリと取り出された木の棒の先には、金づちのような形で鉄の固まりがくっついており―――ハンマー型の爆弾だ。
前足で安全ピンを押さえ、頭を振る事でそれを引っこ抜くと、何か言おうと口を開いたフリックに向かってそれを放り投げぶつけた。
「―――まさか、お前…カ」
ドゴーンッッ!!
…人体を破損させるまでには至らない威力の小爆発(人体に配慮☆)が、テーブルの下(フリックの顔面 )で鳴り響く。
「何!?」
「おいフリック!?大丈夫かッ!?」
(一時撤退です〜!!)
とりゃー!とカナタは一目散に逃げ出そうとしていた。
「一体下に何が――!?」
が。
…一足遅かった。
カイルも行動が素早く、何ごとかとテーブルの下を覗き込んだのだ。
「………カナタ?」
「…くぅぅぅ〜」
今にも障害物に隠れようとしていた犬の後ろ姿を、カイルはしっかりと目撃してしまったのだ…。
「くぅう〜くぅうう〜!」
(一目で僕が分かるなんて愛の力ですねッ!)※黄色スカーフとに日頃の行いのせい。
「…何言ってるのか分からないんだけど…こんな所で何してたの?」
「…覗きかストーカーの類いじゃないのか?」
「……………」
ズバリビンゴだ。
どちらにしても、人権侵害には違いない。
その証拠に、カイルの顔から笑みが消えている。
「………」
(………………こっこうなったらっ!!;)
身の危険を感じたカナタは、逃亡を諦め―――――一歩、一歩、てしてしとカイルの元へテーブルの下を潜り戻って行った。
「………」
「………」
「………」
「………きゅーんきゅーんきゅーん」
「っ……!!;」
カナタは鼻でピスピス泣き出した。
「カナタッ!?その声やめてっ…」
「きゅんくきゅん…っ」
しっぽをぱたぱたと振り、間抜け可愛い眉のある顔で見上げると、怒気がカイルの顔から消える。動物が好きなカイルにとって、致命傷とも言える攻撃だ。
(か…かわいいっ…v;)
(…やりました♪)
もう、勝手に後をつけて来た上、小動物に化けてまで覗き行為(や監視?)をしていた事まで、カナタは忘れさせてみせた…。
ぱたぱたと遠慮がちにしっぽを振り、床の上についた膝の上に前足を乗せれば、チェックメイトだ。
「〜〜〜〜v♪♪(汗)」
カイルは思わず、ぎゅ〜っと抱き締めてしまった…。(負け)
(やりましたー!)
ガッツポーズの代わりに、しっぽを激しく振ると、カナタはぺろりとカイルの頬を舐めた。
舐められたカイルは「ひゃ、」と声を上げた物の、全然嫌がってはいないようだ。こげたフリックを回付するビクトールを後目に、カナタ(犬)を機嫌よく撫でている。
(あ。)
と気付いたのは、その次の瞬間だった。
(―――ッマズイですっ…!!)
ざわざわと全身に嫌な予感と感覚が走り抜ける。
「カナタ?」
慌ててじたばたと短い手足を動かし、カイルの腕の中から逃れようとするが、なかなか上手く行かない。
(本気でマズイんです〜〜〜〜ッッ!!;)
あぅうあぅうと鳴きながらカナタ(犬)は、本人以外気付き様のない理由から焦っていた。とてつもなく。
…敗因は、今回は(自分が使うと言う事で)時間制限で効果が切れる薬を使った事だろう…。
そして、もう一つは―――犬から人に戻る時には、服を着なければならないと言う事だろう。
つまり。
「あ。;」
「―――――(声にならない)」
…全裸だ。
この後カナタがどうなったかと言えば……………言わぬが華だ。
「カナタが犬(コロク風)になって、カイルの秘密を探る!」
…探ってみましたが、わからなかったようです…(吐血)
お、オチが少々ヤバ目なのです〜;
遅くなりました…;