クリスマス♪

 

 

X'mas

…Xdayとまでは言わないが、どうにも平穏な日とは言えない日ではあった。

 

 

 

宗教がどうとか、もはや全く関係無しに単なるイベントとして開催される同盟軍主催クリスマスパーティー。酒飲みの酒飲みによる酒飲みパーティーとなんら変わらないテンションで開催されていたりする。

…そんな喧噪の中、カイルは1人中庭で佇んでいた。

降り積もる雪、一面白銀の世界、無理矢理ツリー風の飾り付けがなされた木々の中、カイルは人待ち顔でいた。

そして、その待人はというと――――――…

 

「カイルさーんっっっvvv」

ゴロゴロゴロゴロッ!!

 

「お待たせでした〜!!」

ドカーンッ!ギャ−ー!出してくれ〜…!

 

「すみませんーッ!!雪玉転がしてましたら、ついv夢中になっちゃいましてー☆」

「いいからッカナタ!!;早くその雪玉壊して!!;」

―――自分の身長も、人知をも優に超す全長の雪玉に乗って来たカナタ…その足下からは、潰されたりまきこまれたりしたメンバーらが、悲鳴を上げ阿鼻叫喚となっていた―――…

 

 

 

 

「クリスマスですね〜vデートですね〜vvデート日和ですねーvv」

「………(汗)」

浮かれながら、カナタは呑気にカイルと腕を組み(※カイルにとっては『組まされ』。)、クリスマスのイベントが盛り沢山な城内を歩き回る。

カイルは珍しくも、しばらくトランの実家の方に帰っていたのだが、2日も経たない内に招待状が届き、同盟軍主催クリスマスパーティーに呼ばれてしまったのだった。(驚かせたかったという理由で、家に戻る事が出来たらしい。)

準備万全でクリスマスムードを醸し出している城内は、至る所に蝋燭が飾られ華やかな光を放っている。…そして、何をどうしたのか雪までもっさもっさと降り続けていたりする。

…毎年の事とは言え、あり得ない状況が何となくカイルは気になったので、今回はカナタにその疑問を尋ねてみる事にした。

「カナタ…」

「なんですかーvv?」

「…なんで雪降ってるの?;」

「―――神様からの贈り物って事で誤魔化されませんかv?」

 

誤魔化されるまい。

 

「えーと…僕は思ったんですよ…、紋章砲とか色々紋章を活用しているというのに、それを僕が開発しない手はないと!!―――で、アダリーさんやらメグやら、紋章師の皆さんに協力してもらい!紋章片と紋章球を利用して雪降らし機を開発したんです!!ちなみに紋章片はトランから安く輸入です!!」

「!?;(トランから!?)」

一応密輸ではなく、輸入らしい。…どんな取り引きが行われたのかは分からないが。

「まあそんな訳ですケドっ!僕らのデートにはそんな事関係ないんで☆早く次の所に回りましょう〜♪」

「え…うん;」

混乱したカイルは、見事にそのまま流された…。

 

 

「今日は楽しいクリスマスーっ♪ あ、あそこ今ナナミが料理お化け屋敷やってるんですよ☆」

「〜〜〜;」

聞かずとも、それだけでどんなイベントなのかわかる。まさに食うか食われるかの戦場なのだろう…中からは、悲鳴が轟いている。

「今日は色々遊びましょうね〜♪」

「うん…;」

「あ、あそこ僕が作った雪玉見えてます〜!もう頭は作る気力ないんですケドー☆」

「うん…;」

「屋上でご飯食べれるようにしてますから行きましょうねー♪」

「うん…;」

「………………そして今夜は、夜景の見える(僕の)部屋で外の寒さに負けないような、暑い夜を過ごしましょう…!

「最後の何ッ?;」

「引っ掛かりませんでしたーッ!!;」

くうっ!;とカナタは悔しそうに叫ぶ。ついでに「うん…」と言って欲しかったらしい。

 

「だって折角のクリスマス何ですよ!?イチャイチャどっきん☆なイベントがしたいんですーッ!カイルさんにサンタコス(ミニスカ仕様)してもらうとかッ!伝説のっその木の下でキスすると永遠に幸せになれる…とかいうクリスマスツリーの下でちゅうするとかーッッ!!」

「ツリー?;」

「とにかくイチャコラしたいんですーッ!!」

―――それにしても、ムードというものがある…。

ギャースギャースと喚かれていては、どうあってもカナタの望むようなムードにはなれまい。

「しましょう!」

「否。;」

「クリスマスなんですからッ!!」

「何でもかんでもクリスマスのせいにしないで…;」

「うわーーーんッッッ!!」

めそめそめそと、カナタは泣いた。

…こうなると、罪悪感を感じてしまうのがカイルだ…。

別に嫌いと言う訳ではなく、一応好きで付き合ってる(と言えるのか?)のだから…。(※否の部分と、好きの部分が50:50な為に、こんな騒ぎになる)

「―――じゃあせめてベランダ、星空の下でちゅう☆っていうのはしてもいいですか…?」

うるうるとカナタは上目使いをした。

…内心をここで表明させてもらうと、タイミングを見計らっていたようだ。心底腹黒い。

「………うん;(人がいないなら)」

「やったですー!!」

ついにカイルは折れた。

グイグイとカイルをベランダに連れ出し…

 

「カイルさん…」

「ん…」

ちゅ

 

煌めく星と蝋燭の下…。

何とか、クリスマスらしいイチャつきにたどり着けた―――――

…と、思いきや。

 

 

…ごそごそ。

 

「んんん!?!?;」

普通触られれば、痴漢と訴えられそうな感触がカイルに伝わった。

「カナタッッ!;どこっ触…!;〜〜〜」

「………はッ!;つい反射的に!!;」

セクハラだ。

「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!;」

 

 

バキャッ!!

 

 

…さすがに、許容しきれなかったカイルは、渾身の力でカナタを殴り飛ばした…。

―――そうして、カナタは星になった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜なるほどー…こういう前フリでしたかー…;」

「カナタ大丈夫!?;」←さすがに我に返り、心配になったカイルさん。

巨大雪玉の上に突き刺さり、顔だけを見せたカナタは、梯子でも救出される事が出来ずにいた…。

 

とりあえず、凍傷寸前に助けられたという…。 メリークリスマス。

 

 

「何かめでたくないですーっっ!!!!;」