24日、クリスマスイブ当日。
「…………(怒)」
むっすぅ〜。
…そんな擬音が聞こえてくるくらいにカナタは拗ねていた。
その不機嫌さ具合は、周囲の人気のなさからでも想像出来るくらいに悪かった。
カナタがこんな状態になっているのには理由がある。
もちろんカイルが傍にいないからというのがその理由だったが、その傍にいないという原因に対しても腹を立てていたのだ。
『一生のお願いだッ! カイル!ちょっと付き合ってくれッッ!!』
そんな事を言って、カイルの(復活した)親友は、物凄い勢いで自分の愛しい人をさらっていったのだ。…………子守まで押し付けて。
視界の端で雪玉を転がしているカイカを見ながら、カナタは溜息をついた。
腹いせにカイカにサンタのコスプレ(ふわふわローブ+ミニスカ仕様)をさせてみたものの、無用なフェロモンが増えて害虫駆除の手間が増えただけだった。
(本当ならッカイルさんにサンタコスしてもらって!踊るホワイトクリスマスを迎えたかったのに…!)
どんな催しかはわからないが、着ないですんだカイルにとっては幸運なことだっただろう。
「その際にはカイカさんにはトナカイさんになってもらって!ソリを引っ張り回してもらいたかったのに…ッ!(怒)」
「?」
確実にカイルとテッドにWで怒られたことだろう。
「う゛〜〜〜(怒)」
唸るカナタは、テッドに手を引かれながらも、カイルが言い残していった言葉を反芻する。
『ごめんねっ…カナタ;』
「クリスマスはッ…クリスマスはッ…!」
『クリスマスには戻るから…;』
「イブから始まってるんですよーーーーッッ(怒泣)」
カナタの雄叫びが、和やかなクリスマスパーティー会場となっている城内に響き渡った…。
クリスマス
クリスマス、という行事が定着しているからかはわからないけれども、街の交易所は思っていた以上に賑わっていた。それに、蚤の市も開かれていて、何か買い物をするには持ってこいだと、カイルは人込みを眺めつつそう思った。
………………ここなら、テッドも何を買うか決められるかもしれない。
既にいくつかの街をまわっており、そこではこれだ!というような品が見つからなかったらしく、色々と放浪する事になってしまっているのだ。
親友(テッド)がどういう物を探しているのかわからないけれど、自分も見てみた所、この街の蚤の市は色々と変わった品を置いている気がする。
一応テッドからも何を贈ればいいかと相談もされたのだけれども………、
「…………1番喜ぶ物っていうと、まんじゅう以外思いつかねぇ…」
「うん…;でも、テッドが選んだ物だったら、カイカさん喜んでくれると思うから…」
「――何をやっても喜ぶような気がするんだ………(頭抱え>汗)」
「…………(汗)」
…という訳で、(カイルにもカイカが何をあげれば1番喜ぶのかわからないので…)テッドが一人苦悩を続けていた。
親友がこういう事で悩んでいる姿は初めて見るので、珍しくもあるし協力もしたいのだけれども…
(そろそろ戻らないと…)
帰るまでに、クリスマスを過ぎそうな気がする…。
そして、残して来たカナタがどうしているかも気になる。
その心配は、大部分がカナタが何を仕出かすか…という事なのだが、一応………離れているのが寂しい気持ちもある。
(どうしてるかな…カナタ…)
クリスマスに渡すプレゼント(カナタから「カイルさんの作った手編みの物が欲しいですーーーーッッ!!」…とねだられて作った帽子)の袋を、ぎゅっと抱える。
急に買い物に連れられた為、完成したプレゼントも持ってきてしまっていたのだ。
(ちゃんと渡せればいいけど…;)
ちらりとテッドの方を見ると、顔を赤くして商人に何かを包んでもらっている姿が見えた。
「あ」
「悪いッ遅くなった!;」
何を買ったかまではわからなかったけれど、ようやく買い物は終了したようだ。
湯気が出そうなほど顔の赤い親友の姿を見ながら、一体何を買ったんだろう…?とカイルは思ったが…聞くのも難だったので尋ねるのは止めておいた。
とりあえず、何とかクリスマスが終わるまでに戻れそうだ。…多分。