メルヘン童話お伽話マゼコゼ幻水劇74
『人魚姫 〜後編〜』(人魚1:カイカ、人魚2:カイル、魔女?:カナタ、王…旅人:テッド)
※テド4メイン。
海の上から戻ったカイカは考えました。
地上へ上がれないというならば、地上に上がる事が出来る姿になれば良いと!
「いらっしゃいですー♪」
魔女(?)から呑気な声がかけられます。
しかし、この魔女(?)の住処というのは、さまざまなトラップがしかえられていたり、ワカメや魚が干物にされて干されているので、海の仲間にはたいそう評判が悪く、ここに来る人魚はめったにいません。(1人の人魚を除いては)
しかし、カイカの陸への思いはそんなことでは打ち消されません。
かくかくしかじかと、カイカは自分の思いを説明します。
「なるほど!陸へ上がれるようになりたいと…つまり、人間の足を手に入れたいというわけですね!何とかしましょう!」
「…(こっくり!)」
あっさりと話はまとまります。しかし…
「カナタ!;そんなにあっさり引き受けないで! カイカさん、陸は危ないですから…;」
人魚仲間のカイルからストップが入ります。彼がこの魔女(?)の被害…もとい、恋人です。
実はこの人魚よりもカイカの方が年上でしたが、それでも心配なものは心配なのでしょう。
しかし、カイカは止まりません。
「…」
「…カイカさん…」
キリリとした瞳で相手を見つめる事で、自分の決意を告げたのです。
白くて甘くて丸いものへの憧れは、誰にも止められないのです。
「まあ、カイルさんの心配は分かりますから!サービスで地上での心得をレクチャーしますよ!」
「……………(汗)」
そういう問題ではありません。…が、もう止められません。
「じゃあ人間の足になる薬と引き換えに〜…そうですね、カイカさんの歌声を貰いましょうか。」
「歌。」
「はい。日常の声は取りませんよー。…とっても変わりなさそうですし。」
声は奪われないと聞き、(後半は聞き逃したようです)カイカ本人よりも、カイルの方がほっとした様子です。
魔女(?)はなにやら怪しげな呪文を唱えると、部屋の奥からこれもまた怪しい小瓶を持って来ました。
「さあコレを呑めば2本の足を手に入れる事が出来ますよ!ちなみに呑んだらクーリングオフは聞きませんが、戻りたくなったら元に戻る方法はお教えします!」
「…」
カイカはそっとそのビンを受け取ります。
「ただし。―――ムチャクチャ痛いですよ。」
「白ノいの!?;」
「そうです!魚類の部分を無理矢理人体に変えるんですから、それはもう物凄い痛みです!」
魔女(?)は、図で解説とばかりに引っ張り出してきた人魚の絵を教鞭でビシリとたたきます。
「特に骨を無理矢理組み替えるんですから、足の部分は更に痛いです!その後も骨が安定するまでは、歩く度に激痛が――――って!カイカさんまだ飲んじゃダメですよ!!;溺れて水圧でペッシャンこですよ!!;」
「カイカさん!!;」
「?」
その後も、「人間になったら服を着なきゃダメです!特にこのズボン…は頭に被るもんじゃないです!!;」等という叫びが上がりつつ、時間は過ぎていきました…。
そして、あの嵐が過ぎた次の日の海岸では、あの旅人がぼうっと海を眺めていました。
その手には、あの日散らばった真珠の粒が握られています。
「…はぁ」
旅人の名前はテッドといいます。
テッドは、ぼんやりとですが、自分をあの嵐から助け出したのが人魚だという事を覚えていました。
そう。それに、あの人魚がほろほろと涙をこぼし、海へと戻っていったことも。
(…………………………頭から離れないっ!;)
無理矢理にでも忘れようと、うおおおお!とばかりに頭を振りますが、手の中の真珠がいやでも人魚を思い出させます。
旅人は、どうしても人魚の事が忘れられないので、こうして海辺に佇んでいたのです。
ちなみに本人はその現象を、人外でも恩人だから気になっているだけだ!と結論付けようと必死だったりします。
しかしまあ…なんにせよ相手は人魚、ここにいても会えないという事は分かっていました。
「…メシでも食うか…;」
ひとりでにため息が出そうになるのをごまかして、自問自答しても仕方がないと近くの町で買ってきた昼食を取り出します。
それは白くてまん丸で、ふかふかした食べ物で、肉餡がみっちりつまったものや甘い餡が詰まったもの幾つもありました。
冷めてはいますが、とてもおいしいことでしょう。
テッドがぼんやりとそれを口に運んだその時です…。
―――波間からザバア!と人影が現れました。
「………」
「…」
目と目が合い、お互いを認識した後。
「おまっ人魚!?人魚じゃないけど昨日の!?足!?;」
「…! !!!!!」
テッドはテッドで混乱し、カイカはカイカでテッドの手にある食べ物を見て興奮してしまい、大変な事になりました。
…誤解やら何やらで生まれた彼らの結びつきは、今後一体どうなる事でしょうか…。
これはこれで、幸せな物語なのかもしれません。
…ただ、誤解が解けたときに、元人魚は頭をはたかれるかもしれません…。いえ、きっとはたかれることは確実でしょう。
終。
おまけ。
「声だせるのに、歌が歌えないってどういう理屈だよ;」
「?」
「…一度、本当に歌えないのか試してみろよ。」
「…(こっくり)」
――――ぼえ”ぇえ”ええぇえ”ええええええええええ♪”
ぎゃあああああああああ!!;
(…ふと、音痴なカイカさんでも可愛いよな…と、妄想した話。
…ふうむ。自分らしさ満点の阿呆な話だったと自覚。>笑 )