大晦日騒動。

 

 

 

大晦日。

日も暮れ、年越蕎麦の準備をそろそろ始めようかな…?という時刻になった―――その時に事件は起こった。

 

「カイルさーん!!!大変ー!カナタが見つからなかったらお城が爆発しちゃうのよーーー!!」

 

「………………え?;」

ルックと少々立ち話などをしていたカナタは、言われた事がわからずに固まってしまった。

「だからだからぁ!!カナタがいなくて!爆発しちゃうのよ〜!!」

「落ち着け!ナナミ!;気持ちはわかるが!それじゃ伝わらない!!」

「フリック??;」

2人だけでなく、周りをよく見ると他にも慌ただしく兵士らがわらわらと走り回り始めている…。

「どういう事?」

「実はだな――…;」

 

 

ある日の会議。

 

「う〜〜ん;大晦日に何かやろうと思うんですケド、何も思い付きませーん!!;」

頭を抱えて叫ぶカナタに、その方が平和で良いと周りの人間らは心底思った。

「なら、何か本とか見て決めたらいいと思うわ!お姉ちゃんは、『二人っきりで初日の出を見る☆』とかがお勧めだと思うわよ!」

「なるほど!じゃあ〜♪―――――あ、このカウントダウンに間に合わないと爆発するっていうのをやろう!!」

よくあるケド違ーう!!;

…と突っ込んだものの、あれよあれよと言う間に『除夜の鐘が鳴り止む前に、カナタが爆破キーを解除しないと城が爆発』が決定されてしまった…。

 

 

「カナタは行方不明になってるし!爆発の仕掛けを作った人に止めてもらおうとしても、メグちゃんもアダリーさんもメイザースさんも無理だったのよ〜;」

「作るのを凝り過ぎたらしいんだ…;」

「………………(汗)」

「馬鹿じゃないの?」

正直な気持ちをルックが率直に言う。

「カナタは…一緒に除夜の鐘を撞くって約束して少し前に部屋に篭ったけど…;」

「それがいないの〜;除夜の鐘の前には解除するって約束したのにー!;」

「このままじゃ本気で爆発だ…;」

それはとても困る。

「ルック…」

「…お人好しだね、」

目と目で会話を交わすと、カイルは踵を返してカナタ捜索に加わった。

 

 

 

 

――カナタの部屋。

割と物がないように見えて、秘密の多いこの部屋に何かがあるとカイルは検討を付けた。

「……………」

棍の先で床を叩く。

大体の場所が済んだなら、次は壁を手で叩いて行く―――ふと、棚の横で少しだけ音の違う空間があり、そこを肩で思い切り押すと………。

「………ここかな;」

壁がゆっくりと奥へ押し開かれ、カナタの秘密基地への入り口が現れた…。

薄暗く、独特の匂いのする空間に好んで入りたがる者はあまりいないだろうが…そうも言っていられずカイルは足を踏み入れた。

 

明かりを持ち、長く延びた階段を下へ下へと降りていく…。(どういう作りになっているのかは歩いているカイルにもわからない)

「カナタ〜?」

呼び掛けると、反響して空間中に声が響く。

横に通路が見えるごとにそうやって呼び掛けるものの、返事は返らない。

脇道に入って捜す――という考えは、その通路に繁殖して削り取られたキノコの跡やら、ゴポゴポと響く嫌な水音などから、とっくに選択肢から除外されている。

「カナター?」

 

―――――カイルさ〜ん??

 

そしてふと幾度目かの呼び掛けに返事が返った。

カイルが早足で声のした方向へ行くと――

 

「カイルさ〜ん;ヘルプミーです〜;」

「……………(汗)」

カナタが崩れた棚に足を挟まれていた………。

 

 

 

「うっかり足挟んじゃって抜けなくなっちゃったんですよ〜;」

「いいから、早く抜かないと…;カナタも協力して!;」

「了解です!!――――あ、ちなみにカイルさん。ここ以外の部屋見ました?」

「見てないから;」

「それは良かったです〜♪」

グイグイとカナタをひっぱり抜こうとするが、ガッチリ挟まっている為かなりてこずっていた。

「棚…起こさないと無理かな?;」

「ですね〜;もー何でこんなドミノ倒しになっちゃったんだか〜ですー;

あ。でも早く城に戻らないとドッカーンってなるんでした。」

「………それはルックに頼んで来たから;」

棚から零れた道具や、まだ詰まっている道具を退けながらカイルは言った。

 

 

 

「鳴らせば爆発するなら…;」

「鳴らさなきゃいいのね〜!」

「…やっぱり君ら馬鹿だろ?」

職務(?)遂行に燃えるガンテツを取り押さえながらルックは言った…。

 

 

 

「ひー;直すのが大変ですー!;年越し蕎麦食べたかったです〜!!;」

「カナタ、これはどこの棚に置くの?;」

 

年も変わろうという時間になっても、2人は大掃除を続けていたという…。