節分
2月3日、節分の日。 豆を巻き、巻き寿司を食べると言う、まあ楽しい日だと言うのに、現在同盟軍本拠地では――――…
し〜ん…
人気がなかった。
よくよく耳を澄ませてみれば、部屋の中にこもって息を殺している気配があるのだが…
それが何故かととわれれば、やはり原因は節分にある。もっと正確に言うと、この軍のリーダー様にある。
「うわーーーーーッ…!」
「しっかりしろっ!オイッ!!」
唯一この廊下を(歩伏前進で)進んでいた兵士Aが、悲鳴を挙げてその場で崩れ落ちた。
「しっかりしろ!傷は浅いぞ!」
「…俺はもう駄目だ、後は任せ、た…」
そう…
―――――豆を全身に浴びて兵士は倒れたのだ。
「Aーーーーーー!!」
叫んだ兵士Bの上にも、容赦なく山のように豆が降って来た…。
そう、本日節分…。
またもカナタは何かやらかしたらしい…。
「ナナミ、カナタの居所を知らないか!?」
「え??」
目を妙な物で覆った(いわゆるゴーグルだ。メグ作)男に話し掛けられ、一瞬ナナミは首を傾げる。…しかし、よく相手を見てみると、青いマントをつけた青い格好の人物だった為、すぐに判断はついた。
「フリックさん?」
「そうだ…;」
「えーっと、カナタはねー。今日は部屋から出ないでねって言って、カイルさんと一緒にハイヨーさんのレストランに行ってるわー」
「レストラン!?」
いきなりフリックは声を荒上げた。
「なんでそんな所にっ…!いや、そもそも節分だとか言って罠を仕掛けてるのがそのもそもっ…!(泣)」
最後の辺りはもはや涙声になっている…。青いマントから零れ落ちた豆を拾い、ナナミは不思議そうな顔になっていたが、ハッ!とすぐに何かを気付いた表情になった。
「今日って節分だったのね!急いでカナタに巻き寿司作ってあげないと〜!」
「はっ!まて!ナナミ!外は危なッ……」
部屋から出て階段の方へと走りおりようとしたナナミを引き止めようとしたフリックは――――――
その脳天に巨大な豆、ジャイアントビーンズv(カナタの字が書いてある)をくらっていた。
節分と言う事で、城内中に豆の罠。いくらなんでもやりすぎだろう…。
「カナタ!今お姉ちゃんもレストランに行くわよ〜!」
「好きにしてくれ…(汗)」
フリック&ナナミ組は、共にレストランまで行く事になったのだが、現在地はほぼ最上階。(上の辺りの部屋にいたらしい)一体、本当にたどり着けるのだろうか…?
ゴーグルを装備した(目に当たると危ない☆という教育的配慮)ナナミは、まずエレベーターのスイッチを押した。
「そこは…!!」
「え?」
ナナミが振り向いた瞬間に到着したエレベーターから…どばあっと煮豆が溢れ出た…。そう、フリックの方へ、
「どわあああああああ…!」
あわれ、フリックは煮豆の下敷きに、
フリックの犠牲が役に立ったのか、はたまたナナミがいるからなのか、何とか一階まで無事にエレベーターで移動出来た。
問題はここからだ。
ズリッ…ズリッ…ズリッ…
「歩伏前進よ〜!」
「気をつけて進めよ…;」
元気よくズリズリと腹這いになって進む少女に、フリックは疲れた声でそう言った…。
途中、適当な兵士にカナタ捕獲の任務(?)を変わってもらおうとしたのだが…辺りの惨状を見ると、とても動けそうな兵士はいない事がわかった…。(残りの兵士は部屋から出ていない)
涙を飲んで自分がやらねばならないと覚悟を決めるフリックだが、既に事態は大変な事になっていた。
「あれ?何か切っちゃったわ??」
「のわーーーーーっっ!!!!!(汗)」
マシンガンのように豆が通路の端々から飛び出して来る。
「この紐何かしら?」
べちゃあっ!!(納豆がバケツの中から落ちて来た)
「きゃーーーっ!!;豆人間よーーーーっ!!」
「ひいらぎ小僧の改良種か!?」
散々な目に合い(フリックが、)、ようやく2人は目的の場所へと辿り着いた…。
レストランだ。
「……………(汗)」
ごくり、とフリックは生唾を飲み込んだ…。一体この中にはどんな惨劇が待っているのか――――…
考えるのも恐ろしい所を、ナナミは躊躇なく入って行った。
「カナタ〜!お姉ちゃんよ〜!節分なのよー!!」
「うわあっ!!;」
また何かとばっちりが!?と頭を抱えるフリックだ。…しかし、予期したような動きは何もない。
ただ、して来たのは香ばしい豆と酢飯と、お吸い物の匂い…。
「?;」
「あーーーー!カナタ先にやってたのーーーー!?」
「ごめ〜んナナミー」
「………(汗)」
カイルが巻き寿司を更に載せたまま、フリックの方へと移動して来る。
「何かあったの?;」
「何かも何も…(滝汗)」
「節分だからカナタが何かやらかすかもって思って、一緒にいたんだけど…」
どうやらカイルは、カナタに『じゃあ(何もやらかさない)その代わりに一緒に巻き寿司つくりましょー!』と言われたらしい。
しかし、何かをやらかしていたのは明白だ。それを注進しようとフリックはしたのだが…
「それが、」
「何もなかったですよね!」
フリックが真実を告げようと口を開きかけたその時、ズイッ!とカナタがその間に割り込んで来た。
「カ、カナタ…!?;」
「僕はここで大人しくしてたんですからv何もある訳ないじゃないですかー♪」
「おい、まてカナタ、お前アレ…」
「え?節分フルコース真豆まきロードを歩きたいんですか?」
にこー☆
「…いや、何もなかった。まったく何もなかった。」
「ですよねー♪」
「…………(じゃあなんで納豆がフリックについて…?;)」
「お吸い物おいしいー♪」
フリックは世の無情を感じながら、自分の良心を裏切ったと言う…。
そんなこんなな節分の日。
蛇足。
トラップは物の見事に解除されていた物の、カナタは結局カイルに豆トラップの件がばれて、大変な事態になったらしい。