節分。
節分、それは豆を撒く日。
そして、それを食べる日…。
「今日は僕が率先して鬼役やりますねー☆」
本日節分。
珍しくカナタが鬼役をやると言い出していた。
「いいの?」
「はい!まあ、たまにはみんなに楽させてあげようと思ったんでー♪」
そう、毎回カナタは容赦なく、自分(とカイル)以外の者を鬼役にして、恐ろしいまでの仕打ちをし続けて来たのである…。
それが、今回はないというのだから、同盟軍メンバーらの喜びはどれくらいの物だろうか…想像が付くはずも無かった。
「よいしょーっと☆」
カナタは元気よく頭に鬼のお面を付け、そして―――――――金棒を担いだ。
「さあー!やりましょうかー!!」
「カナタ!?;」
「え?何ですか??あ、これですかー?トゲトゲがいい感じについてますよね〜(笑)」
カッコ笑いで、済む問題では無い。
「何で金棒!?;」
「鬼って言ったら、コレですよ!!」
少年は、はっきりきっぱり笑顔でそう断言した。(ついでにブンブンと金棒を振り回したりもしている…。)
――――…当たったら、頭くらい潰れそうだ…
見守っていた兵士達は思った…。
「危ないから!;」
「大丈夫です!」
止めようとする、カイルと何の根拠も無く断言するカナタ。
これでは、勝敗は明らかだ―――…
少年は堂々と、兵らに向かって武器を投げた。
「―――豆鉄砲。マシンガンバージョンです☆」
また訳のわからない物を作っている…。
「さあ!!生きるか死ぬかを駆けた戦いを始めましょう!!」
「カナタ!?;」
スタタタター!!と、金棒を担いだカナタは逃げて行った…。
タタタタタタタタタ…!
タタタタターン…!!
豆が城の壁にぶちまけられる…。
弾け飛ぶ豆は、壁にぶつかると、その勢いでまっ二つに割れ、辺りにバラバラと飛び散っていた…。
「カッカナタ様やめ―――ッ!!;」
「安心して下さい!!トゲの部分はプラスチックですから!」
「トゲ以外の部分は――――ゴフッ!!;」
ドゴーーーッ!!
――――豆の音が止む…。
状況は切迫していた…。
城中の豆を撒く音(?)はどんどん聞こえなくなり、代わりにカナタ1人に打ち倒された兵士らが廊下中に転がっている…。(出来たたんこぶが痛そうだ)
「殆ど全滅か…」
ビクトールが低く呟く…。
「ナナミ達は?」
「…外で巻寿司作ってるって、…;」
フリックの問いに、カイルが疲れたように答える。
どうやら、女性陣(とこの騒動を予想出来た勘の良い宿星)らは、城外で節分の炊き出しを行っているらしい。―――…しかし、ナナミが料理をしているという時点で、外も危険だ。
「…どうするんだ、カイル。」
「…どうするって…;―――止めようと思ったんだけど、見つけるとすぐに逃げるから…(汗)」
止めようにも止められないらしい。
「本気で怒ったら出て来るんじゃないのか?;」
「…1人でしてるし、ちゃんとみんなに武器も渡してるから…;」
一応『正々堂々とした戦い』の基準に入ったらしい、…そう――――(どこがどう基準になっているのかはわからないが、)カイル的には本気で怒れない程度の騒動だったのだ。
「そうは言ってもな…;(泣)もう殆ど動けるヤツはいないし、いつまで付き合わされるのかわからないんだぞ!?」
「でも…;」
「人質(カイル)を使うってのはどうだ?」
「余計酷い事になるだろうが!?」
慌てているのは、フリックだけな所が、彼の青さを物語っていたりする…。
ビクトールは溜息を付き、
カイルは深く考えた。
…答えは出なかったが、
「とにかく…カナタ探して来るから;」
「そうしてくれ…(泣)」
「気絶の振りしてるヤツ見つけたら、こっちに寄越してくれ。カナタに見つかったらヤバいからな。」
「わかった…」
カイルは頷き、作戦室となった一室から出た。
…その瞬間。
「てりゃーーーー!!」
「ギャーーー!!;」
ゴキーン!と、物凄い音が部屋の中から響いてきた。
「!?」
慌ててカイルが戻ってみると、そこには―――――…
「残りは10人くらいですねーー!!目指せ全滅ですーー!!♪」
と、ビクトールとフリックを打ち倒し、盛り上がっているカナタの姿があった…。
「…カナタ;」
「あっvカイルさんー♪僕赤鬼頑張ってますよー♪」
嬉しそうに言うその子供っぽい姿に、騙されてはならない…。やっている事は、ほとんど通 り魔のような事なのだから…
カイルは、大きく息を吸い込んでから言った。
「カナタ…」
「なんですか〜??」
「もう止めないと、」
「ええっ!!;後10人くらいで全滅させられるんですけどー!;」
思いっきり殺伐とした事を、不満げに主張するカナタの姿は、幼いだけに恐ろしい…。
そして、それに答えるカイルは―――…
「鬼を払わないと、福が来ないから…ダメ;」
「ええーーーっ!!;しまったですーーー!!;節分の主旨を忘れてましたー!!;」
「ね?」
「うーーー…わかりましたー;じゃあ…さあ!カイルさん!思う存分僕に豆をぶつけて下さい!!」
「え?;」
鬼はー外。福はー内。
と、(なるべく当たらないように)カイルが豆を撒く声を聞きながら、床に倒れ伏す者達は思った…
―――そういう問題じゃねぇ…ッ!(泣)
と…
無駄な犠牲を多量に出しつつ、今年の節分も無事(?)終了した―――…