節分。 (テド4+主坊…?)
朝起きて、テッドが外へ出ようと扉を開けると――――
むぎゅ。
…唐突に何かに抱き着かれた。
「……………」
「…」
テッドは、一瞬沈黙して考える。
眼下には見覚えのある柔らかそうな薄茶色の髪(いつもは自分よりも高い位置にあるが…)、それが胸元に押し当てられており、背中には強く手も回されている。
「…オイ、カイカ」
「だめ」
いきなり抱き着かれた事に抗議しようとしたが、何故かカイカは首を振る。
というか、グイグイと押されて後ろ向きに歩かされる。
「オイ!;」
「…」
「待て!;」
「…」
「聞けッ!;」
グイグイ押され続けた結果、ついにはベットにぼすんと押し倒された。
「カイカ!?」
何となく、こう…大人な考えでテッドがドキリとした瞬間、カイカがひたと目を合わせてきた。
「危ない。」
「何がだッ!?;」
思わず突っ込むテッドだ。
どうやら色気のある話ではなかったようだと気付き、テッドは腹いせ代わり(?)にカイカを脇に投げる。
「まったく…部屋から出ないでどうするんだよ」
「危ない」
再びカイカに止められるよりも早く、テッドは朝食を食べる為に部屋から一歩足を踏み出してしまった―――…
「ようやく出てきましたね!!ふははははは!積年の怨み!…はあるようなないようなですけど…とにかく!思い知るがいいですッ!!」
「どわぁああああぁッ!?;」
スパパパパパンとテッドの顔面に向けて、何か小さなツブテがぶつけられた。
反射的に顔を庇ったテッドは、おそるおそる目を開いてみると………薄茶色の塊が床一面に撒き散らかされいるのが見えた。
豆だ。
相手が構えているのは、大量の豆だ。
「…かなたが豆まきでてっどをねらってるから、あぶない。」
「その説明を先に言えッッ!!(怒)」
『ふはははははは!!!!!そこはかとなくテド4に出番と言う名の主坊率を奪われた僕の怨みを思い知るが良いですーーー!!つかテッドさん!カイルさんと仲良過ぎなんですよー!(怒)カイカさんとの恋人仲も円満なクセに〜〜〜!!!!(怒)』
…そう言って、理不尽な怒りを豆と言う名の凶器に変え、相手は襲い掛かって来た…。
彼は、節分を合法的な復讐のチャンスか何かと勘違いしてるようだ。
どうにかこうにかテッドは、カイカを道連れに、なんとか離脱出来た。
…が、その逃走すらも狩りの楽しみにしているようで、どこからともなく現れ(例:窓の外からロープでぶら下がって攻撃)テッドに豆をぶつけてくるのだ。
屈辱な上に、地味に痛い。
「は〜は〜;」
「大丈夫」
「…あぁ;」
息切れをするテッドに対し、ぴんぴんしているのは、元からの体力の差だろう。
「…カイルはどうしてるんだ?;」
「頼まれて豆炒ってる。」
誰に、とは聞くまでもないだろう。
確信犯なカナタの仕業だ。
―――しかも、微妙に計算づくで追い込まれているのか、今隠れているのは調理場からは程遠い屋上だ。
……………世界は不条理だ。
青い空を見上げて、テッドはそう思った。…現実逃避だ。
「…豆の一つや二つくらうのは諦めて、調理場まで行くか;」
親友に丸投げして止めてもらおう。
「…」
しかしカイカは首を振る。
「…なんでだ?」
「なっとう。」
…カナタは納豆を持っている。
自分の危機を感じたならば、それを即座に使ってくるだろう。
…と、カイカは言いたいらしい。
「………………納豆(怒)」
さすがにそんなものはくらう訳にはいかない…。
「つくづく食い物を粗末にするガキだな…(怒)」
「ひろって食べる。」
「納豆までは食えるかッ!(怒)」
「その通りです!!」
何がその通りなのかわからないが、再び少年は姿を現した。
「そこまでバレていては仕方がないです!大人しく仕上げに納豆をくらってかっこよさパラメータを下げてもらいましょうか!!」
…自分でも何を言っているのかわかっていないのだろう、すっかりハイになったカナタは意味不明の台詞を叫んだ。
「…」
「おっと動かないで下さい!」
カイカが庇うように前に出かけた時、カナタは銃(っぽい物)を左手で構えた。
「動くとこの豆鉄砲がズドンですよ、…ちなみに、当たると悶絶するくらい痛いです。」
「クッ…!;」
…すっかり悪役だ。しかも三流。
「ふ〜は〜は〜豆鉄砲を嫌と言う程くらってもらって、ついでに納豆もおいしく顔面で召し上がってもらいましょうか〜っ!」
「カナタ、巻き寿司も作ったんだけ…ど」
「「「……………」」」
――――後から聞いた話、カイルが現れたのはお約束でもなんでもなく…あまりのカナタの暴れっぷりに、見兼ねた数名の兵士が、カナタの居場所をカイルにリークしたからだという事だった。
「カナタvカナタの為に豆いっぱい作ったから、全部食べてね?(怒)」
「なっとう。」
「うん、納豆もねv」
「ギャーーー!!;鉄砲では無」
「…あ〜あ;」
無情にも銃声が響き渡る中…テッドは、来年に増幅されるであろう(逆)怨みが、少しでも減るように祈っていた………。
おまけ。
「〜〜〜なんでいつもテッドに喧嘩を売るの!;」
「だっ…主坊分っ…主坊分がぁあぁ〜〜〜(泣)」
…カイルの背中にくっついて仲直りをしている姿は、割と仲が良いようにも見えなくもない。