「カナタ、今年は僕関連の御願い事は短冊に書かないでね?;」

「――――えっ」

七夕早々、(カナタにとって)不穏な台詞がもたらされた…。

 

 

七夕

「どういうことですか!!(涙目)」

「どういうことって…えっ;」

むしろ、何故カナタが必死になるのかがわからない。

涙目で訴えてくるカナタの姿に、カイルは慌てる。

「むしろ、なんで僕へのお願いを書くの…?;」

「だって!カイルさんへの口に出せないお願い事は!七夕の笹が折れる程あるんですよッ!」

「!?;」

口に出せない!?;と、嫌な枕詞にカイルはカナタから距離をとった。

「はっ!;僕の正直な気持ちが口から洩れました!!」

「カナタ…」

全くフォローになっていない発言だ。

しかし、カイルは懸命にも聞き流す方向で行くことに決めた。

「とにかく、今年は僕のこと以外で願い事をしてね…」

「くっ…!わかりました!」

「……………(汗)」

血涙を流す程悔しがられ、カイルの今年の短冊は『周囲(特にカナタ)が落ち着きますように カイル』というものになった。

 

 

 

 

そして、七夕当日。

「今年はーー巨大なーーー笹にしましたーーーー」

「カナタ様ーーー!!聞こえませんーーーー!!;」

「むしろ、これ竹じゃありませんかーーーーー!!;」

城よりも高く伸びた、七夕の笹の上でカナタが下へ向かって叫んでいた。

しかし、当然距離があるので、会話が成り立っていない。

「―――とう!」

仕方ないとばかりに、カナタが巨大笹のてっぺんから飛び降りる。

きこりの結び目ゲームで落とされまくった経験は伊達ではないらしく、全くのノーダメージだ。

「今年は巨大な笹飾りにしましたよ!」

「見ればわかります!;」

むしろ、聞きたいのは何故?の部分だ。

しかも、あまりに巨大すぎて、飾りが下の方しかまともにつけられていない。上の辺りに行く程飾りも短冊もまばらになっている。

「あ、別に進撃しちゃう巨人対策とかじゃありませんよ?」

世界観が違う上に、笹ではどうしようもないだろう。

「まあ、今年はなんやかんやあったんで、大きい笹にすることにしたんです。後、僕の願い事が見られたら恥ずかしいですしね。てっぺんにつけました。」

「何を今更…;」

「どうせカイルのことだろう?」

様子を伺っていた、フリックとビクトールの言葉にカナタは首を横に振った。

「今年は違うんですッ!カイルさんに禁止されましたから。」

心底無念そうな少年の言葉に、同盟軍兵士らは一瞬で静まり返った。

 

――――カイル関連以外だとッ!?

――――まさか『世界征服』!?;

――――いや、恥ずかしい願い事だぞ!?

 

そして、一気にざわわわわっ…!とさざめき合う。

「あ、カイルと書かなかっただけで、本当はカイル宛なんだな!」

「ちゃんとカイルさんの検閲受けてますよー」

 

 

―――――――気になるっ!

 

 

頭の中がほぼカイル(とナナミ、+αでムクムクとおまけでジョウイ)で占められている少年の願いについて、好奇心が刺激された。

「別にそんな大層なこと書いてませんよ?まあ切実っちゃー切実な願いですけども。」

「カナタ様!短冊のつける場所は自由ですか!?」

具体的にはてっぺんのあたり。あわよくば、願い事が見れるという塩梅だ。

「自由ですよ〜。でも、まー…――――好奇心は猫をも殺すってことわざはありますよねー。」

パチンと指を鳴らしたジェスチャー(鳴らせないので)をすると、ムクムクを筆頭としたした空を飛べるメンツが集合する。

「僕の短冊…もとい!巨大笹の警護をするメンバー達です! 具体的にはきこりの結び目ゲームの要領で突き落としに来ます!」

「ムムーー!!」

「「「「「……………」」」」」

―――あ。やめとこ。

と、好奇心を刺激された兵士らの大多数は考え直したという…。

 

 

 

屋上よりも高く伸びた笹の上から、たまに悲鳴が聞こえてくる七夕となった。

 

「まあ、たまには平和な七夕もいいもんですね♪」

「……………(平和?;)」

「カイルさん♪スイカもう一切れください♪♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、カナタの書いた短冊。

 

『身長が伸びますように BYカナタ』