七夕。
飾り付けた笹の葉に
願い事を書いた短冊を付けて…
「今年の願いも〜♪」
『カイルさんとラブラブv BYカナタ』
と書かれた短冊を掲げ、カナタは嬉しそうにしていた。
対するカイルは『平和』と書かれた短冊を胸に抱いている。…何の平和なのか書いていない所がミソだろう。
「バッチリですね!」
「うん、」
短冊を2人で小さな笹の葉につければ、完璧な七夕の笹の完成である。
しかし…
「…ちょっと少ないですね、」
「…うん、そうかも;」
そう、飾られた短冊は3枚程度(残りの一枚は何故か『漢の友情!』と書かれていた)で、確かに幾ら小さな笹とはいえ、少々寂しい感じだ。
しかし、一応言っておくが、カナタは書こうと思えば数十や数百、それこそ煩悩の数くらいの願い(全部カイル関係)はある。それで何故書かないのかというと、今年はそんな事でカイルを怒らせるような真似はすまいと、学習したからである。一応学習の1つや2つはするのである。…一応。
「他の人のも付けてもらいましょうか♪」
「うん……あ、でも」
今年、城内にはやはり巨大な笹(竹である可能性大)が飾られており、もうほとんどのメンバーらはそちらに短冊を吊しているだろう事にカイルは気付いた。
…ちなみに、小さい笹に飾っているのは、カナタが「2人のラブラブ七夕ーーー!!」と力説した為にそうなったのだ。(後でちゃんとまとめて飾るらしい。)
「大丈夫です♪ まだ吊してない人に心当たりがありますから♪」
「てな訳でルルノイエまで。」
「この馬鹿なんとかしなよ、」
「………(そんな事言われても…>汗)」
とにもかくにも、ルックの協力を得、ただし笹に『馬鹿』と書かれた短冊を吊されながら、2人はラストダンジョンである城内深くを訪ねた…。
「お邪魔しまーす♪♪短冊書きませんかー?」
「こんにちは…;」
軍議(但しジョウイとクルガンとシードのみに内輪ぷち会議)の真っ最中に飛び込み、そう言った。
「か…カナタッ!!;」
「これはどうも、カナタ殿」
「おう、…って、あ?? ―――短冊?書く書く!!」
…そして、クルガンとシードは動じなかった為、ジョウイは傷付いた瞳で彼らを見た。裏切られた気持ちらしい。(しかし、シードが動じなかったのは短冊に気を取られ、ツッコミを忘れた為だ。)
何だかこれでいいのかといった感じだが、この少年に常識を求める方が間違っている。
「じゃあコレ紙ですー☆ ジョウイは?儚い人生が願い事をする事でちょっとはマシになるようなならないような気もしないでもないけど。」
「…ううっ;…〜〜〜頼む(泣)」
「カナタ…(汗)」
「んじゃ俺この赤いのな〜。」
「………」
胃を押さえながら短冊を書くジョウイと、楽しげに書くシード、そして無言で書くクルガンとバラバラな表情で書き上げる。
で、書き上げた願い事を吊すのだったが、やはり人の願い事がなんなのかは気になる。
そして好奇心のままにカナタは読み上げるのだった。思いっきりプライバシーの事を無視している。
「じゃあジョウイのから〜♪」
「いいの?;」
「はあいいんです、もう慣れてますし…;」
『胃が痛い事ななくなりますように… ジョウイ』
「………なんか苦労が窺え知れるような気もしますけど、この手の願い事が自分ちの城の笹に飾ってあったら破り捨てときましょうかねー?書いてそうな人2人くらい思い浮かびますし…」
「カナタ!;」
「ううっ;」
「ジョウイ様も苦労してるんだよなぁ、;」
「………あぁ(含みありげに)」
「シードさんはどんなのですか?」
「俺はコレだ!」
『立派な将軍になれますように! シード』
「………気持ちはわかりますけど、これだと将軍になってない人の…いやなんていうか、微笑ましいです。」
「同感ですな。…シード、『もっと』と付けてみるか?」
「お前ら馬鹿にしてねぇか?(怒)」
「………;(でもこの場合の立派って…敵対してる時にはマズイような…?;)」
「〜〜〜〜;(胃痛)」
人材に苦労している貴方!××-9696に今すぐプッシュ!…と書いてあったら、今すぐ飛び付きそうな表情で苦悶するジョウイだ。
「で、クルガンさんですね!」
「ではこれを…」
クルガンから短冊を受け取り、素早く目を通すカナタだ。
遠目から見たそれはかなり達筆に書いてあったのだが…
「………」
「………」
黙ったまま何も言わないカナタ。
「カナタ?」
「何て書いてあんだよ??」
カイルとシードが呼び掛けるが、それでもまだ答えない。
しかし暫く経ち、ふいに短冊から顔を上げると。
「――――やー☆さすがに、発禁は口では言えませんよ〜?(笑)」
「そうですか、残念ですな、」
ハハハ☆と和やかに笑い合う2名…。しかも、一応短冊は見えないように笹に吊されている。
「何て書いてあったんだっつーのッオイッッ!!;(怒)」
「………;(聞きたくないかも…;)」
シードが叫び、ジョウイが苦痛で苦しむ中、新たな声が響いた。
「わたくしも書かせていただけます?」
「あ、ジルさん☆どうぞどうぞー…って――――」
…。
「ってジルーーー!?;」
「ジル様が何で…!?;」
「ていうか一体いつの間にですーーー!!;」
「ほほほほほほv」
これほどの強者が集う中、気配も漂わせず現れた女性こそ尊敬すべき対象だろう。
「もう書いて来ましたの、これでよろしい?」
「質問丸っきり無視ですケド、OKですよーハイ受け取りましたー。」
受け取った短冊には…
『腐女子にもっと萌えをv ジル』
「良い覗きポイントの確保とかじゃダメなんですか?」
「あら、それは自分で探し出しますわv ほほほ」
胃痛でジョウイが悶絶した。
「短冊やや一杯になりましたねー♪」
「うん…」
「枯れ葉も山のにぎわいって言いますから!これでバッチリですよー☆」
「うん…」
「これを飾って〜♪ ………帰ってから七夕衣装着ましょうね☆」
「うん………え?;」
「じゃあ帰りましょうーーーーv!v!v!v!」
なんだか、やはりいつもの七夕祭であった…。
時間が…;すみませ…訳が…;(吐血)