カナタ少年のトーマス君観察1
「…………。」
人に対する恐怖。
それは今までほとんど感じた事の無い代物だった。
それが何故だかしらないが、この人生3×年目にして、ひしひしと感じさせられるのだ…。
「問題です…(汗)」
どこがどう、という訳ではない…
そう、その恐怖と呼べるかも知れない代物を感じている人物はどこがどうという程の人物ではないはずだ。
どこか大人しい犬種の小犬…そんなイメージを感じる人物。しかし、自分にはその人物がきっと大型犬になると言う事がなんとなくわかってしまうのだ…。
「きっと、ラブラドールっていう感じの種類ですね…」
そんなどうでもいい事を呟きながら、少年―――カナタは一つの事を決心した。
相手は現在滞在しているこの城の城主、トーマス青年である。
みているとほのぼのとしている人物で、大抵の人物には好印象を抱かれている…まあ、多少情けないだとかは思われているらしいが、
自分自身にとっては、本能的に近寄るなという危険人物だと思っていたのだが、周りの人物の強い否定によって少々その直感に自信がなくなってきていた…。
いや、周りに何事か言われて意見を変えると言う事ではないのだが、調べてみたくもなったのだ……
訳のわからないと言う事は勝手に想像力で相手を強大に見せているのかもしれない………
と言う訳で、少年は追跡調査する事になった。
「朝…7時起床……う〜ん。なんかしょっぱなから普通ですねー…」
「……………(汗)」
フッチは困っていた。
目の前にいる以前のリーダーの奇行に大してどうツッコミを入れればいい物かと思って…、
何故だか、城主の部屋の前に陣取って何やらメモをとっているのだ。(本当に城主の部屋か!?と思うような場所であるが、)
取りあえずフッチは、声をかけてみる事にした。
「カナタさん……(汗)一体何を…」
「!」
ビシュッ!
風を切る音が響き、その後、物凄い激痛が額に走った。
「〜〜〜〜〜〜っっ!!(汗)」
「しーーーー!」
かなり真剣な表情で、カナタはフッチに黙るように仕草で示した。――――――さっきまで書いていたメモ帳をフッチの額にめり込ませつつ…
「僕を殺す気ですか!!(怒)命の危機ですよ!」
「………」
『僕の』ですけどね、とは心の中でつっこみつつ、フッチは気を取り直して静かに問いかける。大体の不条理には過去で慣れている。
「…何しているんですか、」
「深い説明は出来ませんが、一言で言えば『調査』です!トーマス君の、」
「………(汗)」
深い説明も何も、一言ですんでいる。
「一体なんで…」
「はっ!――――とおー!」
ムギュッ!
突然視界が黒くなった…。
感触からすると、踏まれたようだ…。
慌てた様子で足音が遠ざかっていった………
「あ、あの………何かあったんですか?(汗)」
「いや、別に…」
外に出て来たトーマスは、床の上に横たわっているフッチに心配げに声をかけたが、フッチはただそう答えただけだった…。
所で、少年がどこに行ったのかと言うと…
「カイルさ〜んvvvおはようございます〜☆」
「おはよう…」
「おはようのキッス☆です〜♪」
「………(///)」
カイルの起床時間になった為に、カイルの元に戻っていた…。
カナタ少年のトーマス君観察2
(『7時半。朝ご飯に出かける。』 カナタメモより抜粋)
「トーマスさん朝ご飯一緒に食べない?」
「あ、えっと…、はい。いいですよ」
ひょっこりと顔を出したヒューゴにトーマスは、(良く言えば)控えめな笑みを浮かべて頷きを返した。
「『トーマス君、ヒューゴさんと一緒に朝ご飯』っと……。『特に嫌そうな表情はしていないが、それが本心かどうかは不明。後の調査に基づき、後で判断』…ですね〜。」
かりかりと、テーブルに座ってカナタはメモをとっていた。
その正面でカイルは困った表情をしている…。朝食中のマナーがかなり悪いという事だろう。
「カナタ……(汗)」
「『朝からカレー(激甘)を食べている…。ヒューゴさんにも進めて、多少嫌そうな顔で遠慮される』っと、」
「…………(汗)」
一向に朝食が進まない…。
これは困った事だ。
一体何をしているのかと尋ねた所、「トーマス君の調査」と一言で述べられた…。一応止めようとはしたのだが、「僕の人生の命運がかかってるんですっ!!」と珍しく、NOと返答されたのだ。
プライバシーに関わる事だけに、早めに止めようとは思っているのだが、まずは目の前の食事を何とかしなければならない…。
「………」
カイルは決意した…。
箸で卵焼き(柔らかく、湯気がたってとても美味しそう)を一切れつまんだ。
「カナタ…」
「はい?」
「………………………………………あ〜ん…(汗)」
「ええっvvvvv(///)」
即座に飛びついてくる少年だった。
―――――――――――――――慣らされている自分が怖い…
カイルは本気でその時思ったそうな…。
「なんか、見られてる気がする…(汗)」
「え?そうですか???」
まったく気付いていないのか、呑気な青年であった………。
カナタ少年のトーマス君観察3
(『8時。一時間かけて朝食を終える。かなり遅いッ!もっと早く食べて欲しい(でもカイルさんとゆっくりとお茶が出来たのでよし!)』 カナタメモより抜粋)
「9時10分…早くも尾行をばれる、と…」
「トーマス様を見て何をしてるんですか??」
「用事ならオレもトーマスさんの所行くから一緒に行くけど?」
遠い目をしてメモをとっている少年(偽)を気にもせず、真の少年少女らはわきゃわきゃと話しかけてくる。
言わずと知れた任務失敗である。
しかし、トーマスの部屋の前というなんとも見つかりやすい場所にいるのだからしょうがないだろう。これを見てみぬ ふりをしてくれるのは、フッチくらいしかいまい…。
「いえ、単にトーマス君を観察してるだけですから〜」
「えー!!トーマス様を観察ですか!!?なんかカナタさん探偵さんみたいですね!!」
「観察ってトーマスさんの何を観察してるんだ??」
「あんまり大きな声出さないで下さい…(汗)まあ、プライベート調査ですね。」
口に人さし指を当てて、ヒューゴとセシルに「静かに、」というポーズを取るが、まさかカナタ本人もまともに少年少女を監督するはめになるとは思っても見なかった事だろう…。
「私も見ます!だって!トーマス様を近くで守るのは私の仕事です!!門の方は今はコロク達がいますから、私はトーマス様の近くなんですっ!!」
「オレも…いていい?」
「(あんまりあの犬が役に立つとは思わないんですけどね〜;)いーですよー」
もうやけくそな感じでカナタは頷いてみせた。
隙間から中を覗いてみるとあれだけ部屋の前でがやがやと騒いでいた(自覚はあった)というのに、トーマスはいつもと変わらぬ 表情で部屋の中をうろうろと歩き回っていた…。
「『9時20分…何か考え事をしながら部屋をぐるぐると歩き回っている。』と、後『真面 目そうな表情』っと」
「考え事してる時のトーマスさんって、話しかけても気付いてくれない事が多いんだよな…」
「え?そうですか!?私が呼び掛けた時はちゃんと振り向いてくれますよ!!」
「『人に対するえこ贔屓有り』。ですね…」
一時間経過…
「『10時20分まだ歩いている』っ!(怒)」
「トーマス様ってずっとずっと城のみんなの事を考えてくれてたんですねっ!!」
「すごいな〜。…でもオレちょっと飽きてきた……」
イライラしてつい鉛筆をへし折る少年と、手を胸の前で握りしめて感動を露にする少女と、疲れた表情で身体を起こす少年の三人三様な姿が見られたと言う…
カナタ少年のトーマス君観察4
「結局、11時まで部屋で考え事してましたよ…(汗)」
ようやく部屋から出て、散歩をしているトーマスを見つめるカナタであった…。
その姿はかなり目立つ。
………しかし、個性的なメンバーの目立つこのトーマス君城においては、それくらいの奇行は特に注目を浴びる程の物ではなかった…。―――意外に問題だ。
「気分転換でしょーか?」
カナタはそう言いながら、首を傾げる。
トーマスならば、一日中部屋に籠っていてもおかしくないと考えているのだろう。失礼な話である。
―――ちなみに、セシルとヒューゴはと言うと、10時前になった時点で何の展開もないトーマスの行動を観察する事を放棄してそれぞれ解散していた。
「まあ、『11:05、気分転換の為に散歩』と。」
そして、トーマスはてくてくと歩いていると、ふいに何かをみつけたのか、足を止めその場にいた人物に話しかけている…。
その人物はというと、緑のバンダナとけんぽう着をきた少女のような少年…………
「あーーーーーーーーーーー!!!!!!なんでカイルさんがあんな所にいるんですかーーーーーーーっっっっ!!!!(怒)」
あんな所と言うか…まあ、犬がいる為、当然の位置だと思われるが―――――…
嫉妬の炎に狩られたカナタは目的も忘れて、猛ダッシュをかけるのだがしかし、
ゴンッ!
何故だか天井が落ちて来た………。
「最近城の痛みが激しくて…………天井とかももう雨漏りがするくらいになっていて―――…」
「大変そう……あ!天井がっ!(汗)」
「えっ!;あ………危ないから早く修理しないと…………誰もいなくてよかった…(汗)」
「うん…そうだね、(汗)」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ(います〜〜〜>怒泣)」
瓦礫の下敷きになっているカナタであった…。
「あの……お昼を食べに行こうと思ってるんですけど…えっと……一緒にどうですか?」
「……、」
声は聞こえなかったが、カイルは頷いたのか、足音が遠ざかって行っていた…。そして、残された少年は救出されるまで、血の涙を流し続けるのであった…。
カナタ少年のトーマス君観察5
「ううっ…結局、2時間も下敷きでしたよ……」
老朽化した石の天井が落ちて来て、カナタは何故か下敷きにされていたのだ…。
その時間が、11時30分頃であった為に現在の時刻は13:30。昼の1時半である。
少年はハラハラと悔し涙を零しながらへろへろと歩き出す。
幾らカナタと言えども、2時間もの遭難(?)はなかなか厳しい物があったようだ。
「しくしく…カイルさんとの愛の昼食がっ…!」
―――――いや、ただ単に、精神的ダメージだったらしい。
「くうっ!;もうご飯すんじゃってるんでしょうねっ…(泣)ああっ!憎いですっ!何もかもが憎いですーーーーッ!!」
カナタは理不尽な出来事に対する悲しみを怒りへと変えた。
「とにもかくにもっ!トーマス君の調査追跡を再開ですッ!!」
とっとっとっと…
とかなんとか言っていると、その張本人が常人よりも遅いスピードで走って来た。
「すみませんっ……あの、応急処置でいいので、天井の修理お願いします」
「あ、わかりましたー」
とっとっとっと…
ゆっくりと遠ざかってゆく。そして、その後ろからは更にまた無視られて(?)いるのか、ヒューゴが走って来るのが見えた。
「トーマスさんっ…!;」
「――――――――――って!なんで僕は返事してるんですかーーーーーッッ!!(怒)」
「わ!?(汗)」
てや〜!とちゃぶ台返し(のふり)をかます少年は、通りすがりのヒューゴを無意味に驚かすだけであった…。
カナタ少年のトーマス君観察6
「『2時。書類やらなんやらを持って走り回っている』っと、」
てっとりばやく天井の応急処置をすませた、カナタは再びトーマスの観察を行っていた。
「っていうか…」
カナタはぽつりと呟く…
とろとろとしたスピードで書類を抱えて走り回っているトーマス。
(ついでにいうと、その後ろから「トーマス様!私も手伝います〜っ!」とセシルがついて回っている。)
「城主の仕事って雑用ですか?(汗)」
何やら先程から、アップルやシーザーに渡す書類を取りに走ったり、まだ元の部屋に置きっ放しにしていた書物などを回収して走っていたりと、どうでもいい(?)事ばかりしているのだ。
「う〜ん…(汗)」
しかも、重い物を運ぶ足取りが物凄く不安である。まだセシルの方が重い物を運んでいる。
階段の隅に隠れながら観察しているのだが、同じような事の繰り返しが行われているだけだ。
「あ、次は図書室の人に頼まれた本の虫干しの手伝いですか?(汗)」
メモを取るカナタの隣に、ふいに人影が現れる。
「トーマスさ〜ん!」
ようやく見つけた!とばかりにヒューゴが嬉しそうに手を振って呼び掛けていた。
「はっ!ヒューゴさん!!(まずいですっ!見つかります!!)」
観察がばれてはまずいと少年はダッシュでその場から逃げようとしたのだが、時は既に遅かった。
「あ、ヒューゴさん…………うわっ!;」
階段下から呼び掛けたヒューゴ。
それに気付いた、重い荷物を持ったトーマス。
結果、やはり階段の上から落ちかける青年。
「トーマス様ッ!!危ないです!!」
「トーマスさん!!」
そして、落ちるトーマスを追い掛けるようにダイブするセシル。
反射的に受け止めようとするヒューゴ。
……………ちょうどその間にいた(逃げる途中)のカナタ。
ぐしゃ。
「うわっ…大丈夫かい!?セシル…!あ、ヒューゴさんもっ!」
「大丈夫です〜っ!トーマス様こそ〜っ」
「あんまり大丈夫じゃない…(汗)」
ちなみに、セリフ順に上から重なっている。
そして一番下はというと……………………
「はっ早く退いてくださいーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっっ!!!!!!(怒)なんで僕が一番下敷きなんですか〜〜〜〜〜〜!!!!!!(泣)」
…。
<もろこさんに捧げます…(死)昔にいってたネタです…(爆)>
カナタ少年のトーマス君観察7
『3時。とりあえず、自室にもどっている。(カナタメモより)』
「ふうっ…(汗)なんかむちゃくちゃ不幸な目に合いましたケド、ここならば安全です!!」
とかいいつつ、カナタは船の先端の方(かなりトーマスの部屋から遠い)で観察していた。
しかし、中の様子がわからないと意味がないのではないだろうか?―――その通りなのだが、そんな判断すらも少年は下せない状況にあるらしい。
「カナタさん…まだやってたんですか?(汗)」
しかも、わざわざフッチの居場所の近くにいるらしく、迷惑そうと言うか困惑した声がフッチからかけられている。
「うるさいですよ!生きるか死ぬかの瀬戸際なんですから邪魔しないで下さい!(怒)」
「はあ…;」
そんなカナタからの返事に、フッチは訳がわからないと言った様子だが、大分慣れたのかそれ以上は何も言わなかった。
双眼鏡を装着し、何か動きがないか監視するカナタ。
そんな時、ふいに人影がトーマスの部屋に訪れた。
それは…
「はあっ!!(汗)」
カイルだった。(コロク付き)
しかも、お茶の時間にするつもりなのか、ティーセットとお菓子を持参してきている。
「何でカイルさんがッ!!」
それはもちろん、少年が不在だったせいだろう。
双眼鏡の中では、ドアから顔を出したトーマスとカイルが和やかに会話している様子が見える……。
ぶちっ!
「ブライトをかせーーーーーーーーーーー!!!!!!!焼き付くすーーーーーーー!!!!!燃やしつくす〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!ガーーーーーーーーーッ!!!!!(怒)」
「ブライトをそんな事には使わせませんっ!!」
「キュイイイイ!」
どったんばったん!と暴れに暴れる集団だったのだが、竜が看板(しかも古い)で暴れるとどうなるかと言うと…………
ミシッ…
「ガーーーーーーーーーッッ!!!!(怒)」
「うわーーーーーーーーっっ!!(汗)」
メキメキッ…!
「キュイイイイイイイイ!!!!!(怒)」
ドーーーーーーーンッっ!!!!!
とてつもなく、大きな音が響き、ついでに大きな振動が伝わってきた。テーブルの上に置いたカップが不安定に揺れ、慌ててそれをトーマスは押さえた。
「うわっ…!;」
「な、何の音…?」
「じ、地震でしょうか?」
首を傾げる2人だ。
「ぶ、ブライト〜〜〜…(泣汗)」
「くぅううううう!ボロ過ぎですっ…!この船!!(怒)」
見事に、船底まで落ちたのであった…。
カナタ少年のトーマス君観察8
なんとかカナタは船底から脱出すると、そこの修理をフッチに押し付けて再び任務についた。
時間は、3:30。
「ふっ…!今度こそ失敗しませんっ…!」
そういって、何度失敗した事だろうか…。既に、その回数は不明になっていたりする。
「今度こそは直談判ですっ…!(怒)」
とりあえず、カナタは穴の開いた甲板から這い登ると、ダッシュでトーマスの部屋へと向かう。
そして、勢いをつけてトーマスの部屋を開け放した。
「頼もーーーーっ!!(怒)」
間。
「あれ?;」
とても城主の部屋とは思えない城主の部屋には、誰一人として姿はなかった。
残っているのは、ただ飲みかけの茶器だけだったりする…。
3:30。再び見回り(雑用)
「す、すみません……手伝ってもらってしまって…っ」
トーマスの言葉にカイルは首を横に振る。
「本当にありがとうござますっ…でも、どうして船がこんなに壊れたんですか?フッチさん…」
「いや…まあ、色々あってね…」
「………(汗)」←なんとなく原因が分かっているカイルさん。
2人は船の修理のお手伝いにいっていた。(入れ違い)
カナタ少年のトーマス君観察9
4:00…
「………(憎)」
憎い。
憎い!
憎過ぎるっ!!
カナタは、むしろ視線だけで殺せると言った殺意を湯煙の向こうに送り続けていた…。
観察相手トーマスは現在早い入浴タイム。
それもカイル(とヒューゴもいるがカナタには見えていない。)と共に、
「憎〜〜い〜〜です〜〜〜っ!!(怒) いっそ視線で人を燃やせたら〜〜っ」
謎の人体発火事件が多発するだろう。
しかし、それもこれも、元々はカナタが原因な話なのだが…
船の修理(途中でヒューゴ参加)で汗をかいた一同は、少し早いがお風呂に入ろうという話になったのだった。ちなみに、フッチは恐ろしい目に合うと知っている為、すぐに辞退している。
仲良く、湯舟に浸かり、些細な戯れをしている姿はほのぼのとした光景だったが、カナタ的には浮気現場(?)なのだろう…。
「そんなに近付いたら危ないですーーーっ!!(泣怒)」
湯舟で無茶を言うな。
ふいにカイルが(何事かあったのか)トーマスの前髪に触れる。
「!!;」
…どうやら真相を推測する所に、濡れた前髪が目に入りそうだから除けたという所なのだろう。
しかし、カナタが地面にのの字を書く程に落ち込ませる威力があった…。
「い〜んですっいいんですーーーっ!どうせ僕なんて〜〜〜っっ!!!!!(怒)」
「カナタ…?」
「はっ!!」
背後からの声に少年は素早く振り向いた。
そこにいたのは、バスタオルを身体に巻き付けた湯上がりカイルの姿だった。―――何故か、湯桶を手に持っている。
そして、困った表情で言う。
「何やってるの…?;」
「えーっと…」
「…覗き?」
「要約するとそうなるかも知れません。」
「………」
カイルは湯桶を上下にひっくり返す。
ざばーーー(熱湯)
「あぢゃーーーーーーーーーーーーっっっっっっっ!!!!!!!!!(汗)」
<本人からのコメント:カナタ「まだまだ負けませんーーーーーーーっっっ!!!!!(泣怒)>タコ状態で真っ赤」>
カナタ少年のトーマス君観察10
カナタメモより、『5:00まで入浴!長湯しすぎですっ!!(怒)』
「カイルさん酷過ぎです〜っ!(泣)」
「………(汗)」
いちゃこらいちゃこらと、カナタはカイルにひっついているのだが、その肌は全開の事件で真っ赤になったままだった。一体何度の熱湯をかけたのかまったく想像できない。
さすがに、カイルもそんな少年の姿が哀れなのか、人前でくっつかれていると言う状況でも、あまり抵抗を見せていない…。
「大体なんで熱湯攻めなんですか〜っっ!!(泣)覗きなんていつもの事じゃないですかッ!!棍ならまだしも、熱湯なんて!」
「それもどうかと思うんだけど…(怒汗)」←覗き云々について、
熱湯より棍の方がいいのか?という質問も捨て置き、
「…ちょっと、ヒューゴ君達が……;」
カナタがのの字を書いていた時点での出来事再現
『なんか気配がするんだけど…これが前言ってた覗きかな!?』
覗かれた人はお湯をかけないといけないんだよねっ!?と、微妙に間違った知識を植えられているヒューゴだが、被害者は丸っきりカイルと決めつけているようだ…。(まあ間違いではないが、)
『あの…よかったらこれ……;』
『あ、その…;』
トーマスから差し出された湯桶を反射的に受け取ってしまうカイルだ。
「って…;」
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!!!!」
またトーマス君ですかーーーーーーっっっ!!!!!!
少年の絶叫が古びた城に響き渡る………。
「な、なんか色々ありましたけど、ご飯の時間で夜6:00です…(汗)」
「カナタ…;落ち着いてご飯食べた方が……」
死際のような呼吸でメモをとりながら、ご飯を食べようとしているカナタにカイルはコメントするが、丸っきり聞いていない。
「てかまたカレー(激甘)食べてますっ!?朝も食べてたじゃないですかっっ!!!!!カレー星人ですよっ!!そのうち●モスになりますよっ!?」
「………(汗)」
何やらなつかしいCMネタを言うカナタに、カイルは諦めたようにため息をつくと、フォークの先にトマトを突き刺した。そして、それをカナタの口に…(以下朝と同じ)
<というか、CMネタは風化するのでやめてくれ。>
カナタ少年のトーマス君観察11
「え〜っと、『7:00見回りに行く』と……」
カナタは再び、制止するカイルを振り切ってストーカー行為に励んでいる所だった。
その、制止するカイルを振り切るシーンはというと、
『カナタッ…;』
『止めないで下さいっ!!(泣)男には一生に一度やらなければいけない時があるんですっ…くぅっ!!(涙)』
…という、本人は非常に真剣な訳で、周りから見れば、訳がわからない演技をしただけだったが、
まあ、全然関係ない為、置いておくが、
「えーっと、何か運んでますね、」
バスケットを持って、横にセシルをお供につけているトーマスは、夜の番にあたっているヒューゴにそのバスケットを手渡している。
「―――というかこの城英雄も何も関係無しに当番割り当てですか…そうですか……;」
その呟きが相手に聞こえないのは、カナタが双眼鏡でとても離れた位置から見ている為だ。
…中身を見る、
…カレー(激甘)
…返そうとするヒューゴと、押し付けるトーマス
…ヒューゴの負け
「押し強いですね…;ってん?」
…近付いて来るエッジ
…何事か会話
…ふいにトーマスの手の上から消え失せるカレー。
「は?」
思わずカナタは何事かと思って一同に近付いてしまった。
そう…、近付いてしまったのだ。
「ハヤシライスはカレーじゃありません」
カレーは…エッジの顔面に張り付いていた。
まるでパイ投げのようだ。
「ぎゃーーーっっ!!;(ムンクの叫び風)」
「トーマス様の言う通りですー!!」
うりゃうりゃうりゃ!と始まる聖戦…。
なんで誰もやり過ぎだって突っ込まないんですかーっ!!(泣)と、お前が言うなよという感じで、少年の叫びが夜の城に響いた。
しかも、当然のごとく、巻き込まれたカナタだ。
カナタ少年のトーマス君観察最終回
『8:00日誌を書く。』
「………(汗)」
天井裏(?)に潜んだカナタは、真っ暗な中メモにそう書き綴る。まあ、居場所は正しくは、部屋の上で船上なのだが、まあ雰囲気上、天井裏と言いたいお年頃らしい。
まだ、先程の事件の脂汗がじっとりとカナタの額には滲んでいた。
「………なんでですか、」
ぽつりと呟く、
「なんで誰もあの黒さに気付かないんですかっ…!!(泣)」
頭を抱えてカナタは唸る。
「なんかこれじゃあ僕ただの神経過敏な変な野郎じゃないですかっ!!;」
その通りである。
レポート結果だけを見れば、ただの偶然で全て済まされてしまうのだ。
―――しかし、カナタは何かを感じていた。そう、得も知らぬ恐怖を…
「ううううううううっっっ…;」
男泣きに泣く少年だが、ふいにトーマスの書いている、日誌兼日記に目をつけた。
「…もしかしたら、あれに何か証拠があるかもしれませんっ…!!;」
その可能性は低いですけどっ!やるだけはやらないといけませんっ!と、志も高く、覚悟を決めた。
目指すは日記…!
8:30…
ふいにトーマスが立ち上がった。
どうやらトイレに行く様である。
「チャンスです!!」
グッ!とカナタは小さくガッツポーズを作る。
そして、扉がきっちり閉じられたのを見て、わざわざ天井板を外して、そこから侵入した。そして、見事な程に着地をきめると、何故か滑り込みで日記を鷲掴んだ。
「日記ゲーット!!…ってあれ?これ、城用じゃなかったみたいですね?」
カナタは表紙をまじまじと観察する。
そこには「DAIRY」と書かれた文字と、本人の名前しか書かれていない物だった。
「プライベート用…!」
一瞬固まったカナタだったが、
「即見ですね。」
即で見た。しかも床の上で、
パラ…
「………」
パラリ…
「………」
パラパラ…
パラパラパラ…
パラパラパラパラ…!!
「………(滝汗)」
嫌に、カナタの額からは汗が流れ落ちていた。
呼吸も何か変だ。言うならば、「ヒュー…ヒュッ…ヒュ〜…」という感じだ…。
そして、最後の白紙のページまで見ると、カナタは勢い良くパタン!と日記を閉じ、辺りを見回そうと…
「何、してるんですか…?」
「ひッ…!!;」
バサッ…と床の上に日記が落ちた。
そのままカナタは素早く後ずさるが、狭い部屋はすぐに壁に行き当たった。
…背中が冷たい。
「えっと…今日、よく会いましたよね…?」
「………ッ!!;」
背中。
背中、逃げられない。
逃げられない。
近付いて来る。
来る!
来るっ!
来る!!!!!!!
逃げようとしても、自分の身体で唯一動いたのは指先だけで、あり、それも引きつったような動きしかしてくれなかった…。
そして……
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっっカイルさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!(泣)」
大絶叫。
9:00。
「カナタが迷惑かけてごめんね…?;」
「いえ……;」
カイルは、カナタに抱き着かれたまま、トーマスに謝る。
カナタは、ただぎゅうぎゅうと力一杯カイルに抱き着き、「あうえうあううえうおうっっ!!;」と訳のわからない声を出しているだけだった…。
「カナタ;何かあったの…?;」
「っ!!!!!;」
ぶんぶんぶんっ!!(首を横に振る)
そして、カナタは何があったかとは何も語らなかったという事だった…
そう、何も…
<この話が書きたかっただけです…(死吐血)トーマスファンの皆様ごめんなさ…っ!;(殴)>