ホワイトデーSS
「カイルさーん!ホワイトデーのお返しですー♪ 今年はクッキーでお菓子の家を作成してみましたよ!」
「ありがとう」
手…というか、腕の中に納まるサイズのホワイトデーのお返しに、カイルはこの大きさなら食べられると、嬉しさより安堵の笑みで受け取った。
「中に僕の気持ちをこめた力作です!」
「わぁ…」
どうやら、屋根を外すと中にギッシリハート型のクッキーが入ってるようだ。
1人で食べきれる量か怪しくなったが、分けて食べようものならばカナタがどう暴走するかわからない為、頑張るしかない。
――そこへ、ふと通りかかった子供が爆弾を投下した。
「えーお菓子のおうち、ちっちゃいー!」
「…………………」
「っっ!;」
お菓子のお家=大きいという認識からで、子供の発言に他意はない。
しかし、そんなことは少年には伝わらない。
「――そうです!僕のカイルさんへの愛情を示すならばカイルさんの実家の原寸サイズでないと…!」
「カナタ!;やめて!本当にいいから…!」
「カイルさん!ちょっと待っててください!昼までには仕上げてみせます!!」
「カナタ…!」
ドドドドドド!と駈け出したカナタには、もう声も届かない…。
「…………・…」
もうカイルにはどうしようもなかった。
そして、午後…
気が付くと、巨大なクッキーで出来た迷路が出来ていた…。
いや、正しくは城の内側が、全部クッキーの壁になっており、チョコの飾りやアメ細工で飾り立てられていたのだ。
カナタを探し、走りまわっていたカイルの後追いで作られていったに違いない。
「カナタ………」
「カイルさん!どうですかコレ!? さすがに一人じゃ準備しきれなかったんで、材料混ぜるのは強制労働…手伝ってもらいましたけど☆」
城の厨房では、男性メンバーらがよくある強制労働のグルグル回す道具でクッキーの生地やバターを練っていたりする…。完全に地獄絵図だ。
「―――ごめんね、…これはちょっと;」
「え”ッ!?」
心を鬼にして、カイルは受け取り拒否をした。
その後、巨大お菓子の城はスタッフが美味しく頂いたという。