13日の金曜日SS

 

 

 

その時、カイルは眠っていたように思う。

ただ、夜でもないのに何故自分が眠っているのかが思い出せなかった。

昼寝をしたつもりはなくとも、気づかない内に眠ってしまったのだろうか…

 

「カイルさん…カイルさんっ!」

カナタの呼びかける声が聞こえ、カイルはハッと目を覚ました。

「カナタ…?」

「カイルさん!気づいてよかったです…!」

え?と首を傾げて、辺りを見回してみると―――

そこは廃墟のように寂れた本拠地の通路だった。

しかも、壁や床に刃物で切りかかったような傷跡が多数見える。

 

「…カナタ、今度は何したの…;」

「僕じゃないですッ!!;」

 

うわーんっ!;と叫ぶが、日頃の行いがある為信用しがたい…。

「とにかく!僕じゃないんです!;僕も気が付いたらこうなってたわけなんですし、…ハッ!;13日の金曜日でジェイソンばっか気にしてましたケド!フレディの仕業でしょうか!;」

「じゃあ夢なの?;」

「素早く目覚めましょう!!;悪夢を見せられて現実でも死んじゃいます!」

この現状は自分の夢なのだろうかと思いつつも、カイルは首を傾げる。

その間も、カナタはバッシーン!バッシーン!と自分の頬を叩いており、とても痛そうだ。

しかし、ハッと気が付いた瞬間―――カナタの背後から鉈の刃が煌めいた。

「危ないっ…!」

「はぎゃーー!!;」

とっさに棍で弾き飛ばしたものの、どこからともなく更に刃物が飛来し床に突き刺さっていく。

「石床なのに刺さるなんてー!;刃物なら刃物らしく砕けたらどうですかーー!!;」

「うん…;」

「はっ!;」

チュィイイイイン…と、遠くからモーター音が響いてカナタは素早くカイルの手を取って走り出した。

「ヤツです!ヤツが来ます!!;」

「カナタ、前…;」

もぞもぞと進む先に見える、髪の長い…ナニカが見えたカイルは、顔を引きつらせる。

「ひぃいいいいっ!!;3Dな画面から出てくる感染型幽霊がぁああああああああああ!!;」

ホラーのオンパレードに、カナタが絶叫をあげた…。

 

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「うぅーーんっ!;うぅーんっ!カイルさんは僕がふにゃふにゃ…!」

「うーん…;」

テーブルの上に突っ伏しながら、眉を寄せて唸るカナタとカイルの姿…。

とても寝苦しそうだ。

「…何か2人とも魘されてるが、大丈夫なのか?;」

「仕方ないだろ、また『じぇいそん』だなんだで騒がれても困るから寝かせとこうって会議で決まったんだからなぁ」

 

注文のデザートに睡眠薬を混入した為、カイルまでとばっちりを受けたという…。