白い生地に金魚の模様、お揃いの浴衣にそれぞれ赤い帯と青い帯を締めた子供が2人。
幼子2人は、とても可愛らしい様子で母親らしき人物――二児の母親には見えない若さだったが、確かにその表情や仕種を見ていると母親にしか見えない――に纏わり付いていた。
子供らは人慣れしていないのか、人込みに尻込みしている様子が見て取れ…いや、自分達(母親含む)に注がれる「可愛い…v」という視線に警戒しているようだった。
「カイルさ〜ん!そして我が子達ー!お待たせしました〜!」
だだだだー!と仁平服を着た少年が駆け寄って来ると、少年とそっくりな顔をした子供の方が母親の椿模様の浴衣から手を離し、勢いよくキックをした。…しかし、それでも周囲に警戒していた表情は緩み、子供らは安心した様子を見せていたりする。
「おとーさん!おそいっ!」
「や〜v本当はすぐに両替出来てたんですけど♪カイルさんが僕を待つ姿が可愛くて暫く見てました!」
「かなたバカ。」
あっさり子供のキックを抱き上げて阻止した後、カナタはそんな事を言った…。そして、子供のコメントは尤もなもので、カイルは困ったように苦笑するばかりだ。
「それじゃあ祭にレッツゴーです!」
ちゃっかり話を流したカナタは、家族4人で祭に繰り出した。
「きれい…」
「いっぱいいるー!」
黒いの黒いの!と騒ぐカナタ似の子供と、初めて見る金魚の群れに目をキラキラさせているカイル似の子供…。
屋台のおっちゃんも思わず微笑ましく思ってしまう光景だ。
「さあ!初めての金魚すくいに挑戦ですよ!」
と宣言したカナタは、子供らにポイを渡し、自分もポイを構えていた。
「どりゃー!!」
次々に金魚を器の中に入れて行く父の姿に、尊敬の眼差しを注ぐ子供らだったが、見ているばかりでなく自分達もしてみよう!と早速初めての金魚すくいに挑戦する。
「えい!」
びしゃっ!
…水面に叩き付けられたポイは、一瞬にして破れた。
「???」
不思議そうな顔になる子供に、カイルは微笑ましく思いながらも新しいポイを買って渡してやった。(カナタは現在2皿目に突入中で手が離せない)
行動派なハルとは対照的に、ルィは慎重になり過ぎて金魚の動きを見つめて続けている。
「む〜!;」
「………」
金魚と格闘する2人…。微笑ましいのだが、本人らにとっては真剣だ。
ふいに双子は目と目を合わせると、一斉にポイを水に浸けた。
「ハル、そっち」
「うん」
双子コンビネーションで、協力作戦に出た。
お互いに協力して金魚をすくっていく姿に、カイルはいいのかなぁ…?;と思いながらも、2人の成長を喜んだ。
すくった金魚をぶら下げて、ボインボィンとヨーヨーを揺らし、頭にお面まで被ったカナタは二児の親にはまるで見えない…。まさに祭を満喫している悪ガキだ。
しかし、同じような恰好になっている自分似の子供を肩車している為、本人は父の自覚はあるつもりのようだ。
お面の代わりに片手に綿菓子をぶら下げたもう片方の子供は、カイルと仲良く手を繋いでいる。
「さ〜!次は何しましょうか!」
「あれーっ!」
あれやりたい!と肩車の子供が頭をパシパシ叩いて指差したものは、射的だった。
「フフ…スナイパーと呼ばれた僕の腕前!披露してみせます!」
「いっしょにやるー!」
「ルィは?」
「みてる…」
「倒したら景品ゲットぉ〜♪」
歌いながら、パスンパスンと景品を落としていくカナタは、やはりかなりの腕前だった。
次々に景品(食べ物や可愛い小物を狙っている)を倒すカナタに、肩車をされたままの子供は何を思ったのか――――銃口をカナタに向けた。
「…ハル助?;」
「かなた倒したら、けいひんゲット?」
性格もかなりカナタに似てしまったらしい子供だ。…危険なので、銃口を人に向けてはいけない。(今更だが、良い子は絶対真似をしないように!)
「…あれ」
「うなぎ釣り?」
ハルとカナタが揉めている中、そっくりな母子はすぐ近くにあった屋台を覗き込んだ。
「へいらっしゃい!」
………水を張った水槽の中には、うなぎがにょろりと入っていた。
「…したい?;」
「したい…」
こくりと子供は頷いた。
一体何が、子供の心の琴線に触れたのかはわからなかったが、カイルは愛想の良い店主から釣竿(木の竿に糸と針がついただけの物)を受け取ると、ルィに渡してやった。
「あいよお嬢ちゃん!釣り方は、針をエラに引っ掛けて引っ張りな!」
「!?;」
確かにエサも何もついていない為、うなぎが針に食いつく事はないが、ヨーヨーつりのような釣り方をするとは思ってもみなかった。
しかし子供はカイルに支えられたまま、すぐにうなぎに針を引っ掛けていた。
器用かつ上手だったが、相手は生き物で、大人しく釣らせてくれる訳がない。
うねうねうね!ともがき、逃れようとしたあげく自分から釣り糸に絡まって窒息した………。
「………」
硬直した子供は、思わず手から釣竿を離す。
…すると、うなぎは力なくひっくり返り、その腹を見せる訳で………
「〜〜〜〜おかあさんっ!」
「大丈夫だから、ね?;」
パニック状態になった子供は、ぎゅぅうー!と母(?)にしがみついた。カイルは必死に頭を撫でて子供を慰める。
「る〜泣かした!!(怒)」
「鰻め!(怒)この鰻めッッ!我が子を泣かすなんて生かしてはおけないです!!(怒)」
……………マッハのスピードでやって来たそっくり親子が、今夜は蒲焼き!!(怒)と仇討ちを始めた…。
結局、うなぎまで袋に入れてぶら下げた一行は、最後に一つの屋台に釘付けになった。
「………」
「………」
愛らしい子供らの前で、愛らしい生き物らがぴよぴよぴぃよと鳴き声を上げていたのだ。
「可愛い…v」
「こ…これは!」
うずらすくい。
指先に乗ってしまいそうなうずらの雛達が、ケースの中に群れていたのだ。
一回300ポッチ…紙のポイではどうあっても破れそうにないこの屋台は、実質その値段で雛を売っているのに等しい。
紙の上に乗って羽をばたつかせ、器の中に入っては、ぺしゃっと落ちて、ぴよぴよと鳴き出し動く。
「ぴよぴよ!」
「かわいい…」
「遊ぶのはいいですケド…持って帰るんですか?」
「かえるー!」
「うずらもいっしょがいい」
勿論、可愛い生き物に心を奪われているカイルはOKだ。
「まあいいですけどね〜飼えない理由もないですし…」
遠い視線になりながら、カナタは許可を出した。(そして、「カイルさんはやっちゃイヤですよー!うずらより僕です!!」と、どさくさに紛れてカイルに抱き着いた。)
子供らはその間にそれぞれ気に入ったうずらをゲットし…
「『やきとり』げっと〜!」
「『てりやき』ちゃん…」
「え?食用?」
「すみません…この雛の性別はわかりますか?;」
雌でなければ、確実に食われる。
…末恐ろしい子供らであった。
「…所で、何で僕は浴衣(女物)…;」
「似合うからです!むしろ毎年恒例行事!」
「おかーさんキレイ!」
「きれい…」
小ネタな感じで…
祭に少々連日行って来たので、勢いだけでやってみました☆(笑吐血)