入れ代わり
「カイルさ〜〜〜〜〜〜〜んvvv」
「何で追っかけるのっ!」
「カイルさんが逃げるからで〜すっ!」
「おい、あんまり走ると転けるぞ?」
フリックの忠告もどこ吹く風といった感じでバタバタと、相変わらず鬼ごっこが続く。
しかし、場所とタイミングが悪かった。
階段がすぐ側という事と…
「カナタ殿!騒がしいですぞ!!」
バタンッッ ごすぅっ
ドアをブチ当てられ、カナタはカイルを巻き込み二階の階段を落下して行った。
「カナタ、カイル大丈夫かッ!?」
なかなか凄まじい音がして、辺りからも人が集まってくる。
「いたい…」
「頭ぶつけました…」
それぞれ頭をさすって呑気な事を言っている所を見ると、とくに大きな怪我はないようだ。
「はっ!カイルさん!!大丈夫ですかッ!?」
と、カナタの上に馬乗りになったカイルが尋ねる。
「うん、カナタは?………!??!?!?!?」
先に、カナタが異変に気づいた。
そして、カイルも続いて異変に気づく。
「…何でカイルさんが僕なんですか?」
馬乗りになったままカイル…もといカナタが尋ねた。
周囲では、また厄介な事になったと盛大なため息がもれる。
「で、こっちがカナタでこっちがカイルに間違いないな?」
最近ちょっとは不測の事態に慣れてきたフリックが聞く
後ろではシュウが何かの錠剤を飲み込んでいる。おそらく胃薬だろう…
「そうなんですけど…なんか変な感じですね、自分に抱き着いてるのって♪」
いつも通りと言えば、いつも通りなのだが。外見上は、カイルがカナタに抱き着いている事になる。
「わっはっは、また面白い事になったもんだな?こっちがカイルか?」
ビクトールがわしゃわしゃとカナタを撫でる。
「あっ、ビクトールさんお障り厳禁ですよ!!」
ぷうっと頬を膨らませて、カイルがその手を押し退ける。
「カナタ…あんまりその顔でそう言う事はしない方がいいと思うんだが…」
カイルが嫉妬してる風に見えるから…とは最後まで続けなかった。
「………いい機会です、このさい中身がカナタ殿と外身がカナタ殿なのですから2人で仕事をしてもらいましょうかっ!?」
シュウが切れた。
いいかげん仕事(とストレス)がたまっていたのだろう。
「ええ〜〜〜〜〜〜〜。そんな事より、もっと他にやる事…が………」
急にカナタ(中身)が黙り込んだ。
「どうしたの、カナタ?」
「ちょっとトイレに行ってきま〜〜〜〜〜〜すvvvvvvvvvv」
鼻を押さえて、逃走する。
鼻血を吹きながら、トイレもないだろう…
「お〜、あの様子だとカイルの身体にいたずらするつもりだなありゃあ…」
呑気そうにビクトールが呟いた
「!!!僕のからだ………(///)」
「仕事を終えてもらわねばならん!!」
シュウは何か筒状の物を取り出し、それに向かって叫ぶ
「全員に告ぐ!カイル殿を捕獲しろっ!!!即刻!」
筒から筒へと響き、城中にシュウの声が轟いた。
「ふふふふふ、カイルさんのからだ〜vvvな〜にしようかな〜?」
パタパタと走っていると、突然声をかけられる。
「カイルさん、さっきシュウさんに呼ばれてましたが、どうかしたんですか?」
フッチだ。
『………とりあえず先にライバル潰しかな、』
にやりと密かに笑みを浮かべる。
「…ねえ、フッチ話があるんだけど………」
わざと、艶っぽい目を投げかける
「な、なんですか」
なんとか落ち着こうとしているが、顔はまさにゆでだこ状態だ。
「あのね…」
凭れ掛かるようにして、首に腕を絡ませる。
「あのっ…」
『よしっ、ここで大嫌いって言えば立ち直れないはずッ!!』
ゴスッッッ
頭に激痛が走る。
慌てて後ろを振り向いてみると…トンファーを構えたカナタ、つまりカイルが立っていた。
「…カナタ言い残す事は?」
にっこりと、唇に壮絶な笑みを浮かべる。
「誤解です〜!!(泣)」
「カイル…、せめて自分の身体だって事を忘れてやるなよ………」
「その時は水の紋章頼むね、」
いつの間にか、元解放軍リーダーの顔になっている。
フリックは心の中で『破魔の紋章でなくてよかった…』と密かに呟いた。
結局この後、基本に忠実に『もう一度頭をぶつける』という原始的な方法で元に戻り
本体に戻ったカイルがもう一度カナタをひん死状態にし、帰路についたと言う。
しばらく、本拠地を訪れる事はなかったそうだ。
よくわかんないけど終わっちゃえv