眠れる森の・・・

 

「ホホホホホホ、その子は十五になると同時に死ぬであろう!」

 

和やかなパーティーに突然現われた魔女、

ウィンディは今日生まれたばかりの、テオ=マクドールの子供に呪いをかけた。

「いったいどうすれば------」

慌てる人々の前に、一人の少年が現われた

「(めんどうだけど)レックナート様の言い付けだからね----」

少年はその呪いの『死』を『眠り』に変えた

ここから物語りが始まる

 

バキッ

少年、カイルがくり出す棍の一撃が求婚者(?)を張り倒す。

「ふぅ・・」

「君も大変だね、」

「まあね・・・・」

カイルはあの日以来、なぜか女として育てられている昔はともかく、今は男物の『けんぽう着』を身に付けている。

「さすがにもう、疲れてきた・・・」

スタスタと扉の方へ歩き出す

「どこ行くつもり?」

「ミルイヒのバラの塔(イバラの城)、---------僕は呪いにかかったという事にして、」

「------なるほどね、」

もう、ウィンディはいとこのテッドの手によって倒されたのだけど・・・

「あれがうわさの『いばらの城』だね!!」

「そうみたいだね・・・」

「うわぁ!けっこう楽しそうだね!」

イバラの城の前で三人の少年、少女が騒いでいた。

「ねぇ、カナタ本当に行くつもりなのかい?」

「もちろん!それでぜ〜〜ったい、お姫さま救い出して結婚するんだ! ねえ!ナナミ!!」

「わーーーい!私もついに、妹ができるんだよねーーー!!」

ふぅっとジョウイは気づかれないようにため息を付く

事の始まりは、カナタがいばら姫の肖像画を見た事から始まったのだ。

『うわーー!うわーー!!すっごいかわいいーーー!誰!?誰これ!?』

『ちょっと、カナタ!落ち着いてーー!』

危うく、絵書きを絞め殺しそうな勢いのカナタを、なんとか宥めたのだった。

たしかに、かわいいと思うし、僕だってできるものなら結婚----・・・

って、そんな事口にしたらこの親友に本気で殺されかねない・・。

「ジョウイ!なにしてるの!置いてくよ!」

「あ、うん」

「カナタ!私は!?」

「ナナミは留守番!!」

「えーーーーーー」

おもいっきり不満そうな声を出す。

「結婚式の用意しといてよ、お姉ちゃん。」

「・・・わかった。お姉ちゃんがんばるよ!」

さすがだ------・・・もう結婚する気でいるよ・・・

ジョウイは心の中でそう呟く。

 

 

「ふぅ、こういう生活も、静かでいいかも」

ただ、残念なのはグレミオのシチューかな・・

「元気そうだね」

「まあ、ね」

いきなり現われたルックに、カイルは驚きもしない

「そういえば僕がかけた呪いの件だけど、」

「たしか、『永遠に眠り続ける』ってヤツだよね?」

「それだけど、君、呪いにかかりそうにないからちょっと変えといたよ」

ピタッ

カイルは嫌な予感がして、動きを止めてゆっくりルックの方を向く

「-------どういうのに?」

「君に口付けした相手と絶対、結ばれるようにってね」

「---------解呪法はっ!?」

ルックの喉元に棍が構えられる

「相手の死、それから誰かこの城に入ってきてるみたいだよ」

 

 

「うわーーー!?何これ!?」

うにょうにょといばらが、伸びてくる。

「このままじゃ、先に進めないっ・・どうする!?カナタ!?」

「-------ジョウイ!まかせたよ!!」

「えっ?〜〜〜っっっっカナターーーーーーーー!!」

0・5秒の悩みののち、カナタはジョウイを犠牲にして先に進む事にした。

 

バタバタバタ

「はーーー、疲れた〜・・」

カナタが足を止め、息を付いた瞬間ヒュッと微かな鋭い音がした、

「!?っっ」

カナタはソレを愛用のトンファーで受け止める

「えっ!?」

相手、カイルもまさか受け止められるとは思っていなかったらしく、 驚きの声をあげる。

「あっ、あなたはーー!!」

「?子供?」

相手が自分よりも幼かったことで、カイルから殺気が消え失せる

「きゃーー。(?)いばら姫だーーー!!僕カナタです!! 名前教えて下さいーーーーーー!!」

ドターーーンッ

勢いあまってカナタはカイルを押し倒す形になる。

「うわっ」

「すみません!-------で名前教えて下さい。」

「------カイル・・」

「カイルさんですか!!」

子犬がパタパタとしっぽを振るような表情になる。

なんか、かわいいなぁとカイルは思う。

----相手は、もっと下心付きで思っているとも知らずに・・・

「カイルさん!!僕と結婚してくださいッ!!」

「は?」

「幸せにしますぅ〜〜〜っっ」

ぎゅう〜〜〜っと抱き締められる

「っちょっとまって!!僕、男だよ!?」

「そんなの関係ないですーーーーっ!!」

ぎゅぎゅぎゅう

(っくるしいっ)

カナタの思いがけない腕力に振りほどけない。

「それとも僕のコト嫌いなんですか〜〜・・」

うるうる

「キッキライじゃないけど・・・」

(なんか、調子狂う・・)

「じゃあ、いいじゃないですか〜〜〜。」

「そっっそういう問題じゃ・・・」

「えい。」

ぷちゅう・・

「んぐっ」

「ん〜〜〜〜〜〜。」

カナタは何を思ったか、カイルに口付ける

「んっんっんっんーーーーーーーー」

ちゅう----------------------------------っっ、

スポンッ

「ぷはーー。」

非常に満足そうなカナタと、肩で息をつき疲れた顔のカイル・・・。

「・・・・・君ら、いったい何してるの?」

「ルック!!」

「------誰ですか〜〜?」

再びカナタはカイルに抱きつく。

威嚇するように、

「どうしてくれるんだ!呪いかかっちゃったじゃないか!」

「冗談だったんだけど?君信じたの?」

「ーーーーーーーーーっっっっっ!!!」

怒りのあまり、カイルは口が聞けなくなる。

「カイルさん。行きましょう!結婚。結婚。」

ずるずると引きずられながら、カイルは思った。

『いつか仕返ししてやるっ』と。

 

「カナタ〜!お帰り〜!!心配したよ〜!!!」

「ただいまー!!ナナミー、カイルさんだよーー!!カイルさん、僕の姉です〜」

「わーい!!お姉ちゃんって呼んでね〜!!」

「・・・・・まっいっか、」

この二人と一緒にいるのも悪くないように感じるカイルだった。

 

そしてここに一人、恨みを募らせる人物がいた。

「カナタ----------------------ッ・・・」

その人物、ジョウイはいばらに絡まれて動けなくなっていた、

ちなみにカナタたちが気づくのは、まだ大分先の話だった。

                         おわる 

 

 

料理勝負

 

ある日の事

「けっこう、カナタって料理できるよな、」

「そうだな」

なんていう話題になっていた。

「カイルが料理作っているとこ見た事あるか?」

「・・・ないな、」

「オレ一回だけ食ったんだけど、かなりイケてるぜ、」

何を食べても、不味いと言うシーナが言うのだから相当なものだろう。

「なあ、フリック久しぶりに料理勝負見たくねぇ?」

「たしかに最近見てないしな、」

「おっ!うわさをすれば、現リーダーだぜ、」

 

 

「それでは!料理勝負を始めますッ!司会は私、フー・タン・チェンです!!そして登場するのは、われらが軍主カナタさ〜ん!!」

「わーい!!」

手を振って声援にこたえるカナタ

「そして、あの赤月帝国を倒した、英雄のカイルさんです!!」

「なんでこんな事に?」

無理矢理連れてこられたカイルだった。

「カイルさん!!僕が勝ったら、カイルさんから『ちゅう』して下さいね!!」

「おおっと!いきなり強気な発言だ!!」

「・・・いやに簡単にのってくると思ったら」

「こういう事考えてたわけだな、」

「面白い事になったな」

口々に勝手な事を言う観客だった

「さて、カイルさんどうしますか?」

「・・・いいよ」

「おおーっと意外です!どうした事でしょうか!?」

「悪い物でも食ったのか?」

「いや、脅迫されてるとか・・・」

「僕の愛が通じたんですー。」

あまりの珍事に、またもや騒がしくなる会場。

「僕が勝ったら、今日はもう家に帰るからね!」

「えぇーーー!!そんな〜〜〜・・・」

叫ぶカナタと裏腹に、観客達は納得しあう。

「なるほどな、」

「でも、『今日は』って所があきらめてますね・・」

「それでは、それぞれの意見がまとまったところで審査員を紹介します!わざわざハイランドから来て下さったジョウイさん!!」

「トランの英雄さんの手料理が食べられるんなら。」

「???」

「カイルさんは、僕のだからねー!!」

「え〜〜〜っと、続きまして、味オンチ・・もとい、ユニークな料理センスを持つナナミさん!!」

「カナターーー!がんばってねーー!!お姉ちゃん応援するよー!」

「後は、ハイ・ヨーさんと、ルックさんです!」

「略さないでヨ〜!!」

「・・・・・・」

「さあ!始めて下さい!」

ゴーンとドラの音が響き渡る

 

「ていやっ!」

カナタは、すばやくキャベツを千切りにする。

その心は、 『カイルさんとちゅう』『カイルさんのちゅう』 だった。

「うわ・・・。すごいかも・・」

これは、『ちゅう』をしなきゃダメかも・・・。

「おい!カイル!」

「・・・シーナなんでそんな所に?」

料理台の下に、シーナが潜んでいた。

「困ってるみたいだな、」

「え?・・・うん」

本当はそんなに困っていなかったが、一応「YES」とこたえる。

「まあ、お前の事だから困っちゃいないだろうが、あんまりうちのリーダ甘やかすなよ。」

しっかりシーナにはばれていた。

「とゆーわけで、コレを着てカナタを倒せよ、」

「何コレ?」

「いーから着ろって」

カイルは料理台の下へ引きずり込まれる。

「わっシーナ!?はなせっ!」

「おとなしくしてろって!」

ドタバタと料理台の下で争う

「おお〜〜〜っと、カイルさんの姿がありません!どうした事でしょうか!?」

「えっ!?カイルさ〜ん!カイルさ〜ん!!」

「おっと、料理台の下でした、なぜかシーナさんが一緒です」

「・・・・・(怒)」

「どうだ?オレの見立て、バッチリだろ?」

シーナに引っ張られ、グッタリしたカイルが出てくる。

「こっこれは!?ピンクのフリフリエプロンです!いわゆる新婚さんエプロンだっ!!これは、かなりの高得点ですッ!!」

・・・何の得点だと、つっこむ気力もない。

「さあっ、どうだ!リーダー!!」

「くっ・・・かわいすぎますっ!でも!カイルさんの『ちゅう』っ!」

「後もう一歩、ってとこか・・」

「・・・・・」

もう勝手にしてといったかんじだ。

「これならどうだっ!!」

ポフッ

カイルの頭に、柔らかい物がのせられる。

「ねっ猫耳です!!こっこれはっっ・・・」

「もうだめです〜〜〜〜っっっ」

鼻血を吹いて倒れるカナタ

「この勝負カイルの勝ちだな!」

「料理勝負じゃなかったっけ・・・」

呆然と呟くカイル。

 

この日、場内は血みどろになったそうだ。

                       おわる