料理特訓!!

 

厨房

料理

ナナミ

 

この三つが揃ってしまった、ハイ・ヨーのレストランからは、ものすごい異臭&オーラが漂っていた………。

 

「もッもうダメヨ〜っ…………」

あまりのダメージに、レベルの高くないハイ・ヨーは床にばったりと倒れ込んだ。

「あれえ?ハイ・ヨーさん〜???」

ムササビ柄の可愛いエプロンをつけたナナミはきょとんとハイ・ヨーを見る。

その姿は年頃の娘らしくかわいらしいのだが、その手にはなぜか粘ついた物体がついたお玉 が握られていた。

粘ついた物体はナナミが製作した『料理』という名の『生物兵器』である………………………。

すでに匂いすら人並みの料理でなくなってしまったのは彼女の料理特訓の結果なのだろう。

ナナミは料理の特訓の途中で倒れてしまったコーチ(ハイ・ヨー)にぷりぷりと文句を言う、

「もーーー!!!!!途中で寝ちゃうなんてハイ・ヨーさんてばずる〜いっっっ!!!!!」

倒れたハイ・ヨーをずるずると引き摺り外へと放り出す。

そして、その現場に通りかかった哀れな人物が………。

 

「ナナミちゃん………?」

「あっカイルさん!!!!!あれ???カナタは???」

「シュウさんに連れていかれちゃって…………それより…」

救助というより死体遺棄の現場に出くわした感じだ。

カイルが『なにしてるの…?』と尋ねるよりも早く 、ナナミは口を開きカイルに話しかける。

「カイルさんってお料理上手ですかっ???」

「え?……………(どうだろ…?)」

「あのねあのねっ!お料理教えてほしいのっ!!!だから手伝って下さいっ!!」

 

ずるずるずる…

ナナミは返事を聞く前に、カイルをレストランの厨房に引き摺って行った…………。

 

 

「わ〜い♪何習っちゃおうかなーーーーーっっ!!!」

「あのね………」

厨房内に満ちた刺激臭に眉を潜めつつ、カイルは控えめに声をかける。

「え?なんですかぁ???」

「先にここ片付けてからの方がいいと思うんだけど…」

カイルは厨房で蠢く料理(?)を指差す。

片付ける片づけないの問題ではないのだが、こんなものが発生してしまった厨房で料理をする事は不可能だろう。

「あっ!そうよねっ!!じゃあすぐに片付けるねっ!!!!!」

言うが早いか、ナナミは台所中に繁殖した緑色の生物をカーンからもらった聖水をかけてどんどん片付けてゆく…。

途中、ギャーッやら、グオ〜ッやら断末魔の悲鳴が上がっていたが、カイルは取り敢えずそれらを無視し装備の中に『おくすり』があるかどうかを慌てて確認した。

「カイルさ〜んっ終わったわよ〜〜っっ!!!!!」

ナナミは途中で聖水がなくなったのか、蠢く緑色の物体をポリバケツにグイグイと詰め込みながらカイルに向かって微笑む。女の子らしい仕草?………のような、そうでないような?

「………………うん。」

カイルは複雑な心境だったが、『おくすり』を握りしめながら、意を決した。

 

 

「えーっと!『にくじゃが』作りたいんですっ!!!!!今日の夕飯用なのっ♪」

夕飯用………。

それではどうにかして人並みの料理を作成しなければならない。

「じゃあ…とりあえずじゃがいもの皮を………」

「まかせてっっ!!」

みなまで言わせず、包丁を取り出しナナミはじゃがいもをわっしと掴む。

――――――が、まず。その包丁自体が問題だった…。

おどろおどろと黒い妖気を発しギラギラと光っている…………………。どう見ても『のろいにんぎょう』と同列の物だろう………。

じゃがいもまで妖気に包まれ始めている

「…………(汗)」

「次お肉とタマネギ〜〜〜っっっ!!!!!」

「その包丁やめた方が………」

 

どがしゃんどがんどごんがしゃがしゃしゃんっっっ!!!!!

 

およそ食材を切っているとは思えないような音にカイルの声は掻き消された…。

「よーしっナナミちゃん愛用のお鍋の出番よーーー!!!!!!」

これまた呪われている。

「隠し味のお塩〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!!!」

ナナミはものすごい量の塩を注ぎ込む。

「そんなにいれちゃっっ……(汗)しかもお清め用ッ!?」

ギャオォォォオォォォォォォォオォォォオオオオオッッッッッッッ!!!!!!!

断末魔の悲鳴がなぜか鍋の中から上がる。

「あとは☆美味しくなるように、呪文を言ってv―――エロイムエッサイムエロイム…」

「……………(呪文だけど、呪文じゃない………?)」

カイルが呆然と見守る中、ナナミは呪文の詠唱を終える。

―――とたん、鍋の中の『にくじゃが』が生命を持ち、膨れ上がって床へとボトボトと零れ落ちる………。

「っ!」

さすがに危険物と判断したカイルだが、行動は『にくじゃが』の方が早く、カイルの脚を捉えると床へと引き倒した。

カイルは急いで棍を手に取ろうとしたが、後少しの所で『にくじゃが』に引っ張られ空を切る。

「あれ?あれ?あれあれ????もしかして失敗しちゃったのっっ!?」

ナナミは料理の方だけを見て、カイルがどうなっているのかと言う事には全く気付いていない。

「あっ!そっかーにんじん入れ忘れちゃったんだー。トニーさんにもらいに行かなきゃーーーーーー!!!」

「!!!!!(汗)」

そう言い残すと、ナナミはパタパタと厨房から出てゆく。

後に残されたカイルはと言うと。

 

――――ずるっずるずる……

抵抗すらできずに、『にくじゃが』に鍋の方に引き摺られていた…。

「―――――っっ!!――〜〜〜〜〜っっっ」

じたばたともがくが、『にくじゃが』の方が力は強い。

『にくじゃが』に喰われるっ!?というイヤな予感は、厨房に乱入してきた者によって打ち消された。

 

「カイルさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっっvvvvvここですかーーーーーーーー♪♪♪――――って。」

 

勢いよく駆け込んできたカナタだが、あまりの状況に硬直してしまう。

「カナタ………」

「なっっ!!!!!」

プツンときたカナタは血管が切れそうな勢いで叫んだ。

「ナマモノの分際で僕のカイルさんに何してるんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」

カイルに当たらないように気をつけながらも、カナタは『にくじゃが』に宿る全ての攻撃紋章を発動させる。

ゴオーーーーッッッッッとものすごい熱風が上がりながら『にくじゃが』は燃え上がる、

紋章の力を使い果たしたカナタはさすがに倒しただろうと思いじっと『にくじゃが』を見るが…………。

 

ぴくっ

ぴくり……

 

「なっなんでまだ倒せないんですかーーーーッッッッッ!!!!!?」

「取れない………(泣)」

カナタの攻撃中も力を振り絞り、足に絡み付いたナマモノを引き剥がそうとしていたカイルだが、その努力は全て無駄 だったようだ。

「こうなったら肉弾戦あるのみですっっ!!」

ちゃきっとトンファーを構えるとカナタは跳躍し『にくじゃが』に殴り掛かる。

カナタの攻撃は全て当たり、決して弱くはない攻撃力なのだったが………………全く効いていなかった……。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(怒)」

「カナタ、………。」

倒す事は諦め、カナタはカイルを『にくじゃが』から解放するために『にくじゃが』と綱引きをするが、『にくじゃが』は根が生えたように、カイルから離れようとしない。

「なんでナナミの料理パワーアップしてるんですかっ!!!!!」

「………もう、紋章(ソウルイーター)で吸うしかないかな……………」

「中で繁殖しますよっっ!?」

ぎゃあッと叫ぶとカナタはその意見に反対する。

「くうっ!こうなったら、最後の手段です!!!!!」

 

 

 

 

「うえ〜〜〜〜〜っぷ………(青)」

「カナタ………………大丈夫?」

顔色を真っ青にしてお腹を押さえるカナタを、カイルは心配げに背を撫でる。

まわりには、鍋が転がっていた。

「ぜっ全然大丈夫ですっっっ!!!!!うっ……なんかお腹で繁殖する感じが……………っっ」

「……………………(汗)」

カイルは取り敢えず、医務室まで運ぼうと判断した………。

 

 

そして………暫くこの少年は恐怖の腹痛で悩まされたらしい………。

腹痛程度ですんだのは、カナタ曰く『愛の力です〜vvvvv』だそうだが、単なる後天性の特異体質だろう…………。

 

 

今後もナナミの料理はパワーアップする事は間違いない事だ………。

 

                     終