今、同盟軍本拠地、ぼっちゃんラブ城は静まり返っていた…。

いつもならば、人や動物らがにぎやかに動き回り、心地良い喧騒が満ちているはずのそこは、現在人一人いないかのような雰囲気になっていた。

しかし、誰もいないのではなく、人や動物達の気配はいつもと同じようにあった。

…ただ、人も動物も何故か息を殺し、ひっそりと隠れているのである…。

 

 

ここに、2人の兵士がいた。

城内、及び室内に逃げ込み遅れた不幸な2人だと思って欲しい。

何かに怯えた様子を見せる2人は、息を殺して茂みの中に潜んでいた。

『きっ来たぞっ…』

『動くなっ…動くんじゃないぞっ;』

唇だけを動かし、この城内で唯一動きを見せているモノに対し恐怖を宿した会話を交わす。

その中だ。

 

パキッ。

 

『!』

兵士…Aとしよう、兵士Aはうっかりと、ホラー漫画お約束の、物音を立ててしまうという痛恨のミスをやらかしてしまった。

『『!!!!!;』』

途端、グバアッ!と近付いてきていたモノが、兵士Aに襲い掛かり、兵士Bの目の前から引きずり出された。

「うわあああああああああああああああああ!!!!!!」

「兵士A−−−−!!兵士A〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

城内に悲痛な悲鳴が響き渡った…。

 

 

 

 

 

「や〜…見事なまでの生物災害<バイオハザード>ですね〜。まさしく天災!」

「人災だ!(怒)」

もう幾度目になるのかわからない同盟軍の危機(しかもトップの犯行)に、シュウは卒倒しそうな声で怒鳴った。

「……………(汗)」

当然、カイルもその場にはおり、疲れた表情でイスに座っていたりする。

「だって〜しょーがないじゃないですか〜?逃げちゃったもんは逃げちゃったんですしー。自然災害なら諦めもつくってもんじゃないですか〜?」

とても腹の立つ口調で言っているが、当然自然災害などではない。人災だ。

カナタ作の謎の生命体が逃げ出し、城内をさ迷い歩いている…というのが、現在起こっている事件の概要だ。

幸い(?)相手は大きく、密室内には(無理矢理突破して来ない限り)入り込んでこないのだが、その大きさ(人一人は楽に飲み込める)の為に、中々処理が難しい。

…ちなみに、非戦闘員や女性陣はビッキーのテレポートで、近くの町へと束の間の休暇を楽しみに行っている。

「カナタ…アレは一体何なの?;」

ナナミ料理よりは被害が少ないが、物体Xは見るも無残な被害者を続出させているのだ。

「よくぞ聞いてくれました〜♪――――廃棄食物を再利用しようとする乱れた昨今…!残り物が出るのが少ないハイ・ヨーさんのレストランでも!悪くなった食べ物はそのまま破棄されているというんです!」

「カナタ!!;時事ネタは危険だからやめて!!;」

「そこで僕は考えました!!悪くなった部分!古くなった部分を取り除き!廃棄物は飼料や肥料に早変わり!環境に優しい生物を作ろうと!そう!産廃から生き物を…!」

「それもギリギリだからダメ!!;」

色々問題発言が飛び出した。

「まあ、ゴミ●(BYパン頭ヒーロー)みたいなものを作ろうかなーと。…思ったりしたんですけど、失敗しちゃいました♪…やっぱり産廃処理の一環としてナナミ料理をべ^素に使ったのが問題だったでしょうか?」

「何から何まで全てが問題―――――う”ッ!」

てへvではすまないような事を言うカナタに、シュウはその場で卒倒した。

他のマジメな人間は、自分の人生というものについて、今一度自室で考え直している真っ最中だ。

「あ。でも、基本的には成功ですよ?制御できてないだけですし、後なんでか生き物に対してまで、家族には見せられないような方法でキレイにしてくれますし。美白効果や老廃物までスッキリです!」

「…失敗だから;」

制御できないという時点でアウトだ。むしろ、生き物を作ろうとする時点でアウトだ。

 

同時刻、辱めを受けた兵士Aはつるつるピカピカの体で男泣きに泣いていた。

 

 

 

 

 

 

「…OKです!」

「うん、」

ひょいっと壁越しに曲がり角から顔を出したカナタは、カイルに安全を示して見せた。

満場一致で「カナタを犠牲に何とかする」となったところ、「あっ!;すみません!何とかしますからくらいでカンベンしてください!;」というカナタの懇願により、2人で何とかする事になっていた。

「最後に目撃されたのは城外です!その後の痕跡を見てみると、ホールを突破してうろうろした後、畑の方へ向かったみたいですね! 好都合です!」

「? 好都合?」

「アレは水に弱いんです!こんな事もあろうかと思って弱点を作っておきました!水に入った後は、環境に優しくお魚のエサになります!!」

「………(汗)」

そこまでするなら、何で逃がすんだろう…とカイルは思った。

「じゃあ、また確認しますねー」

と、(沈黙をスルーした)カナタが畑への通路を覗き込んだとき…

 

「―――!?」

 

その覗き込んだ頭上を跳び越すように、物体Xが姿を現した。

とっさにカイルは後ろに跳んで難を逃れたものの、物体Xにカナタと分散させられた形になった。

「カナタ!;」

無防備に背中を晒してしまっているカナタに声をかけるが、その声で物体Xを呼び寄せる事になってしまう。

「っ…!!;」

ナナミゼリーと酷似した姿に、本能的に逃げ出したくなってしまうカイルだったが、何とか踏みとどまった。

カイルは棍を構えるが―――――――――…カナタは何故か傍観していた。

「…カナタ?;」

「―――正直!カイルさんのあられもない姿が見たいんで攻撃出来ません!!」

「……………(怒)」

正直すぎる少年に向け、カイルは怒りを籠めて物体Xを弾き飛ばした。

当然、カナタは「ぎゃーーー!;カイルさんの前で醜態を晒す訳には行きませーん!!;」と叫んだ。

 

 

 

 

 

 

大きな音を立て、崖の上から湖の中へと物体Xが沈んでいく…。

「コレで終わったとは思えません…!リサイクル問題が終わらない限り!やがて第二第三の怪しい物体が…」

「カナタ!;それも危ないからやめて!!;」

 

本当の平和を願うなら、この少年も湖に突き落とした方が良いのだろうとカイルは考えたが………やめた。

 

 

END

 

(何となく考えたもの…
最近話がマリネラ…もとい。
マンネリ化してきたです>笑 )