Round About〜孤独の肖像〜
「クルガン様!!」
クルガンの補佐官、アスティアがいつもの冷静さを欠いた様子で執務室へ飛び込んでくる。
「騒々しいぞ、何事だ?」
いたって冷静なクルガンだが、アスティアの表情からただならぬも事態を読み取っていた。しかし、アスティアの言葉を聞いた瞬間、いつものポーカーフェイスはもろくも崩れ去った。
「シード様が、重傷を負い、意識不明の予断ならない状態に………」
「な…んだと……」
クルガンは蒼白な顔をしたまま徐に立ち上がると執務室を飛び出した。
(シード………)
シードの無事だけをただ願い、医務室へと続く廊下をいつもよりも長く感じながら走った。
「あ、クルガン様………」
医務室の前にはシードの補佐官のジェイドと数人の部下が立っていた。
「シードの容態は?」
弾む息を整えながら尋ねる。
「はい、なんとか…ただ……」
クルガンの問いに顔を曇らせるジェイド。その様子にクルガンも眉を潜める。
「ただ?」
「朝までに意識が戻らなければ最悪の事態も、と………」
「………そうか、お前達はもう戻れ」
「しかし……」
「私がいる」
「わかりました、クルガン様お願い致します」
まだ何か言いたそうにしている部下達はジェイドに任せ、クルガンは医務室の中へと入って行った。
薬品の臭いがする白い部屋の一番奥にシードは静かに横たえられていた。多量の出血の所為か、顔に血の気がなく青白かった。
『何故このような事に……』
『シード様は人質に取られた子供を助けようとして………』
ジェイドが言葉をつまらせる。
『そうか、奴らしい………』
『すみません、我等がついていながら………』
『………大丈夫だ、あいつは。きっと………』
「お前らしくないぞ…こんな所にいるのは……」
そっと頬に触れてみる。
しかし、いつもは自分よりも高いはずの彼の熱が感じられず、クルガンは堪らない喪失感に襲われた。
(失うのか?この赤毛を………)
自問とともに目尻が熱くなるのを感じた。
『あ〜あ、暇だな………相手しろよ!!』
暇を持て余しては私の邪魔をしに来るシード
『ちぇっ、ただの山賊討伐だってよ』
不満そうにぼやくシード。
『冷てー奴だなぁ』
あきれ顔で私に文句を言うシード。
『クルガン!!』
私の名を満面の笑みで呼ぶシード。
「許さんぞ、私を置いて行くなど………」
そう呟くとクルガンはシードの唇に己のそれを重ねた。
(シード……………)
こんな事になるならば自分が代わりに討伐へ行けばよかったのだとクルガンは激しく自身を攻め立てもした。
しかし、現実にそのような事ができるわけがなく、悔やんだとて時間が戻るわけでもなく、クルガンにできるのは、この状況を受け止める事とシードの看病だけであった。
「戻ってこい、私の元へ………」
「んっ……………くるがん?」
シードの声に弾かれたようにクルガンは顔をあげた。
「シード………」
「へへ……、無事に…とは言いがてーけど……ただいま……」
青白い顔のまま、にっこり笑ってシードが言う。
(どうやら私はシードを失わずに済んだらしいな……)
クルガンはそう思い、極上の笑みを浮かべて言った。
「おかえり」
end
あとがき
キリリク『取り乱すクルガン氏』という事だったんですが………ギャグにしようとして失敗。見事にシリアスになってしまいました。(汗)すみません。もしかしてギャグが良かったのでしょうか?だとしたらほんっとーーーにすみません!!せっかくキリリクいただいたのに。(泣)
海月:あはははは、とめれなかった〜。(シリアスになるのを〜)
そうだね〜〜。(かなり諦めモード)
海月:まあいいじゃないかv(他人事)
………(他人事だと思って!!)らおう様、許してやって下さいねv
深海紺碧