クルガン氏の憂鬱

ハイランドが誇る知将クルガン。彼は今、とてつもなく忙しかった。

普段の激務に加え、兵士の起こしたくだらない騒動の後始末、本来ソロンがするはず だった会議の進行(ソロンは入院中。何があったのやら…)、そして兵士の訓練。

しかし、彼は忙しい中でも文句ひとつ言わず、黙々と激務をこなしていた。

「よっ、クルガン!!なんか忙しそうだな?」

昼休みも惜しんで執務室で仕事をしていたクルガンの元に、いつものようにシードが やってきた。

(だったら、お前も働け・・・)

そう思いつつも口に出さず、眉を顰め、一度だけ顔を上げてシードを見る。

以前、シードにそう言って、自分の仕事が増えた。

それから二月も経っておらず、再 び自分の仕事を増やすようなことをクルガンはしたくなかった。

「そう、迷惑そうな顔すんなよ、すぐ帰るからさ」

シードは普段自分がしてきたことを思い返し、クルガンが嫌がる理由もわかっていた。

「せっかく人が、ちょ〜多忙なお前の代わりに訓練を見てやろうと思ってきたのに」

拗ねたような口調でシードが言う。

「・・・・・・シード・・・」

クルガンは突然立ち上がると、シードの額に自分の額を当てた。

「うわあぁっ!!何すんだよっ!?」

真っ赤になって退くシードにクルガンは真顔で言う。

「ふむ熱は無いようだな・・・」

「・・・それってどう言う意味だよ・・・」

あからさまに不機嫌なそうな顔をして、シードが言う。

「いや、猫の手でも借りたかったところだ、頼んだぞ」

「・・・・・・お前ってやな奴・・・・・」

聞こえるか聞こえないかというくらいの声でそう言い残すとシードは早々と部屋を出 ていった。

シードが去っていった後も黙々と執務をこなしていたクルガンだったが、

(少しからかいすぎたな・・・)

悲しそうな顔をして部屋を出ていったシードを思い出し、仕事を早めに切り上げ、訓 練場へと足を急がせた。

「すっげ〜〜!!」

訓練場の前まできた時、シードが感嘆の声を上げるのをクルガンは聞いた。

(何だ・・・?)

いぶかしげに首をひねったクルガンだったが…

「何でルカ様はそんなことができるんですか?」

尊敬します、とでも言いかねないような口調でシードが言う。

「ふん、こんなもの」

口調は冷たいながらもルカの声音には優しさが含まれているような気がした。

(・・・・・・何を気にする必要がある)

クルガンは自問していた。いや、自分に言い聞かせるように問う。

(シードはただルカ様と話をしているだけだ…)

クルガンは訓練場の扉の取っ手に手をかけたが、ある考え…思いがクルガンの中に浮かんだ。

(シードは・・・・・)

―――――ルカ様にも私と同じように笑顔を見せているのだろうか?

バンッ 思いのほか大きな音を立てて開いた扉を気にすることも無く、クルガンは訓練場の真 中で目を丸くしているシードの手をとった。

「お、おい、クルガン?」

シードは全くわけがわからないといった表情だ。

自分でも何をしたいのかわかっていたわけではない。

ただもう理屈ではなかったのだ。

「ルカ様、シードはまだせねばならぬことがありますゆえ、失礼いたします」

そう言ってルカの返事もまたず、講義の声を上げるシードの腕を引き、半ば強引に自 室へと連れていった。

 

「おい、なんなんだよっ!!??」

怒り半分呆れ半分といった表情でシードが問う。

クルガンはシードの問いには答えず、その柔らかな唇を塞いだ。

「んんっ!!??」

シードの口腔を散々味わってから、クルガンは唇を離した。

「えっ、ちょっ・・・おい!!」

有無を言わさない愛撫でシードを黙らせ、その日クルガンはシードが気を失うまでその肢体をかき抱いた。

 

(私は何をした・・・)

シードの寝顔を見ながら後悔の念に襲われた。

しかし、ある考えに到達した瞬間、自嘲気味に笑った。

(私はシードの笑顔を・・・、シードの全てを独占したいのか・・・)

くっくっと咽喉を鳴らし笑う。

(何時の間にか、冷静な部分までもが持っていかれるらしいな・・・)

隣で無邪気な顔をして眠るシードの髪を愛しそうに梳きながら、明日に後回しされた仕事に頭痛を覚えた。                                                                                         END

あとがき

222番キリリク・・・。

甘い〜〜〜!!砂吐くっ!!「やきもちクルガン氏」と言う ことだったのですが、これでよろしかったのでしょうか!!??すみません、琉紺様 !! しかし、題にそぐわないものを書くよなぁ〜、私って…。(遠い目)何処が「クルガン氏の憂鬱」何だか・・・。誰か代わりに答えてくれぇ〜〜〜!!って、言いたくな りますよね・・・。                                                                         深海紺碧

海月:あははv『クルガン氏の憂鬱』じゃなくて、『クルガン氏の暴走』だ〜v