Arabesque―衝動(裏)―
小刻みに震える手。
シードは上着を自らの手で脱ぐとぱさりと床に落した。
暗闇の中でシードの上半身が露になる。
しかし、まだ恥かしいのか、硬く目を閉じたまま俯き、形の良い小ぶりの乳房を両手で隠している。
そんなシードの様子にクルガンは苦笑を漏らした。
一歩、近づく。
シードの両肩が震えていた。
そっとその肩に手を置くとびくり、と大きく震えた。
そして顔を上げ、不安そうな瞳をクルガンに向けてくる。
肩から手を滑らし、胸を隠しているシードの手に己の手を重ねた。
クルガンはシードの手を取ると両の胸を覆う手を剥がした。
両方の胸を隠すものが無くなり、シードは頬を朱に染め、再び顔を俯けた。
シードの裸体を舐めるように見ていたクルガンが問う。
「…傷はどうした。」
見る限りシードの上半身には傷痕が見られない。
「…水の紋章…。」
ぽつり、と呟く様にシードが答える。
その答えに、なるほど、とクルガンは納得した。
青い顔をしていたのは失血のためだったのか、と…。
さらり、とシードの横髪を後ろに流すように梳く。
そのまま、クルガンはシードの肩を引き寄せるようにして唇を重ねた。
一瞬、大きく瞳を見開いた後、シードは硬く目を閉じた。
眉根を寄せ、歯を食いしばって口付けを受けるシードを見て、クルガンは微苦笑した。
今度は唇を覆うようにして緩く吸う。
歯茎を舌先で突つき、緩んだ歯列を割って舌を滑り込ませ、奥で縮こまるシードのそれに巧みに絡める。
シードの口内を我が物顔で自身の舌を徘徊させる。
上顎を擽る様に蠢かしたり、歯列に沿って動かしてみたり…。
執拗なまでに口付けを交わす。
長い接吻の間に交換された唾液が含み切れなくなり、シードの顎を伝って落ちた。
唇を離す頃にはシードの息は上がってり、潤んだ瞳が色めかしく思えた。
クルガンはシードの手を引き、ベットに座らせると首筋に顔を埋めた。
「……っ…。」
押し殺した声がクルガンの耳元でする。
その様子にクルガンは口元に笑みを浮かべた。
鎖骨を緩く噛み、痕を残す。
シードの肩を掴み、徐々に唇を下げて行く。
痕を残すようにその白い肌を吸う度にシードの身体が小さく反応する。
そのシードの反応を見ながら。
同時にベットへシードを横たわらせた。
シードの身体に愛撫しながら、ズボンを引き下ろす。
しなやかな脚がとても悩ましく見えた。
撫で上げるとそれを堪えるようにシードがきつくシーツを握った。
その反応を面白がるように、クルガンの冷たい手がシードのしなやかな肢体をなぞる。
乳房を揉みしだくと大袈裟なほどに身体が刎ねた。
シーツを握る手が一段と強くなる。
与えられる愛撫に何とか声を噛み殺し、シードは自分の痴態から顔を背けた。
それを知ってかしらずかクルガンが殊更ゆっくりに、しかし徐々に強く、シードの身体に愛撫を加えて行く。
その何ともいえない感覚シードは小さく身を捩った。
弄られる小高い丘の突起は固くなり、鮮やかに色づいている。
それをクルガンが口に含んで転がしてやるとシードは堪え切れず、切ない声を洩らした。
その声に煽られるようにしてクルガンは執拗なまでに舌と指を絡ませた。
やがてその手が下肢へと向けられた時、シードはクルガンの手を払い、シーツを引き寄せると裸体を隠した。
「や、やっぱ…」
クルガンがシードの唇を塞ぎ、それ以上の言葉を紡がせない。
同時にシーツを引き剥がし、再びベットに組み敷いた。
シードの眼が大きく見開かれる。
クルガンの手が痛いくらいにシードの手首を掴む。
苦しいまでの口付けにシードが翻弄される間に、クルガンは手近に合ったベルトでシードの手首とべットの柱とを繋いだ。
最早引き返せない所に来ていた…。
「クル…ガ……」
恐怖の滲んだ紅い瞳がクルガンを見上げる。
「今更、だ。」
冷たく言い放ち、先ほど拒まれた下肢へと手を伸ばす。
「やっ!!い、嫌だぁっ!!!」
全身を強張らせ、拒絶するシード。
だが、クルガンの手が脹脛を撫で、太腿へと伸びる。
内股へ指し入れられた手が否応無しにシードを感じさせた。
「っあ、…はぁ……アッ!!!」
布越しとはいえ、今まで触れたことの無い部分を刺激され、シードは激しく頭を振った。
じわり、と目尻に涙が込み上げてくる。
恐怖がシードを支配する。
繋がれた手に痛いくらいベルトが食い込んだ。
「や、やめ…っ!!!くるが……」
シードの叫びを無視し、容赦無くクルガンはシードを追い立てた。
水気を含み、濡れぼそった下着を剥ぎ取り、奥まった場所へと指を侵入させる。
「っつぅ……!!!」
涙がシードの頬を伝う。
それをクルガンは唇で拭ってやり、更に奥へと指を押し進める。
シードは異物感に顔を顰め、拒絶するようにクルガンの指を食い絞めた。
だが、クルガンの指は入り口から順にその部分を掻き乱し、徐々に慣らして行く。
クリトリスも直に刺激され、空ろな瞳になったシードが抗えなくなったのを見て、クルガンは猛々しくそそり立つ自身をシードの秘部へと押し当てた。
初めて見る男のモノにシードは一瞬硬直した後、恐怖に顔を歪めて泣き叫んだ。
「…くるが…ぁ………っやだあああぁぁ………っ!!!!!」
貫かれたショックと痛みでシードは声も出せず、喘ぐように呼吸をした。
しかし、クルガンはお構い無しに深く交わろうと腰を進めてくる。
シードの繋がれた手が、ベルトによって圧迫され、血の気が失せて白くなる。
左右に大きく開かされた脚が感電したように痙攣していた。
白いシーツはシードの秘部から流れ出た血によって汚された。
中ほどで突き破った粘膜がクルガンに纏わり付く。
しかし、それを煩わしいと感じず、逆に悦ぶ自分がいることにクルガンは驚いた。
それは、女を抱く時の男としての悦びとは違ったものだった。
きつく絞め付けてくるシードの内壁に、僅かに顔を顰めながらも、クルガンは動き出した…。
「……っはぁ…ぁんんっ!!!」
ぎしぎしとベットのスプリングが悲鳴を上げる。
その激しさが増すと共にシードの咽喉から熱っぽい声が漏れた。
「随分と感じているな…。」
冷淡な口調でクルガンがシードに辛辣な言葉を吐く。
だが、シードにはその言葉の意味を理解する余地、ましてや言い返す余裕など無かった。
「淫乱な奴だ…。」
冷めた表情で、だが、熱の篭った瞳でシードを見下ろし、独り言のように言いながら、クルガンはシードの身体に快楽を与える…。
言葉とは裏腹に、優しくシードの髪を梳く。
涙を零すその瞼に慈しむように口付ける。
「…アッ…っはぁ、ん……あああっ!!!」
一際甲高い声をシードが上げ、その内壁が激しく波打つ。
クルガンはシードの胎内にその熱い精を注ぎ込んだ…。