Intervention

 


 「なあ、クルガン…まだ終わんねーのかよ〜。」

 一人で待つのはもう厭きたぞ、という目をクルガンに向けてシードが言う。

 「そうは言うが、この書類の半分はお前の分だ…。」

 大人気無いとは思いつつも冷ややかな視線をシードに向けていった。
 シードの分まで仕事をするのはいつもの事で、これまで別段嫌だと思ったことは無かった。(シードに任せているといつまでたっても仕事が終わらないから)
 だが、ここの所、人手不足により文官がするはずの仕事までクルガンに回ってきていたのだ。
 行き場の無い怒りを感じながらも、黙々と仕事をこなすしかなく、こうして書類の山を片付けている所へ、間の悪い事にシードが暇だ、と言って上物の酒を持って尋ねてきたのであった。
 しかも、真昼間から…。

 「………」

 先ほどのクルガンの言葉はシードを黙らせるのに十分な効力を発揮したようだ。
 飼い主に怒られた子犬宛ら、しゅんと俯き、反省心を露にしている。
 その様子にクルガンは思わず苦笑した。

 「まあ、その分だけお前には夜頑張ってもらうとするか。」

 にやりと笑ってクルガンが言ってやると、シードは耳まで真っ赤に染め、金魚のように口を開閉させた。
 そんなシードを安心させるようにクルガンは冗談だ、と付け加えたが…。

 目がマジだったぞ…

 今夜は自室に引き篭もろうか、と本気で思ったシードでだった。

 しかし、再び書類に向き合い、紙面に流麗な字を滑らせるクルガンにシードは申し訳無い気持ちでいっぱいだった。
 常日頃から文句の一つも言わず、自分の仕事まで引き受けてくれるクルガンにシードは感謝していた。
 自分がもっとしっかりしていればクルガンの負担が減る、と思うことは多々あり、実行した事もあった。
 だが、しっかりしようすればするほど、実行すればするほど、クルガンにしわ寄せがいったのであった…。

 ふと、何気なく座っていたソファーから離れ、クルガンの背後に回った。

 「シード…?」

 触れた肩口からクルガンの驚きが少し伝わったような気がした。
 シードは自分でも驚くくらい自然にクルガンの首に手を回していた。

 「いつもいつも…ごめん…。」

 素直な言葉。

 いつも思っていても言えない言葉だった。
 それは、ここ最近クルガンが全く言って良いほど寝ていないのをシードが知っていたからであろう。
 武官の仕事、文官の仕事、本来しなくても良い自分の仕事…。
 時間が惜しいと言いながらも、暇だと言う自分の話し相手になってくれる事…。

 「…そう思うなら少しくらい仕事を覚えてもらいたいものだな…」

 苦笑しながらシードの髪を優しい手付きで梳いた。

 互いの視線が間近でぶつかる。

 その唇が触れようとした…その矢先―――――

 ばんっ!!

 ぴぴぴ〜〜〜〜〜!!!!!

 ルカ皇子が警告の笛を吹きながら荒々しく扉を蹴り開けて2人を引き剥がした。

 「オフィスラブの鉄則其の一!!!社内でいちゃつくべから…ず…」

 そこまで言ったところでルカ皇子は前のめりに倒れた。
 その後ろには…。

 「おほほ、お兄様ったら無粋ですわヨv」

 巨大なハンマー(ルカを殴ったと思われる)を握ったジルが立っていた。

 「おほほほ、お邪魔致しましたわv」

 そう言ってルカをずるずると引きずっていってしまった。

 あまりにあまりの事にシードは只々呆然とするしかなかった。
 クルガンは既に気を取りなおし、シードを引き寄せるとその上着に手を滑り込ませた。

 「…オイ…」

 「何だ?」

 「この手はなんだよ…」

 「さあ、な…」

 シードの首筋に顔を埋めながらしらっと言う。
 そして、シードの肌の上にその冷たい手を滑らせ、胸の契りに指を絡めた。

 「ちょッ……!!!」

 「誘ったのはお前だ…。」

 項を吸い上げ、耳朶を甘噛みしながらさらりと言ってのける。

 「なっ!!!いつ!?俺が…っく…。」

 「ルカ様が入ってくる前、私の首に手を回したのはお前だ。」

 「ばっ!!そんなの…誘ってねーよっ!!!///」

 先ほどの事を思い返し恥ずかしいのか、ばたばたと手足をばたつかせて抵抗するシード。
 クルガンはそんなシードの抵抗をものともせず、軽々と抱き上げるとソファーに移動した。

 「おいっ!!何、やる気になってんだよ!!!」

 「無理を言うな、寸前食わぬは男の恥と言うであろう。」

 そう言って、シードを組み敷き、脱がしかけの上着でシードの腕の自由を奪った。

 「や、やめ・・・っ!!!」

 クルガンはシードの制止する言葉を無視し、その下肢を露にした。
 膝まで下げた服をそれ以上下ろさずにそれを持ってシードの足を拘束した。

 「おまっ、仕事は!!!」

 「何、お前の心配する事ではない。」

 そう言うとシードの中心に手を伸ばした。
 指を絡め、軽く扱いてやると、それはすぐ欲望のまま立ち上がった。

 「っく!!…ぅん……」

 甘い痺れが背筋を這い上がってくる。
 シードはクルガンがわざとゆっくりその手を動かしている事にジレンマを感じた。
 だが、それを強請るのはあまりに恥ずかしくて…自分が淫らだと思えて…。
 シードはそのもどかしさに只身を捩るばかりであった。

 そんなシードの様子にクルガンは意地の悪い笑みを浮かべ、数本の指をシードの口腔に差し入れた。

 「よく濡らせ…」

 「……ぅぐ…んんっ」

 突然咽喉元まで入れられた指に困惑しながらもシードはクルガンにいう通り、舌を絡ませ、その長い指に唾液を乗せた。

 「もう良い…」

 クルガンはシードの口内から指を引き抜くとそれを今度はシードの秘部に差し入れた。
 ひくん、とシードの身体が強張る。
 その反応に含み笑いさえし、クルガンは丁重に指の数を増やしながらその部分を掻き回した。

 シードの秘部が十分に解れた頃、クルガンは唐突にシードの後ろを犯していた指を引き抜くと熱く猛った自身を押し当て、一息に突いた。

 「っあああ…!!!」

 苦しいまでの快感がシードを支配する。
 クルガンが腰を打ち付ける度に、シードの脳髄に甘い痺れにも似た快感が駆け上がって来た。
 クルガンの軍服をきつく握り、必死に快感を堪えるシードに最早自分の痴態を顧みる余裕は無かった。
 獣のように求め合う2人…。

 「ぁあああああ…!!!」

 「失礼、忘れ物を…あらまあ、またお邪魔してしまいましたわvvv」

 絶頂の瞬間、シードの耳に場違いな、そこにいるはずの無い人間の声を聞いた。

 忘れ…物…?

 ジルは入り口付近に落ちていたハンマーを拾うと、「ごゆっくり」という言葉だけ残して去った。

 ショックのあまり凍りつき、クルガンに貫かれたまま動かなくなったシード。
 恐らく頭の中は先程の事でいっぱいであろう。

 後で機嫌を取らねば、な…

 クルガンは情事の手を休めぬまま、小さく溜息を吐いた…。


THE END

 

暫く修行の旅に出ます…。
どうか探さないでやって下さい…。(殴)
リクエスト内容に添ってませんね…。
すみません!!!やなせまい様!!!!!(涙)
どうやら私のへタレ根性は筋金入りのようです☆(死)

紺野碧