狂気
「…ガン、クルガン!!」
「…何だ?」
どうやら気付かぬ合間に考えに没頭してしまっていたようだ。
私はシードに呼ばれ、ようやく自分の思考から抜け出した。「何だじゃねーよ!!聞こえてんなら返事くらいしろよな。」
「…考え事をしていたものでな…。」
「考え事?」
怪訝そうな顔してシードが繰り返す。
そして、人の話を聞かずにか?と、不機嫌を顕にし、私を睨む。
それは、只単に話を聞かない私に憤りを感じているのか…。
それとも、彼の話を聞かずに考えているものについて『嫉妬』してくれているのか…。
自分の思うとおりに解釈をし、私は口の端を歪めた。「…お前の事を考えていた…」
真顔でそう言ってのける。
次に返ってくる反応は予想が付いていた。
投げられたクッションを片手で止め、投げた張本人の方を見て意地悪く笑ってやる。
頬を赤く染め、口を開閉している。
どうやら続く言葉が出ないらしい。
シードは何度か大きく息を吸い込んだ後、大声で悪態を吐いた。「ば、ばか言ってんじゃねーよ!!!」
私の一言に翻弄されるシード。
そんな彼を思わず愛しい思ってしまう…。
私はシードに狂わされている…
そう思わずにいられない…
私はいつだって彼を欲している
その肢体を貪りたくて仕方ないのだ
その白い咽喉元に食らい付き、艶やかな嬌声を上げさせ、快楽の虜にしたくて仕方が無い
乾いた咽喉を潤す水を欲しがるが如く…
彼が、欲しい…
「折角お前ん家の別荘に来たってのに…。」
唇を尖らせ、不平を言う彼に私は、ああ、とだけ返した。
そんな私の反応に不服そうにシードはソファーに寝転んだ。「つまらんか?」
ちらりと本から顔を上げ、彼に問うた。
「お前、本読んでるだけじゃねーか。」
少しは俺の相手もしろよ とそっぽを向いて答えるシードに私は目を細めた。
読んでいた本を置き、自然な動作で彼に近づく。
私を寝転んだソファーからきょとんとした顔でシードが見上げる。
私の意図が掴めず訝しげな顔をして体を起こした。「お、何? やっと俺の相手してくれんのか?」
嬉しそうに目を細めたシードだったが、首筋に痕を付けられ、私流の相手の仕方に明らかに動揺する。
「ちょっと…待てよ…おいっ!!!」
そんな私に焦りの声を上げ、私から何とかして逃れようとするシードを無理矢理引き寄せた。
「相手をして欲しかったのだろう?」
「俺がして欲しい相手はこの相手じゃねぇ!!」
私を引き剥がそうと必死に抵抗をするシードの耳朶をやんわりと噛む。
「そうか? 本当はして欲しいのではないか?」
「言って…ない!!」
甘く耳元に囁きかけると、私の胸を突っぱねるシードの力が弱まる。
口では拒絶の意を表してはいるが、その頬は赤く、さ迷う視線は肯定しているように見えた。
私は彼の顎に手を掛け、怜悧な笑みを浮かべた。「素直でないのは、この口か?」
「んっ!!!」
腰に腕を回し、しっかり固定するとシードに噛みつくような口付けを送った。
唇が離れる時の吐息が熱く、互いの唇を銀糸が繋ぐ。
口の端から流れ落ちる唾液が彼の色気をより一層引き立てていた。「続きは奥へ行ってからにしようか…。」
今だ諦めずに抵抗する彼を横抱きに抱え、私は置くの寝室の扉を開いた…。
「あっ……」
羞恥に頬を赤く染め、私の軍服をきつく掴むシードが押さえ切れない嬌ぎを上げ始める。
快楽の波に耐えようとする潤んだ瞳が、仰け反る咽喉元が悩ましい。
ファスナーを下ろし、直に与える愛撫に、熱を持った吐息でシードが答える。
それが私を煽ると彼は知っているのだろうか?
それが私の理性を崩壊させると知っているのだろうか?いや、気付いていまい。
気付かぬまま、無意識のままに私を煽り、欲情させ、理性を奪う…。
私は更にその愛撫を強めて行く…。
上半身を完全に剥き、そのしなやかな身体に殊更ゆっくりと手を這わせる。「…ぅ…っん…」
唇を塞ぎ、舌をさし入れる。
舌を絡ませ、唾液を交換し執拗に口付けを交わす。「…ん、ふっ……」
含み切れなくなった唾液が彼の口端から零れ、顎を伝い落ちた。
そのまま、唇を下へと移動させる。
咽喉へ、鎖骨へ、胸板へ…赤い花を散らしてゆく。
所有物の証し。衝動を抑えきれず、シードの臀部を割り、狭い秘部に猛った自身を捻じ込む。
「ア、あああああぁぁぁ……!!!」
悲鳴に近い声を上げ、シードがぼろぼろと涙を零す。
裂けた秘部から血を流し、私を受け入れる。身体に施す戒め…。
こうした肉体の繋がりによって手に入れた気になれる。
愚かな事だとは思いながらもその行為に溺れる…。
全てを感じたい
全てをこの手に入れたい
触れたい
独占したい
縛り付けたい
私のものだと思いたい…
より深く彼を感じたい…
より深く彼を愛したい…
狂った獣が、顔を出す…
THE END
謎のSSデス。(滝汗)
これは…没った原稿から引っ張って来ました☆
オフ本を出すに当たって書き殴ったものです。
削ったりして幾分編集しました。
原稿は…もっと凄い事になってます…。(遠い目)
あらら?紺野さんどこ行くの〜?…みたいな。
それで済めば良いのですが…。
一番嫌なのは帰って来ない時…。(爆死)紺野碧