ふ、と目を覚ました瞬間、そこは闇の中だった。

 

 

(―――!?)

 

慌てて身を起こそうとしても手は何かで繋がれているようで、身を起こす事も出来ずに、身じろぐだけに留まった。

チャラチャラと手首から響く鉄の擦れる音が、鎖に繋がれているだろう事が分かる。

そこから、聴覚までは奪われていないとそう考えられた。

「……………、」

何度か呼吸を繰り返し、落ち着きを取り戻す。

開いたはずの瞼を一旦閉じてまた開き、その差異から眼が何かで覆い隠されている事も分かる。

 

 

誰が、

何故?

 

 

その疑問の答を出すよりも早く、自身にかけられた声が、犯人が誰かを伝えて来た―――

 

「目、覚めましたか?」

カイルさん――…と、耳に届いた声に、反射的に掌を握る。

「カナタ…」

どうして…そう問い掛ける事は、出来なかった。

―――声を聞いただけで、悟ってしまった。

…そこに宿る暗い愉悦が、その答えを示していた。

…それでも、無意識の内に何故と問い掛けてしまう。

「どう、して…?」

「ずっと一緒にいる為にはこうした方がいいって思ったからですよ。」

 

―――意思も何もかもを無視して、鎖に繋ぎ閉じ込める。

そんな意思が見えた。

 

「だってこの戦いが終わったら、カイルさんどこかに行っちゃうかもしれませんし、僕が見てない所で事故にあって死んじゃうかもしれませんし、僕以外の誰かを好きになるかもしれません。―――だから、こうやって僕以外の人がいない場所に居てもらうのが1番でしょう?」

「っ…!」

意識がふいにクラリと揺らいだ。

それが薬でも使って眠らされていたからなのか、…それ以外の理由からなのかはカイルにはわからなかった。

抵抗をしようにも、鎖で繋がれていてはどうすることも出来ない…。

それに、今のカナタには抵抗をすればするだけ悪い方へ進むような雰囲気があった。

「僕、ずーっとずーっと不安だったんですよ。カイルさんが僕をほんとに好きなのか、カイルさんが僕をずっと好きでいてくれるのか、ずーっとずーっと僕と一緒にいてくれるのか…ずーっと考えてみたんです。」

「……………」

息も出来ずに、カイルは少年の愉悦混じりの平淡な声を聞いていた。じっとりと背筋に冷たい汗が流れる。

「ねぇカイルさん…陳腐ですけど、僕なしじゃいられない身体にしてあげます。ってことでどうですか?」

「っゃ…!」

本能的な恐怖に、逃れようと身じろぐと、膝に固い感触が当たった。

「――――っ」

…それが、今から自分の身を苛む品だろうと、何故かカイルには判った…。

「…カ、ナタ……」

「大丈夫ですよ、」

 

――――すぐに何もわからなくなりますから、

 

そう言ったカナタに、悲鳴さえ上げられず脚を掴み上げられた…。

 

 

 

 

 

「っ、う、うぅ……」

 

噛ませを付けられ、自分の舌を噛み切る事も、抵抗の声を上げる事も出来ない状態の中、ただ口の端から呑み下せないままの唾液がシーツの上を冷たく濡らしているのが判る…。

下腹部は既に、身体の内側を蝕む振動で感覚がおかしくなっていた。

シーツも腹部も自分が放った白液に塗れ、目も当てられない状態だろう。

ただ、それでも下腹部に埋め込まれた妙な道具は取り出される事はなかった。

ひたすら前立腺を刺激するそれは、快感を与える物ではなく拷問の道具だ。

「……ふ、ふぅう…!」

グイッと、不意に角度を変えて押し込まれ、カイルは弱々しいながら喘ぎ、また下腹から白液を放った。

「やっぱ僕のじゃなくてもイケるんですね」

「ふぅ、んんん…っ」

「え?何ですか?」

顔を覗き込まれるような気配がして、カイルの口を塞いでいた拘束具がズルリと口腔から出ていく。

「も、う…やめて…っ」

「…そうですね、じゃあカイルさんがコレでイカないようになったら止めますね。あ、さっきまでと同じじゃ意味ないんでもう一本くらい増やしますけど。」

「――――!」

そう言ってまた拘束具が口の中に捩込まれ、そしてすぐに下腹にもカイルを嬲る為の器具も無理矢理に増やされた……。

 

 

 

 

「もう脚とかも要らないですよね〜?綺麗ですから勿体ないですけど、膝から下くらいなら…どこにも行けなくなるって事の方が大事ですよね。」

「…ぅ……ふ……」

自分の下で弱々しく喘ぐカイルを見て、

少年は嬉しそうに微笑んだ。