自白剤

 

「カイルさ〜んv」

に〜っこり

「…なに?」

カナタがこの手の笑いかたをする時は、ろくな事がないと身を持って知っていた。

「手、だして下さい♪」

なぜやら、右手を後ろに隠している。

その手を素早く掴み、前に持ってくる。

手には注射器が握られていた。

「…これなに?」

「自白剤ですvこれで、カイルさんの心の内を聞かせてもらおうと思ってvvv」

「ぜ、ぜったいヤダっ!!」

そう言って、カイルはあてもなく逃げ出す、そしてカナタはそれを追いかけて行った。

 

 

 

「一一一で、ここは…」

ハイランドでは、今会議が開かれていた。

会議と言っても、大きなものでなくクルガンとシード、そして数人の補佐官とだけである。

どどどどどどどっ

と、どこからともなく走ってくる音がする。

「?何の騒ぎだ、騒がしい…」

ゴスゥッッッ!!

振り向いたジョウイの頭に、深々と足がめり込んでいた。

ちなみに扉は、しまっている。天井裏から振ってきたのだ。

「「カイル、殿」」

赤い胴着にバンダナ、この少年独特の衣装でその存在に気づく。それだけではなく、この少年が持つ何かが、この少年だと告げていた。

「うわっ!?ジョ、ジョウイくんっ!!ごめんっ、すぐ退くね?」

「いえっ…、あなたに潰されるのなら本望ですっっ……」

机に突っ伏したままでジョウイはそう言った。

「おおっ、さすがジョウイ様だぜ!まだ余裕があるぜっ!!」

シードはただ単純に尊敬していた。(なぜ?)

「……………」

どごおッッッ

さっきよりも物凄い音を立てて、今度はカナタが落下してくる。

「ジョウイ、それなら僕に潰されても本望だよね?」

とどめとばかりに、ぐりぐりと踵を押し付ける。

さすがにこれにはジョウイも渾沌した。

「さあ、カイルさんv諦めて手出して下さい!」

「やだってばっっ!!」

カイルはとりあえず、シードの背後に隠れる。

それまで口を挟まなかったクルガンが、ようやく口を開く

「カナタ殿、何用でここへ?」

「実はカイルさんに自白剤を打とうとして走ってたら、いつの間にかここにいたんです!!」

非常に分かりやすい説明である。

「どうやって、この城に入れたんだ?」

今度はただ興味本位でシードが尋ねる

「いえ、その…屋敷に入りこむの慣れてるので……(///)」

「僕はただ、カイルさんの後追っただけで〜す♪---で、覚悟vv」

口調とは裏腹な素早さで、カナタはカイルの懐に入り込む

「ちょっと、やめろって!!」

それをシードが庇う

「あっ」

プスッ

誰もが、シードが刺さったと思ったが

「ク、クルガンッ!!なんでッッ…」

「クルガンさんッ」

「クルガン様ッ」

みな異口同音に叫ぶ、………が

「あ、すいませんクルガンさん、間違って打っちゃいましたv」

カナタだけはいつもと変わっていなかった。この図太さがなければ城主なんて勤まらないのかも知れない。

「カナタッ!!」

「大丈夫ですよ、副作用ないですし。」

「そういう問題じゃなくてッ…」

「クルガンッしっかりしろっっ!クルガっ…」

シードは屈みこんだクルガンをゆさゆさと揺さぶる、

数秒後、クルガンは軽く頭を振るとシードの腕をグッと掴んだ。そして----------。

「愛している、シード」

「はっ、はあっ!?(///)」

何言ってやがると叫ぶ割には、シードの顔はまっかだ。

「いいから、この手一…っ」

シードの声は空しく、クルガンの唇の中に消え失せた

「んーーーーーー!!んんーーーーー!!(てめーーーっ!なにしやがるーーー!!)」

あっという間に、シードの服は半分以上脱がされ、机の上に仰向けに転がされる。

「カナタ…なんかすごい事になってるんだけど(///)」

「おっかしいですね〜?今回は催淫剤じゃないのに…」

「「「今回は?」」」

カイルの声と、避難してきた補佐官の声がはもる。

「え〜と、多分クルガンさん、シードさんに愛を囁きながら抱きたいと思ってたんじゃないでしょうか?それが薬の所為であんな感じになったとか、」

「なるほど、…でそれはいいとして、薬の使用は却下!」

「ええーーーーー!?」

「それと、早く帰ろう!ここにこれ以上いたら…」

耳まで真っ赤にして、カイルが呟く

「あっやん、クルガッ……んっ」

後ろで、艶やかな嬌声が上がり始める。

「そうですね〜。あ、ジョウイは回収しといた方がいいですよ?じゃ、帰りましょ〜v」

補佐官の一人にそう告げると、カイルと腕を組んで今度は堂々と出口から帰って行った。

 

 

 

 

 

after

「一一一で、本当になんにも覚えてねえんだなっ!?」

「そうだが、…何をそんなに怒る?」

「テメエの胸にきけッ!!」

シードは少なからずショックをうけていた。

自分を抱く時に愛を囁かれるのは(意識がない時に思いっきり言われているらしい。)、本当に珍しい事なのにそれを覚えていないなんて、

 

『クルガッッ…もうっ……』

『シード…』

 

シードはさっきまでの情景を思い出して真っ赤になると同時に、

だんだん腹が立ってきていた。

「どうせお前は!そういうヤツだーーーーーー!!」

シードの怒声は、城内中に響いたと言う。

 

シードが、庇ってもらった礼を言い忘れているのに気づくのは、また別の話である。

 

                                   終わる

 

 

 

あれ?なんかリクと違うような?

…まあ、書いてて楽しかったので許して!!

クルシーじゃなくて、主坊のが多いよね?(笑)