初め物語
「頼みがあるんです!!」
ここはハイランドの一角にある、将軍クルガンの部屋であった。
「あなたは確か、オレンジドラゴン軍リーダーの…」
それでも動揺をあらわにしないのがこの男の凄い所であろう
「はいカナタです!!」
「それほどの人物が一体何用ですかな、」
さすがに警戒をしつつ、クルガンは問いかける。
「好きな人の落とし方を教えて下さいっ!!」
「…は?なんとおっしゃったか、」
思わず自分の聞き間違いかと思い聞き返す。
「カイルさんがどうしても僕に振り向いてくれないんです〜!!」
「そのような事はご自分の軍のメンバーにお聞きになればよいでしょう、」
『カイル』というのは、たしかトランの英雄だったと考えながら答える。
「他の人に聞いたやり方をやって嫌われたんです〜」
わっとカナタは泣き出す。
(こんな事を言ってはいるが、事実はその手の事に初なカイルが照れただけなのだった。)
特に断る理由がなかったクルガンは、
「では、私でよければ協力いたしましょう、」
と、答えた。
「ほんとうですか〜?ありがとうございます〜vvv」
「結局カナタ殿は、カイル殿をどうしたい訳ですかな?」
まず最初の目標を定めなければいけない
「最終的には、入籍なんですけど〜v本気で『好き』って言ってもらいたいです」
「そうですか、ではまず…」
「え?カナタどこか行ってるの?」
カイルはこの城の主を探していた。
昨日はあまりの出来事に、ついやりすぎたため(『裁き』をくらわせた後、紋章『ソウルイーター、火、風』を全て使い切るまで攻撃し続けた)謝ろうと探しているのだ。
「ああルックが居ないからな、…お前がいるのにいなくなるなんてな」
カイルとフリックが話していると、シーナがこっちに向かい走ってきた。
「なあカイル、フリック、昨日リーダーが口説き方教えてくれとか言ってたからさ、押 し倒せって言ってやったんだけど本気でやったと思うか?」
「おまえかぁっっ」
昨日自分が押し倒された、原因が現われたためぷちっとカイルはキレ、紋章の力を使う…
ゴーーーーーーッと『最後の炎』が発動した。
「クールーガーンーー!!いるかーー!?暇なら、酒場に…」
「今日は仕事が残っていて忙しい、明日でいいか、」
返事を聞く事もせずに、顔が見える程度に開けられただけの扉が閉まる。
「いったいなんだってンだよ!!クルガンのやろう…」
シードがクルガンの部屋に遊びに行ったのに、クルガンは珍しく用があると言ってシードが部屋に入る事を断ったのだ。 それも、中に知らない者の気配がしていた。
「くっそ〜なんだかよくわかんねえけど腹立つ!!俺も遠乗りに行ってやる!」
そう言って、補佐官がとめるのも聞かずに馬を出してゆく。
「はーはー」
カイルは肩で息をつきつつ、息を整える
「で、何があったか知らんがどうするんだ?」
「………とりあえず、家に帰る。」
「そうか、じゃあビッキーに頼むか?」
ルックが居ない今、手っ取り早く帰る方法はそれしかない。
「うーん……そうする」
「じゃ、いっくよ〜?-------あっ!」
とてつもなく嫌な予感がして、カイルは『風の洞窟』でない事を祈った。
「そういえば、さっきの人シードさんだったと思うんですけどいいんですか?」
得に申し訳なさそうな素振りを見せていないが、カナタはそう尋ねる。
「しかたありません、あいつは敵方のあなたを見れば突然切り掛かりそうですから、 」
クルガンの言い様も、アレだ。
「ともかく、早く問題を解決させてあいつを構ってやりませんとな、」
「アツアツですね〜v」
あははははとカナタ。
「カイル殿がどこにいるのかわかっておられるのですか?」
「はい!!僕には『カイルさん探知レーダー』がついてるんですvv」
「だ〜っもうなんだって俺が、こんなイライラすんだよ!!」
叫びながらシードは全速で馬を走らせてゆく。
「クルガンのバッキャローーーー!!!」
そう叫んだ瞬間、シードの真上に影ができた。
当然のごとくそれはシードに向かって落下する。
「な、なんだあ!?」
ドサッと落ちてきた少年をシードはキャッチする。見事である。
「あ、ありがとうございますっ…」
その落下してきた物はカイルだった。
さすがに落ちたときの衝撃がきつかったのか、苦しそうな表情であった。
「ト、トランの英雄!!」
シードの仰天した声は平野中に聞こえたと言う。
かっぽかっぽかっぽ
呑気な音を立てつつ、馬は歩いてゆく 呑気な2人をのせて。
「でなー、クルガンのヤローが…」
「なんかそれ、カナタっぽいですね…」
シードはとりあえず、野原の真ん中で話すのもなんなので近くの村まで行く事に決めたのだった。
シードとその前にちょこんと座っているカイル。
はっきりいって、かなり目立つ!!
黙っていればかなりの美青年のシードと、どこか儚気な表情の少年(実際は何も考えていないだけであるが)。
浮気(?)の現場としてスクープされても不思議ではない。
しかし、本人達には自覚が(全く)ないのだが、
「いー天気だなー」
「そ〜ですね〜」
のほほ〜んとした空気が流れる。
「なっっなっなんで!?シードさんとカイルさんが一緒にイチャイチャしてるんですかっ!?」
カナタの目には2人が楽し気に語り合っているように映っているらしい。
「ぎゃーーーー!!!こんな事なら、とっとと(むりやり)押し倒して僕のものにしとけばよかったです〜〜〜〜!!」
「カナタ殿落ち着いてください、」
ごすっ
クルガンの攻撃がカナタの頭上に決まる。
「い、痛いですよ!?」
「それは申し訳ない、」
しらッと嘯くクルガン
「で、どうされる?」
「決まってます!!もうこのさいカイルさんの気持ちなんて後でいいです!!ムリヤ リでも何でもいいからカイルさんを手に入れます!!」
もはや頭に血が昇り切っているらしい。
「そうですな、それもいいでしょう。私はシードを何とかしましょう」
「任せます」
この時から2人は妙に気があうようになったらしい。
「カイルさん!!!!」
唐突に飛び出すカナタだった。
「あ、カナタ」
昨日の事を思い出し、少し頬を染める。
それをどうとったのかカナタは泣く(ふり。)
「ひどいです〜〜〜」
「な、何が???」
「シードさんと楽しくデートしてるなんて〜〜〜!!!」
「???」
カイルにしては『?』と言った感じだ。
シードにいたってはとても展開について行けていない。
「カイル殿、」
「わ、」
背後から現われたクルガンに抱きおろされる、そしてそれをカナタが受け取る。
「カイルさんもう放しませんッ!!」
ぎゅぎゅぎゅう
「っっっっっっ」
声もなく窒息してゆくカイル。
見兼ねてシードが声をかけようとすると、それをクルガンに止められる。
「なんだよ?」
「お前には私が用がある、」
「ぎゃーーーーーーーどこにつれてく気だーーー!!!」
同じく馬から引きずりおろされ、茂みへと引っぱり込まれてゆくシード。
合唱。
「じゃ、僕らもどこかに行きましょうか?邪魔してもアレですし」
そう言ったカナタの目はいつもの、子供のような瞳ではなかった。
「…?カナタなに?」
じぃ〜っと見つめ続けるカナタにカイルは怪訝そうな顔をする。
「カイルさんっ僕の事どう思ってるんですか!?」
「?どうって…」
「好きですか?嫌いですか!?」
カナタの問いにカイルはハッキリ答える。
「好きだけど…?」
心臓はバクバク言っているのだが、それを顔には出さないようにしているカイルだっ た。
「そうじゃないんですっ!!」
そう言うとカナタは噛み付くようなキスをしかけてくる。
「んぅーーっんんぁ」
そのまま宿屋のベットに押し倒そうとする。
「やっだ!」
抵抗した手がカナタの頬に当たる、それにカナタは呆然とする。
「ご、ごめん…」
「…やっぱり嫌いなんですね」
うりゅうりゅと瞳に涙を浮かべる。
「うわ〜んもういいんです〜どうせ嫌われてるのわかってるんですからムリヤリにでもやりますーー!!」
「キライじゃない…」
さっきとは違ったニュアンスが浮かんだ言葉を聞き、カナタは動きをとめる。
「キライじゃないんだ、本当に…」
そういって素早く口付ける。
「カ、カイルさんっ!?///////」
「す、すき…///」
かぁぁぁと初めて表情を崩したカイルにカナタは小躍りしたい気分になった。
「カイルさんvvv」
ぎゅっと抱き締めやはりそのまま事を進めようとしたのだが…
「わっ、〜〜〜///さ、」
「さ?」
「『裁き』!!!!!!」
結局は出来なかったのだが、幸せいっぱいなカナタだった。
エンド。