愛の激闘バトル!!
コツコツコツコツ………と薄暗い廊下に足音が響く、
「はあ…今日も疲れたよ………」
その声の持ち主は遠い目をして寝室のドアを開いた。
かなり顔色こそは悪いが、ハイランドの王、ジョウイだ。
――――ハイランドの王。然してその実体は、部下の痴話喧嘩&ラブラブさ、そして妻の奇行僻についでに国の命運(ついでかい!)について悩む胃痛持ちだ!!
「カナタ……は全然大丈夫そうだし…ナナミ………も無事でやってるか……………」
親友達の名前を呟いてみても、相変わらず呑気に何かしらやらかしているだろう事が思い浮かんで空しくなるだけだった………
「そう言えば………」
そこでジョウイは親友の思い人(恋人?)を思い出す事にする。
綺麗に整った顔にスラリとした細身の身体、それに艶やかな黒髪にそれと同色の瞳。『きれい』ととれるのだが、なぜか『かわいい』と思えてしまうトランの英雄カイル。
「今頃どうしてるのかな…」
カナタの言だから、一時たりとも側から離してないんだろうなあ、と以外によくわかった事を呟く。―――――不意にジョウイは寝台の上に誰かの気配がある事に気付いた。
「―――誰だ?」
こんな時間に自分の部屋の寝台にいるなんて………………
一瞬自分の妻の顔が脳裏によぎったが、まずそんな事はあり得ないと、0.0001秒の間に消え去った。
どうせ(クルガンと喧嘩した)シードか、ピリカ辺りが寝こけているのだろうと、ジョウイは気にせず寝台の方に歩んで行く。
―――ガ、しかしそこで眠っていたのは想像もしていなかった人物だった…………
「―――――――トランの英雄さん?」
寝台の上に横たわっていたのは、カイルその人だった。
あまりのことに一瞬固まってしまったジョウイだったが、意識を取り戻すとズザッと後ずさる
「なっ何でこんな所に!?」
罠のような気がして警戒するが、相手の様子は何やらおかしい
よく見てみると、呼吸はしているのだが、ぴくりとも動く様子がない…
「カイルさん?」
訝しく思い声をかけるが、それでも反応はかえってこない、真横に腰掛けじっと人形のようなカイルを見つめる、眠っているというよりは気を失っている感じだ………
意識のないカイル、誰もいない、そして来ない自室。
何やら計られているような設定にジョウイはごくりとのどを鳴らす。どうせ誰も来ないのならつまみ食いくらい………
そんな思いからカイルの頬にすっと手をのばした瞬間……………
「させるかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっ!!!!!!」
ベキイッと見事なとび蹴りがジョウイの顔にめり込んだ。
「ぐはっ!?」
「この僕の目が黒い内は!『ギリギリセーフ!!最後まではいってないけどかなり際どいヤバゲ状態で乱入!』なんてことはやらせません!!」
ビシイッとあらぬ方向に向かって言い放つ、同盟軍リーダーカナタだった。
「カイルさん大丈夫ですかッッッ!!!」
カイルの状態を起こし、気付け薬のようなものを嗅がすと、カイルは短く呻き意識を取り戻す
「カナ、タ……?」
「はうーーーv無事でよかったですーーーvvvビッキーのテレポート(ミス)で辿り着くのに時間がかかりましたーーーーーーーvvvvv」
「ちょっとまていっっ!!」
スリスリとカイルに擦りつき、2人の世界を繕うとしているカナタにジョウイは声をかける。
そしてカナタは喧嘩腰にそれに答えた。
「何ッ!?今忙しいんだけど!!?」
「カナタ!君は喧嘩うりにきたのか!?出合い頭に人にとび蹴りを喰らわせて…っっ!!!!!」
「カイルさんの危機を救いにきたんだ!!丁度危なかったみたいだしね!!」
「なッ何を根拠にそんな事……」
「勘だーーー!!」
ぎゃーすぎゃーすと言い争う2人をカイルは『親友同志っていいな〜』と少々ずれた事を考えていた……。
「っ―――!とにかく指1本触れてもいないのにそれは納得…っ」
『ええ!納得いきませんわ!!』
どこからともなくある女性の声が部屋中に響き渡った。
その正体とは……
「「ジル(さん)!!」」
ジョウイの妻であり、カナタの覗き仲間のジル様だった…………
「やっぱりカイルさんを誘拐したのは貴女の仕業だったんですね!!」
『その通りですわv私は別室からこの部屋のどこかに仕掛けられているカメラから色々拝見する予定でしたのvvv』
ほほほほほほほvと楽し気な笑い声が少しの間続いたが、コホンと咳払いをすると口調をかえる
『せっかくわたくしが秘蔵ビデオ「三角関係の行方!愛は何処へ戸惑う英雄!!」を作成しようと思いましたのに、こんなに早く邪魔をされるなんて!!』
思いっきり哀しそうにジルは叫んだ……
「ジル……そんな事を考えていたのかい………」
「そうですよ!それにタイトルは『三角関係の行方!愛は何処へ戸惑う英雄!!』よりも!『不倫劇の末に真実の愛を知った…』とかのほうがいいですよ!!」
『まあv』
「そういう問題でもないっっ!!」
「カイルさんには指1本触らせませんけど!!」
3人がコントをくり広げている中、カイルは自分の身体に起こった変化を感じ取っていた
「っ…」
身体の奥から熱くなってゆく感覚が全身に染み渡っていく………
「―――――ぁっ…(///)」
「「!!」」
突然のカイルの甘い声に、カナタは反射的にジョウイをトンファーで殴り倒し、気を失わさせる。
「カッカイルさんっっ!!どうしたんですかっっ!?(僕以外の人にそんな声聞かせるなんて!!)」
「んっ……」
トンファーを投げ捨て、鼻を押さえつつ駆け寄ってみると、カイルは寝台の上で顔を真っ赤にして身体を震わせていた。
『ほほほほほvそう言えば言い忘れてましたわv家の主人でもできるように(何を!?)ちょっとした薬を仕込ませてもらいましたのvvv』
「ぎゃーーーっっカイルさんになんてことするんですかーーーーーーッッッッッ!!!!!(そんな美味しいシュチェーしョン!!)」
『では健闘を祈りますわね』
叫ぶカナタを無視して通信は一方的に打ち切られる。が、どこからか見られているのは明白だろう。
「ん、ぅ………っ」
「くう!!!」
悔し気にカナタは声を漏らすと、転がっているジョウイを窓から外へ放り出す(犯罪)………。
「カッナタ……」
涙で瞳を潤ませたカイルに見上げられて、このまま何もしないというのは出来ない相談だろう……。
「――――いただきます。」
カナタは手の平の上で踊ることを選んだ
「っぅ………あっっ」
一糸纏わぬ姿にされたカイルだったが、カメラに取られないためにシーツの中で2人は蠢いていた。
かなり息苦しいのだろうが、カナタ曰く『カイルさんのかわいい姿は意地でも誰にも見せません!!』ということだった………。
「もっ、や……」
「欲しいですかv」
何をとは問わなくとも、相手には伝わる、
カナタはニコ〜vと笑いながら『欲しいっていって下さいv』とわざわざ耳元で呟く。
「ふっく……っ…」
何度か吐精させられたが、それでも熱が下がらない身体は貪欲に快感を求め続けた。脇腹を撫でられ、首元に口付けられるだけで理性などは焼き切れていた…………
「ほしっ……いっ――――」
ぼろぼろと涙を零す表情が見れないのが、残念だとカナタは思ったが、それでもかなり幸せな気分に浸っている。
「カイルさん好きです…v」
うちゅっと口付けると、とっくに我慢しきれなくなっている熱くなった自身をカイルの中に潜り込ませた、ほぐれたそこは簡単に受け入れた……
「―――――――っっっ」
嬌声はカナタの口腔に吸い込まれていった
『さーーー!!カイルさん帰りましょうかーーー!!』
『うん………』
画面の中では(スッキリした表情の)カナタと(抱きかかえられ、複雑な表情をした)カイル釜たたきの手鏡で消えてゆく姿があった………。
そしてその前では、ジルが優雅に微笑んでいる……
「今回は生声テープで我慢いたしますけど、次こそは生本番ビデオを取らせていただきますわ!!」
――――と、余計に熱を燃え上がらせて………
「ギャーーーーーーーーー!!ジョウイ様の頭が割れてるぞーーーーッッッッッ!!クルガーーン!!なんとかしろーーーーーーーっっっっ!!!!」
「落ち着け、シード(お前が水の紋章を装備しているのだろう?)」
翌朝発見されたジョウイこそが、かなりの被害者だと言えるだろう……………………………。
終死