秋の味覚ご賞味あれ

 

「お〜い、クルガン。なんかでかい鳥が手紙持ってきたぞ〜?」

午後の執務をこなしていたクルガンの元へシードが手紙を持ってきた。

でかいおまけつきで…。

「シード…それは『でかい鳥』ではなく『グリフォン』だ…」

「ヘ〜……って、えっ?!」

グリフォンの頭を撫でていたシードの笑顔が凍る。

そんなシードの変調に気付く様子もなく、グリフォンはシードの手に頬擦りする。

「まあいっか、懐てくれてるみてーだし♪」

楽観的と言うか、大らかと言うか、何も考えていないと言うか…

すぐまた気を良くしてグリフォンの頭を撫でるシード。

そんなシードを見ていて、クルガンは思わず苦笑を漏らした。

「あはは、くすぐってぇって…」

シードの頬をグリフォンが舐める。

そしてグリフォンはこともあろうかクルガン一瞥し、勝ち誇ったように笑った。

「…………………」

クルガンが殺気の篭った眼でグリフォンを睨むと、グリフォンは甘えた声を出し、シードの影に隠れるようにして身を縮めた。

「ん?どうした?クルガンが怖いのか?」

シードが心配気にグリフォンを覗き込むと、グリフォンはシードの顔全体を舐めた。

「どわぁっ!!??」

「……………………………………」

クルガンの額に青筋が浮かぶ。

今、ここでグリフォンから離れろとシードに言ったところで離れまい。

第一にグリフォンごときに怒るのも馬鹿馬鹿しい…。

そう判断したクルガンはにやりと笑うと、手早く手紙の返事を書き席を立つと、シードとグリフォンに近づいた。

グリフォンの首輪らしきものに手紙を括り付け、ごく自然にシードの隣に立つ。

「ふむ、なかなか立派なグリフォンだな…」

「立派なだけじゃなくて賢いよ、こいつ。おまけにかわいいし♪」

「…そうか…」

そう言うとクルガンは優雅とも言える仕草でシードの腰に手を廻し、顎を取り、顔中に口付けを降らせた。

「のわあぁっ!!いきなり何すんだよ、てめーはっ!!!」

クルガンの不意をついた行動に暫し呆然としかけたシードだったが、我に返ると、焦って顔を赤く染め、クルガンを引き剥がしにかかる。

「舐められる方が好きなのか?」

ずれた返答をするクルガン(確信犯)にシードは更に顔を赤らめる。

「どあほぅっ!!そういう…」

「しっ…」

尚も抗議の声を上げようとしたシードの唇に人差し指を立て、シードが怯んだ所を見越し、ゆっくりと口付ける。

「んん………」

最初、少しばかりの抵抗を見せていたが、クルガンの口付けに翻弄されグリフォンのことなど頭から抜け落ちると、シードのその手はしっかとクルガンの背に廻されていた。

そして、シードがクルガンの口付けから開放される頃にはグリフォンの姿は消えていた。

残念がるシードを腕の中にクルガンはにくつくつと笑った。

―――――要するに、相手に『負けた』と思わせれば良いわけだ…。

 

因みに手紙の内容はというと…。

 

クルガンさんへv

グリンヒルの森で、梨の木がたくさん植わっている場所を見つけましたvvv

シードさんと是非来てくださいvダブル梨狩りデートです〜♪

カナタよりv

 

そんなこんなで、クルガンはシードを連れて、グリンヒルの森へと向かった。

 

「カイルさんvあっちの方の梨もおいしそうですよ〜vvv」

子供らしい笑顔を顔中に広げながらも、悪魔の耳と尻尾を見え隠れさせているのは、同盟軍リーダーカナタである。

「わっv本当、美味しそうだねv」

カナタの本意になど全く気付いていない様子で梨を持ってにっこりと笑うのは、元解放軍リーダーで、トラン共和国の英雄カイルである。

カイルの笑顔に鼻血を吹きそうになるカナタ。

顔は天使、中身は子悪魔。

カイルに邪な思いを抱いており、スキあらば今にも襲いかろうとする末恐ろしい少年だ。

「カイルさん…口元についていますよ♪」

そう言ってカナタがカイルの口元から梨の欠片を取り除く。

もちろん、口で…。

「あ、ありがとう…」

カナタの行動に顔を赤らめながらも、お礼を言うカイル。

「いえっ!!礼には及びませんvvv」

幸せそうな顔をして元気良くカナタが答える。

そのとき…。

「おお〜い!!カイルぅ〜〜、カナタぁ〜〜!!」

大声を張り上げて、シードが叫びながら駆け寄ってくる。

剣でドレミの精をどつきながら…。

「カナタ、シードさんとクルガンさんが来たよ」

「意外に早かったですねvvv」

カイルの言葉に次の梨をするすると剥きながらカナタが言う。

「こんにちは、シードさん、クルガンさん」

「こんにちは〜♪」

木の上から挨拶をするカナタとカイル。

「よお、元気だったか?」

二人の姿を確認し、片手を軽く上げ、もう一方の手でドレミの精を殴り倒しながら木の下へとやってくる。

「お久しぶりです、カナタ殿、カイル殿…」

シードの倒したドレミの精、最後の一匹を踏みつけながらクルガンも軽く一礼する。

「梨、食べますか〜?」

呑気に梨を差し出すカナタ。

「いや、自分の分は自分で取るからいいぜ♪」

楽しそうにブーツを脱ぎ捨て、隣の木に登り始めるシード。

幾つかよく熟れた梨をもぎ取ると、下にいるクルガンへと投げた。

「これも熟れてそうだと思わねぇか?」

「いや、それはやめておいた方が良い」

シードが投げてよこした梨をナイフで剥きながら返答する。

「あはは〜♪相変わらず仲が良いですね〜vvv僕らも負けていられません!!」

「へっ?負け…」

カイルがそう言いかけた所、カナタがいきなり口付ける。

「んん〜〜!!??」

突然のことにカイルは混乱し、バタバタと暴れるが、カナタにあっさりと両腕を掴まれる。

その様子を見ていたシードはつい呆然とし、木からずり落ちた。

「どわあああぁぁぁぁ!!!!!」

きたる衝撃に目を閉じ覚悟したシードだったが、衝撃がシードを襲うことはなかった。

「世話のやける」

眼を開けると、クルガンの顔が間近にあった。

「わ、悪ぃ…」

クルガンに抱きとめられた気恥ずかしさに顔を背ける。

「あれしきの事で動揺してどうする」

シードを下ろしながら、一つ息を吐く。

「う、うるせー!!」

顔を赤らめ、拳を軽く繰り出すが、あっさりと止められる。

「羨ましいのか?」

「何がだよ…」

「いや、お前もして欲しいのかと思ったのだが」

「ばっ!!ま、真顔で何恥ずかしいこと言ってんだっ!!」

耳まで真っ赤にし、後退るシードに笑いを堪えきれなくなり、口元を押さえるクルガン。

「!!!な、何笑ってやがるっ!!」

今度は怒りによって、顔が真っ赤である。

「っくしょ〜、もう知るかっ!!」

シードは森の奥へと走って行ってしまった。

「大変ですね〜、クルガンさん♪」

どこか楽しそうに言うカナタ。

しかし、その額がかち割れていて、血をだらだらと流していた。

因みにその横でカイルがじと眼でカナタを見ている。

どうやら脱がされかかったようで、左手で襟元を、右手に血のついた棍をきつく握りしめている。

「…まあ、いつものことですから…」

木の上を見上げ、にやりと笑う。

その笑みに、わが身のことを差し引かずともシードを気の毒に思わずにいられないカイルであった。

 

「っくしょうっ!!クルガンの馬鹿やろぉ〜〜〜!!!」

何匹目かのヒイラギ小僧等を蹴散らしながら、悪態を吐く。

苛々とした様子が剣捌きからも容易に読み取れた。

「…で、ここはどこなんだ……」

はたと我に返ったシードの眼前に広がっているのは見たこともない森森森…。

後ろを振り返ってみるが、闇雲に走ってきたので、本当に後ろから来たのかも怪しい。

「俺って…馬鹿…?」

青ざめた顔でとりあえず突っ込んでみるが、いつもはここで呆れた顔を向ける相棒は遥か遠く。

「シード将軍グリンヒル付近の森にて行方不明…なんてシャレになんねぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!!!」

頭を抱え絶叫する。

「と、とりあえずこっちに行ってみっかなぁ〜」

額に冷や汗を浮かべつつ一歩踏み出したそのとき

―――――ズッ足元を払われるような錯覚。

シードがヤバイと感じたそのときには、すぐ目の前に青空と森が広がっていた。

(崖っ!!??)

下の森までの高さはかなりある。

(ヤベッ…こんなことになるなら喧嘩なんかするんじゃなかった…!!)

一瞬、ほんの一瞬の出来事だった。

『ナニ』かが、茂みを割って出てきたかと思うと、シードを抱き込んだ。

「!!!クルガン!!!!」

「目を閉じて衝撃に備えろっ!!!」

早口でそう言い終えるか終えないか、すぐに衝激が襲ってきた。

 

「あの二人大丈夫かな…」

心配気にカイルが呟く。

「大丈夫なんじゃないですか〜?」

無責任にカナタが言う。

何か言おうとカイルは口を開きかけたが、この少年に何を言っても無駄だと思い、口を紡ぐ。

「あの二人のことよりも、僕らの愛を育てましょうvvv」

そう言うと、カナタはカイルを押し倒しにかかった。

「カナタ〜〜〜!!!」

叫びも虚しく、カイルは木の上というとんでもない場所でカナタに押し倒されてしまった。

この後、怒ったカイルにカナタは一週間ほど口を聞いてもらえなかったということは、余談である。

 

「っつ…てぇ……」

クルガンに抱きしめられ、落ちたシードはかすり傷だけですんだ。

(そうだ、俺よりもクルガン!!)

そう思うとシードは自分を抱きしめたまま動こうとしないクルガンに声をかけた。

「おいっ!!クルガン、クルガン!!!」

いくら揺さぶってみてもクルガンからは眼を開く気配はなかった。

「クルガン…!!??」

今にも涙が溢れそうになるのを必死に堪え、何度も呼びかける。

(クルガンクルガンクルガンッ!!!!!!)

「…シード……」

シードの声が届いたらしく、うっすらと開かれたクルガンの淡青の瞳がシードを見る。

「よ、よかった…」

ほっとしたのか、シードの目尻から涙が零れ落ちた。

「……………………」

そんなシードの髪をクルガンが優しく梳く。

「あんたらしくねーな…」

涙にぬれた頬を拭いながらシードが言う。

「そうだな…」

苦笑しながらクルガンが答える。

シードが立ちあがり、手を差し伸べる。その手を掴もうとしたクルガンの顔が苦痛に歪む。

「クルガン!?」

「腕を一本もっていかれたか…」

利き腕を押さえ、ポツリと呟く。

「…折れたのか?」

「そのようだな…」

肩を竦めるクルガン。

シードは暫らく考えるとその横へ腰掛けた。

「シード?」

「…そばにいる…もうすぐ日が落ちちまうし…」

「…助けを呼んだ方が良いと思わんか?」

「思うけど、あんた一人にできねぇよ…」

クルガンの折れていない方の腕に頭を置く。

「そうか…」

どこか納得したようにクルガンが呟き、シードの肩に手を廻す。

「なんか、俺にできることねぇか?」

心配そうな瞳を向け、シードが尋ねる。その唇をクルガンが塞いだ。

 

「ん…ふ………」

次第に濃厚になってゆく口付けにシードは翻弄されそうになる。

角度を変え、幾度も幾度もクルガンが舌を絡ませる。

「はぁ……」

溜息ともつかぬ吐息がシードの口から漏れる。

クルガンは顎を伝う銀糸を拭ってやり、シードの服へと手を偲ばせた。

「ちょっ、お前、腕折れてんだろ!?」

「ああ…だからお前が動いてくれないか?」

シードの首筋に薄く痕をつけながらクルガンが冗談めかして言う。

「なっ…あ……」

怪我人相手にいつものように抗うこともできず、クルガンにどんどん事を運ばれてゆく。

「んん…やっ……クルガ…」

自身を握り込まれ、扱かれ、高められてゆく。

きつく緩く折れていない片腕でなされる愛撫。

シードはクルガンによって高められたどうしようもない熱に魘された様に焦点の定まらない瞳をクルガンに向けた。

クルガンはいつものように意地の悪い笑みを浮かべておらず、額に骨折の所為か汗をかいていた。

暫し躊躇した後、シードはクルガンの汗を唇で吸い取ると、自分から脚を広げた。

「シード…」

やや驚いた表情でクルガンがシードを見つめる。

「あんま…見んなよ…」

顔をこれ以上ないといった風に赤らめ、ふいっと背ける。

骨折させた責任からか、そう結論付けるとクルガンは猛った自身を外気に曝すとシードの蕾に宛がった。

「シード…」

「ん……くぅ…あああぁぁぁ……………」

慣らしていないままの挿入にシードは苦痛を感じながらもできる限り力を抜き、腰を下ろし、クルガンを咥え込んでゆく。

「あ…あ……」

引き裂かれるような感覚にシードは悲鳴とも嬌声ともつかぬ声を上げた。

幾筋もの赤い筋がシードの股を伝い、それは地面を赤く染めた。

「シード、お前が…」

クルガンがシードを急かす。

「んん…あっ…っつぅ…………」

動けないクルガンのため動こうとしたシードだったが、痛みに顔を顰め、腰を浮かした状態で止まってしまう。

クルガンはそのことを察し、手伝うように折れていない方の手でシードの腰を持ち、その身体を支えた。

「ああ……くっ…は、あ……」

シードの身体が上下するたびに艶やかな嬌声が上がった。

クルガンの腹部に手をつき、懸命にシードが動く。

汗とも涙ともつかない水滴がクルガンの服の上にパタパタと落ちた。

「…シード」

乱れて張りついたシードの頬まである深紅の髪を梳き上げてやると、クルガンは精をシードの中へと注いだ。

「くぅっ、あああぁぁぁ…………!!!」

全身を仰け反り、流し込まれるクルガンの熱をいつもとは違う風に感じながら、シードもまた、その欲望を放った。

 

情事後、身だしなみも整えた二人は暫らく夕日の沈んだ方角を眺めていた。

「さあ、もう日も暮れてしまった、帰るとするか」

「えっ…?」

そう言うとクルガンは『水の紋章』を発動させた。

折れた腕が完治する。

クルガンは軽く肩を回すと剣を取り、近くの木を向かい剣を振るった。

ずずん木は鮮やかに両断され、左右に倒れる。

「……………………………………」

ぽかんと口を開いたままシードが呆然と立ち竦む。

開いた口が塞がらないとはこのことである。

「くくく…忘れていたな…」

クルガンの言う通り、シードはすっかり忘れていた、クルガンが『水の紋章』を使えると言うことを…。

「じょ、冗談じゃねええぇえぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!!!」

 

その夜、グリンヒル付近の森で大規模な火災が発生したことは言うまでもないであろう…。

 

★後書き★

練習さぼっちまったいっ!!Σ(>△<;)←江戸っ子…←何故江戸っ子!!??←誰か突っ込んでください…。(死)

背景、梨っぽい色だと思いませんか?(爆)←そういうしょうもないことを思うのはお前だけだっ!!byシード(笑)

甘々LOVELOVE…ふふふ…。(=▽=;)←現実逃避か…byクルガン(キッツぅ)

『クルシー&主坊(鬼蓄&小悪魔)ギャグ(裏)』ということでしたが、これで宜しかったのでしょうか?神無月カンナ様…。 ↑うわ〜ん、もっとカイルさんといちゃつきたかったですぅ〜!!byカナタ

カナタ…byカイル

え〜、外野が五月蝿いのはお気になさらないで下さいv(微笑)

因みに今、私、梨食べています☆(爆笑)