作戦名一薬息災

 

「フリックさんフリックさん、お茶飲みますか?」

「ああ、」

カナタが差し出したお茶を疑いもせずに受け取るフッリク氏。

確かに相手はニコニコと子供スマイルを浮かべているが、一概に相手に害をなすようなことはするまいと決めつけるのはよくないだろう。その証拠にカナタは小脇にノートを抱えている。どんなノートなのかは言わずとも知れるだろう…………。

 

「変な味とか変な匂いとかしませんよね?」

「しないが?」

「じゃあ身体がおかしいなーとかも思いませんか?」

「……………おもわないが…。カナタ、そのノートなんだ?(汗)」

何やら嫌な予感がしてきたのか、フリックは目の前でノートに色々書き込み始めたカナタに問いかける。

「えーっと、速効性の副作用なしっ…」

マイペースに作業を続けながら、カナタは返事を返す。

「え?これですかv新薬人体実験のデーターとってるんですvvv」

「人体ってまさか………」

「はいvフリックさんです!」

 

どわーーーーっとステージ場にフリックの絶叫が響いたが、その声は小さなものだった………。そう、それもそのはず、フリックの身体は思いっきり小さくなっていたのだから……………

 

「えーっと、10センチです。もうちょっと大きくないと踏みつぶされちゃいますよねー。」

床にしゃがみ込み、定規でサイズを計るカナタ。この少年には罪悪感と言うものがないのだろうか?

カリカリとノートに書き込み、満足げにそれを閉じた。どうやら書き終えたらしい。

「ふっ!コレでまた『一薬息災画』完成に一歩近づきました!!」

「一薬息災?」

と、思わず問い返す小さくなったフリック氏

「そうです!!『無病息災』にちなんで!あ、でも最近は『一病息災』みたいですけどねー。えっと、何言ってましたっけ?あ、そう!『一薬息災計画』についてでした!!ふふふふふvコレは色々薬を作っていっぱい悪戯しちゃおう!って作戦なんです!!」

ビシイッとポーズをしつつも、異様に底の浅い計画には変わりなかった。

「とゆー訳で!僕他の人にも投薬してきますねーvvv」

そしてステテテテと走り去ってゆく…。

「おいちょっと待てっ…(汗)せめて机の上に乗せ――――」

「きゃ〜〜〜〜〜〜〜vvvvvなにこれぇ〜〜〜!!フリックさんの人形!?」

不幸な青年フリック氏は狂喜したニナに捕まった…………(完)

 

 

 

「さーーーー!次はこの『ホレ薬』を実験しましょーーー!!」

ターゲットは〜?とカナタはレストランないを見回すと、オムライスを注文するシーナを発見した。

「――――どうせ、誰彼構わずくどきまわる人ですから、全然OKですよね〜?」

きゅぴ〜んと瞳を輝かせると、カナタは厨房内へと足を運ぶ。

 

「ハイ・ヨーさんー、僕が作ってもいいですか〜?手伝います〜〜v」

「それは構わないヨー…でもカナタさん………」

材料を用意する手を休めて、ハイ・ヨーは引きった笑みをカナタに向けた

「変なもの仕込んじゃダメヨーー?店の評判かかってるからねー」

「あはははははv約束できません!」

「…………」

きっぱりと断言され、ハイ・ヨーはそれ以上何も言うことなく、他の作業に集中し始めた……。そう、額に脂汗を浮かべながら………

『シーナさんは気の毒だけど、あんまりかかわりたくないヨー。私も自分の身が一番かわいいねー(汗)』

などと考えていた。

 

「お待ちどうさまです」

「ありがとvこの後デートでもしない?」

料理を運んできたウェイトレスを即行で口説くシーナ(ちなみに断られた)、そして厨房から覗くカナタはすでに鉛筆を構えている。

シーナの手にあるスプーンがオムライスををすくい、それを口まで運ぶ………数回そしゃくするとそれはのどを嚥下していった…………。薬入りオムライスは…………

「………」

「どうかしましたか?」

いきなり固まってしまったシーナにウェイトレスが声をかけると―――――

 

「好きだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

「きゃー!?」

ガバアッとシーナは勢いよく抱き着いた…………

「オムライスーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

――――――卓上のオムライスに……。無論オムライスは抱き潰され、シーナの服にべったりと原形をとどめない形でくっついている。

 

「あーーーーそうですよねーー。普通、もの食べる時ってそれ見て食べますよね〜。やっぱり一口サイズの固形物か飲み物に仕込むのがベストかーーー…」

 

 

 

ひそひそひそ…

 

「ん?オレの顔に何かついてるか?」

「いっいえ!!(顔には)」

「はい!ついておりません!!(顔には)」

 

 

『やっぱり熊だったんだぜーー。(汗)』

『やっぱりなーーー(汗)』

どう言う訳か頭に熊耳をつけたビクトールに、周りの兵士達はひそひそと語り合う………。

そして、その原因であるカナタ少年は……

 

「人選ミスです!!」

はい。そのとおり。

 

 

 

「あの…父上………」

「ん?どうしたクラウス?」

ふだんなら穏やかであるはずの父子の会話は、なぜかぎくしゃくとしている

「いっいえ、やはり何もありません…」

「?」

 

『やはり言えない!父上に向かってアートネーチャーをなさったのですかなどととうことはッッ!!』

常日頃からあまり髪の生え具合が宜しくないキバ将軍だが、何故だか今はふさふさとした毛が生えているのだ………。もっさりと、

『ああっ!でもやはり気になる!!』

 

クラウスを困惑させた張本人はあまりに笑い過ぎ、腹がよじれたために撤退していた…。

 

 

そして、実験終了後………。

 

「カイルさーーんvジュース飲みませんか〜〜〜?」

「うん、ありがと……?」

 

ちゅ〜と渡されたジュースを飲むカイルだが、何やら嫌な予感を感じ始めた…。

そして、それはすぐに身体に現れる……………

 

「―――――――カナタ…。なんか身体痺れてきたんだけど……」

「そりゃそーです〜vしびれ薬仕込んだんですから〜〜〜vvv」

「……………」

 

結局どんなに実験し、多数の被害者を出そうとも、最終的に使われるのはたった1人なのだ………………………。

 

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