夏と降霊と鶏と兄妹と僕

 

「夏と言えば、幽霊ですよね〜」

夜道をてくてくと歩きつつまた電波通信(?)でもしたのか、それともただ単にそう思っただけなのかボソリとカナタが呟く。

「?」

「なんでもないですーーvそれよりカイルさんvvv」

どさくさに紛れてカイルに抱き着きつつ、カナタはジルからの手紙を懐から取り出す。―――カイルにとって歩きにくい事このうえないだろうが……………

「ジルさん何の用なんでしょうねー?唐突に『是非、見ていただきたいものがありますのv来て下さいますわね?』なんて、」

わざわざジルの声をまねて、手紙を読み上げる微妙に似ている所がなんとも言えない。

「…………」

カイルには何の用かはわからないが、ただ無事ですまないだろう事は、これまでの経験から言って確かだろうと思った……。

 

 

 

「ほほほほほほほvよくきてくださいましたわv」

「こんばんわーですv」

ぺこりと、2人は夜の挨拶を交わす、が、他に人がいれば間違いなくツッコミが入る状況だった。

――――ジルの恰好は、一言で言うと『怪し』かった………。黒いローブを頭からズッポリかぶり、どう見ても黒魔術でもやるのかという恰好だ…。

「今日は降霊会をやりますのよv」

「あーそれで(服装が)黒いんですねーーー、僕またジョウイか何かでも死んだのかと思いましたよ〜!(笑)」

「………(かっこ笑いじゃ、すまないと思うけど……>汗)」

和やかな笑いがジルとカナタから上がり、ジルは寝台のカーテンをひく紐に手をかけた。

「まさかvそんなことはありません、主人には『生贄』役になってもらわなければいけませんものv」

ざっとカーテンがひかれた寝台の上には、縛られ転がされたジョウイがいた。(ついでに、頭の上に雄鶏)

「ジルッ!これは一体―――!?」

「あ、鶏。」

「一応雰囲気を出そうと思ったのですわv黒猫は手に入らなかったのですけど、」

「カナタッ!?また君も関係者なのかっ!?」

「あははははv」

どちらともとれる笑いをカナタはあげる…。

――――マイペースなものが3人よれば、それ以外の者が被害を受けるのだろう…………。

「ちゃんと、クルガンとシードも呼びましたのですが、シードのやらかした失敗を処理している最中で遅れてくるそうですわ」

残念といった表情で、ジルは懐から短刀を取り出した。

「呼び出すのって、あの人かな…」

カイルが天井のあらぬ所を見つめ、そんな事をいう。腕の中ではコケーコッ!と雄鶏が鳴き声を上げ、同意を示す。

「ぎゃあっ!人違いですっ!!(←謎)つーか、鶏〜〜!!カイルさんに抱かれてるなんてッッ許せませんッ!!」

ぎゃーぎゃーと騒ぎを起こしても兵が来ない事を見ると、ジルが警備に来るなと告げているのだろう…。それは、ジョウイにとっては不幸な事だった…………。

「さv貴方vvv」

ジリジリと近づいてくるジルに、ジョウイは慌てジタバタともがく。

「ジルッ!!本気でッ!?」

「もちろん本気ですわv」

「〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!なっなぜこんな事をッ!?」

「「おもしろそうだから(ですわ)」」

雄鶏と格闘中のカナタからも同じ言葉が放たれる、結局どちらも愉快犯だという事だ…………。

「それにあなた、前にわたくしを同じように刺したじゃないですの、」

「あれはっ!(汗)人形でっっっっ…」

「ジョウイ、やった事はやられても文句言えないよーv(にやり)」

―――――カイルが止める前に2人は、ケーキ入刀vな感じでジョウイの心臓に短刀を突き立てた……同じ共同作業でもかなり違う……。

 

ぶっすりv

 

「さあ、主人の命を無駄にしないためにも早く魂を呼び出さないといけないですわ!」

「妻の鏡ですねッ!!」

「ジョ、ジョウイ君っ!!(汗)」

どくどくと血を吹き出し、痙攣を起こすジョウイにカイルは急いで回復させようと駆け付ける

「ど、どうせしぬなら……あな、たのうでのなか、でっ……」

「しっかりっ!!(汗)」

「カイルさんッ!(まだ)大丈夫ですからッッッッ!!そんなの放っといて下さい〜〜〜〜〜〜ッッ!!」

ジョウイの淡い願いもカナタの手によって打ち砕かれた…。

一悶着起こしているカナタとカイルを後目に、ジルは呪文を唱え終えている。

 

「おいでませvお兄様vvv」

 

「「え〃っ!?」」

凄まじい衝撃と共に、人影(?)が一つ増えた…。

 

 

「ふはははははははははは!豚は死ねっ!!」

「お兄様あいかわらず、豚好きですのねv」

和やかな兄妹の対面(?)に、カナタは冷や汗を流す。

「ルカ=ブライト………(汗)カイルさん、」

そして、雄鶏を抱くカイルに引き攣ったまま声をかけた。

「?」

「殺したの恨まれてたらどうしましょう?」

「…………………多分、ジョウイ君に恨まれてるからその心配はいらないと思う…。」

「hうっ……カナタ………恨んで、や、る………」

死の床では、ジョウイがカナタに向けて呪詛の言葉を吐いていた………

「あ、じゃあ安心ですねvvv」

訳のわからない事で安心するカナタだ。

 

「ほほv降霊会の真の目的を告げる前に、貴方に聞いておきたい事がありますわ!」

びしっとカナタを指差し、ジルがそんな発言をしだす。

「真の目的?」

「そうです、」

普通ならば、クライマックスシーン(?)だというのに、緊張感のきの字もない会話だった。

「貴方とトランの英雄さんの愛の営みのビデオ―――」

「断る!」

タイム(0.001秒?)

「カイルさんのかわいい姿は僕だけが見てればいいんですッッ!!」

びしいっと腐れたことをほざく………。

「それでは仕方がないですわ―――お兄様!」

優待のルカの方をジルはきっと見据える。

「真の目的、ルカ坊ビデオ撮影ですわ!!」

「ほお、」

ルカの探るような目がカイルに向けられる…………………、

少しの間、カオを眺めた後ルカはにっと笑みを漏らした…。

 

「いいだろう、」

「もう一回死んでこいーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」

 

切れたカナタから、紋章の力が放たれる…………。

その勢いは全身の毛が逆立つような勢いだった………………。

 

「貴様ごときにこの俺が倒せるものかっ!!」

「一回死んだ分際でーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッ!!!!!!(怒)」

 

「ああv愛をかけての死闘、すばらしいですわねっvvv」

じぃ〜〜〜とビデオの回る音に、カイルがジルの方を振り向くとジルは予想通りこの光景をビデオに納めていた………。

―――――ラベルには『主坊+ルカ〜愛の決闘〜』と書かれていた………。

「…………(元からそのつもりだったのかな…?)」

コケコケ、雄鶏は言わなくてもわかるとばかりに、カイルの頭にのっかった。

 

 

 

 

 

「クルガンーー、遅くなっちまってるけど本当に行って大丈夫なのかー?」

「誰の所為だと思っている、―――まあ、行かなければジル様の事だ――…」

「どうしたんだよ?」

ジルの自室からものすごい音が聞こえてくるの知り、クルガンは歩みをとめる

「なんだあ?」

シードの好奇心を刺激したのか、シードはクルガンがとめるのも無視し、ノックもせずに部屋のドアを開け放った……。

 

「もう一回地獄の釜で柔らかく煮詰めらろーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!(怒)」

「豚は死ねえっっ!!」

「シードが来ましたわ!ルカシーもいいですわねっ!!お兄様、シードですわよ〜〜〜〜vvv」

 

「なっなにっ!?ルカ様っ!?いや、ジョウイ様が!?死闘っ?????」

目の前の状況が把握できず、シードはパニック状態になった……。

後ろでクルガンはふぅ…とため息をつく……………

「長くなりそうだな…」

 

 

クルガンの呟き通り、(ルカが成仏(?)する)夜明けまで死闘が続いた………。(ちなみに、クルガンとシードも巻き込まれた。)

この皇都ルルノイエを半壊にした事件は、ルカ=ブライトの呪いとしてハイランド中に広がったという…………………。

追伸:ジョウイはなんとか生きていたらしい。(破魔の紋章で復活した)

 

 

 

 

 

 

「あ〃ーーもうっ!二度とヤツとは会いたくないですっ!!(怒)」

「………(会いたくても会えないと思う…。)」

てくてくと帰路につくカナタとカイルと雄鶏、カナタは身体中に傷を負ってはいるが元気にプンスカ怒り、カイルの抱く鶏につつかれていた。カイルの取り合いだろう………

「早く家に帰りましょう!」

「うん…」

雄鶏も同意を示すため、大きく息を吸い込んだ…

 

コーケッココーーーーーーーーーーー

 

そして、長い夜が明けたのを知った。

 

終わる