All I want for Christmas is you
海月作
「クリスマス〜〜〜〜〜〜♪♪♪」
わー!!と、意味もなく盛り上がっているのがここ、同盟軍本拠地である。
なんのパーティーでも、宴会でも酒が飲めればそれでよし!と中年…もとい、少し年のいった方々の言い分である。
まあ、なかでも現リーダーコト、カナタが一番盛り上がっているのもまた確かな事だった。
「カイルさ〜んッッッッッ♪」
それもそのはず、最早何ヶ月にも渡って監禁……ではなく、この『ぼっちゃんラブ城』に留まってくれているトランの英雄とのクリスマスなのだから、
カイルの気持ちはどうあろうと、カナタは異様に喜びはしゃいでいる。
そして、何人たりとも触れさせん!!との意気込みでいつも以上に引っ付き回っている。
「カナタ…重いんだけど………」
申し訳なさそうにカイルは言う、そういう時はビシッといわねばならないが………まず無理だろう。
「カイルさん♪この『クリスマス』っていうの異国の風習なんですよv」
唐突に話を切り替えられたが、カイルはそれに興味を示す。
「どういうのなの?」
「えへへv良い子が夜寝てると…」
カナタが思いっきり自信満々に言い切る。
「『悪い子はいね〜か〜』って、包丁持った鬼が現われて子供が攫われるそうですvvv」
「…違うと思うんだけど」
「あははv冗談ですvvv本当は血まみれの赤い服を着たおじいさんが金目の物を盗んで行くんです♪」
「……『クリスマス』って…」
信じちゃいけません。
「なにやってんの?」
ゴスウッと背後から現われたルックにカナタは思いっきり本の角で頭を殴られる。
「痛ーーッ!!」
「これあげるよ、それ見てちょっとは騙されないようにすれば?」
「ありがとう…?」
さくさくッと言い放つとルックは用は済んだとばかりに何処かにテレポートする。
カイルが渡されたものを見ると、表紙に『クリスマスの夜』とかかれた絵本だった。
「あああっっっ!!まさかクリスマスプレゼントッ!?先越されましたぁ〜〜〜!!」
叫んでいるカナタを他所にカイルはパラパラと本に目を通す、簡単に本の中身を見ると『良い子が夜に寝ているとサンタクロースが靴下にプレゼントを入れてくれる』というものだった。
しかも最後のページにはルックが書いたと思われる字で注釈がある。『サンタクロースは親やその他の親しいものが化け、プレゼントを特定の者に送る』と、
「…………」
「カイルさ〜んッッ(泣)」
うぎゅ〜とカイルに抱き着く。
「先越されたけど、メリークリスマスです〜〜〜っっ」
「え?」
どこから取り出したものか、赤いリボンで包装された可愛い袋が手渡される。
「『クリスマスプレゼント』です!『クリスマス』は好きな人とイチャイチャ過ごして、プレゼント贈るんです!!」
多少片寄っているが、まあいいかな?
「ありがと…(///)」
「大好きです〜〜〜〜ッッッ!!!」
うぎゅぎゅーーーと更にカナタの腕に力がこもる、よほど先を越された(?)のが悔しかったのだろう。
「…でも、僕プレゼントないんだけど……」
「カイルさんの愛だけでいいですっ!!」
すりすり〜と頭を擦り付ける。
子犬がじゃれてくるような愛しさで、更にカイルは罪悪感が募る。
「…………」
「カイルさん?」
…この少年が喜ぶ事は、カイルにとってかなり恥ずかしい事だが、この際しょうがないと割り切ったらしい
きゅっと目を瞑ると目の前にある唇に口付ける、
「……………………え?」
「…ありがとう、メリークリスマス………(//////)」
かあああああぁぁっっと顔を真っ赤にさせたカイルが何とか言葉を絞り出す。
………が、カナタはそれすら聞こえていなかったのかも知れない。
『カイルさんがッ!カイルさんが!!!人前でキスを!???しかもほっぺじゃなくて口にッ!!?ああああああぁぁ???カイルさんはいつ見ても可愛くて〜v今日は更に可愛くて〜〜〜?♪♪♪△▼○×♯‐@♂⊂〜〜〜〜!!』
ぱにっくである。
人はだれしも予期していなかった事が起こると往々そうなる、それが嬉しい事ならなおさらだ。
「カナタ?」
「!!!!!!!!♪♪♪vvvvv☆☆☆」
危惧していたようにカナタは鼻血を勢い良く噴出した。
「しっかり!!カナタ???!!」
もはや、血塗られたクリスマスと化した。
…しかし、最初ッからマトモな訳がなかった。
周りでは酔っ払いと化した熊が服を脱ぎ出したりナナミが作ったケーキやらチキンやらが暴れだしている………。
そんなこんなで本拠地からの放送を終えます。
ハイランドにてv↓紺碧さん作
「メリークリスマス♪」
ぱあぁー――ん!!
寝汚い相棒を起こすため、彼の部屋の扉を開いた瞬間、派手なクラッカー音と共に嬉しそうな相棒の声が聞こえた。
「…シード……」
視界は、クラッカーのテープ類により塞がれ、耳は先ほどのクラッカー音によりきぃんと耳鳴りがした。
「へっへ〜、ビックリしたか?」
別に吃驚したというわけでもなかったが、耳鳴りが酷く、その額にくっきりと青筋が浮かび上がっていた。
クルガンは無言でテープを取ると、間髪入れずに無邪気な笑顔を向ける相棒の頭を叩 いた。
「って〜…」
まだヒリヒリ痛む頭を撫で、シードは横をそ知らぬ顔で歩くクルガンを睨んだ。
「何も殴る事はねーだろっ!!大人げね―の!!」
クルガンの頭一個分小さいシードが下から覗き込むようにして文句を言う。
その額をぐいっと押しのけ、一言。
「五月蝿い。」
いつになく不機嫌な声のクルガン。
彼の不機嫌の理由は驚かされた事ではなかった。
まして、耳鳴りの所為でもなかった。
「手伝って欲しければ、静かにしろ。」
そう言ってクルガンはシードの執務室の重い扉を開いた。
「あ〜あ、何が悲しくてクリスマスに仕事しなきゃなんねーんだよ。」
未処理の書類の山に埋もれながらシードがぼやく。
「仕事を溜めるお前が悪い。」
文句を言う暇があるならばさっさと手を動かせ、と付け加えてさらさらと書類に流麗 な字を書き綴る。
シードのサインの欄を残して…。
普段の仕事ならばシードに回すのは時間の無駄だと自分で処理する事もできた。
しかし、この新しい年を迎える年末の仕事だけは、シード直筆のサインが必要となり、クルガンが請け負うことができなかったのであった。
かといってほっておいたわけでもなかったのだが、言って聞くような人間ではなく、 結局〆切を明日に控え、慌てて書類作成にかかっているのであった。
しかも、軍議にかかる重要書類。
そんなこんなで、クルガンは多少の理不尽さを我慢してでもシードのやる気を出させ なければならない状況に陥っていた。
「へーへー」
やる気も反省の色も見えないシードの返事にクルガンはペンを握る手に力を込める。
しかし、ここでシードをいくら諌めても彼のやる気を出させるのは無理であろう。
そこまで考えた時点でクルガンの口からはぁ…っと、深い溜息が漏れた。
(飴と鞭の使い分け…)
そう判断すると、机の上に突っ伏しているシードに向かって言った。
「シード、この仕事が終われば城下で飲むぞ。むろん私の奢りだ。」
「マジ!?」
クルガンの言葉に顔を輝かせるシード。
「ああ、だから早く終わらせるぞ。」
「おおっ!折角のクリスマスにんなとこで仕事なんかやってられっか!!」
そう思うなら溜めるな!!と言いたい所をぐっと我慢し、そうだな、とだけ返事を返すとクルガンも再び書類に向き直った。
「ふぃ〜…お、終わったぁー――――!!!」
ばったりと机に突っ伏し、盛大な溜息と共にシードが喜びの声を上げた。
「ああ、よくやった。これで必要書類全て揃った…」
最終チェックを入れながらクルガンが言う。
その言葉にシードの顔がリトマス試験紙宛ら、真っ赤になった。
「…?」
それに気付きクルガンが訝しげにシードを見た。
「今…なん……言っ…」
「?今私が何と言ったかか?」
真っ赤な顔を押さえてシードがこくこくと頷く。
「よくやった、と言ったんだ。」
くしゃくしゃとシードの髪を掻き乱す。
「ば、やめっ、ガキ扱いすんなっ!!」
クルガンの意外な言葉に戸惑いながらも悪態つくシード。
シードの髪を撫でていた手をするりと頬に添えるとクルガンは唇を合わせた。
「…んっ・……」
クルガンにしては珍しい、触れるだけの優しい口付け。
触れては離れ、また触れる…。
頬に…額に…唇に……。
顔中にキスの雨を降らす。
らしくない…と、くつくつと笑いが込み上げてきた。
シードも同じことを思っているらしくくすくすと笑っていた。
「城下に下りるか?」
「ん〜、このまま、お前の部屋に行くのも悪くない…かな?」
クルガンの背に手を廻し、シードもらしくない事を言う。
「それはお前からの誘いか?」
深い色の髪に口付けながらクルガンがにやりと笑う。
「ばぁーか。」
こつんとシードが額をクルガンの額に当てる。
聖なる夜、少しだけの素直という名の暖かい雪が二人の間に降り注ぐ…。
ワインとこの相棒がいれば他はいらなかった…。
シードの柔らかい髪に頬を埋め、クルガンは一言囁いた。
「Merry Christmas …シード」
窓の外には冷たい冬の雪が降っていた…。
†後書き†
マライヤキャリー。すんごい好きなんですよ、彼女の声!!それはもう、嫁に来ないか〜ってくらいにvvv(謎)
いや、実際には我侭な嫁は欲しくないけど…
でも、美人だし…スタイル良いし…。 やっぱり欲しいかな〜♪(笑)
そういう問題じゃないって?ははは…ごめんなさい。(汗)
やなせまい様、クリスマスについて勉強(?)不足ですみません…。(^−^;)
海月:あははvわしのがなぞっすよ…(泣)すみませ〜んっっ!!