主坊〜<以下略>

 

 

「カイルさん!僕とカイルさんの愛の伝導書がついに完成しました!!」

 

「燃やしていい?」

 

ばーん!ととてつもなく分厚い紙の束を抱えて来た少年(墨塗れ) に、カイルが放った第一声がまずそれだった…。

気持ちはわからなくはない。

「ダメですーーーーー!!(汗)大丈夫です!フィクションですから!創作です!!」

「………」

慌てて首を振って答え、カナタは訳のわからない言い訳を叫んだ。

―――しかしまあ、とりあえずは第一の危険は去ったようだ。

カイルからの殺気が少しだけ和らいだのがわかる。(少しだけだが)

「――――、フィクションって…?」

小説書いたの?と、カイルは不意に気が付いたように少年に問いかけた。

「はいっ!1000Pもの超大作!『主坊学園ドッキリファンタジー☆ラブコメメロドラマちょっとサスペンス風味のアダルト成人向け|お花畑で捕まえて☆天国はもうそこよ〜』!ですっ!!」

ジャーン!と言い放つカナタ…。何がなんだかわからない…しかし、内容は想像するまでもない物だ………。

一瞬カイルは意識が遠くなる。

「さあ!読んで下さい!力作です!!」

「………(汗)」

ふるふると首を横に振るが、カイルの意志は無視されその分厚い紙束からまず数枚が手渡された。

仕方なくそれを読み始めるのだが…………

 

 

『 

 バタバタバタバタ…

 「うわ〜〜〜〜〜遅刻です〜〜〜」

 今日は入学式。そして僕はその新入生である…。入学式の主役とも言え、高校生活のスタート日なのだが――――しょっぱなから遅刻だ。

 正直にきっぱりとここは入学式はさぼろうと思う。何事も無理はいけない。開き直ろう。

 スピードをわずかに緩め、桜がちらちらと舞い降りる光景を眺めながら走る。

 この際もう歩いて行こうかと企んだ時だった。――――突然僕の身体に衝撃が走った。

 しりもちを尽きながら考えたが、どうやら人にぶつかったらしい。

 「あいたたた〜〜(汗)」

 「っ〜〜…」

 顔を上げるとそこにはとてつもなく綺麗な人がいた。

 頭には幾枚も桜の花弁を乗せ、一瞬本気で桜の精かと思ってしまった。

 めくれ上がったスカートから白い足が覗き………』

 

「カナタ………これ……」

「無論カイルさんです!!」

「なんでスカートなのっ!?」

「だってカイルさんに似合うと思ったんですよ!(汗)」

 

 

<幾つか加筆、訂正が入りました。>

 

 

数ページが飛びました。

 

 

 「一目惚れです…v」

 あの人の落としたバンダナを握りしめて、思わず呟いていた…。』

 

「バンダナ…?(汗)」

「カイルさんって言ったら、やっぱりバンダナですよ!」

「………(汗)」

 

数十ページが飛びました。

 

 「こ、これ…落としましたよね!」

 学園のアイドルであるカイルさんを屋上に呼び出して僕は唐突にそう切り出した。手にはしっかりと保存しておいたバンダナが握られている。ここ数日間ひとときも手放さずにいた物だ。

 「………」

 「…?」

 黙ったままカイルさんは驚いたような表情で僕の出したバンダナを見つめていた。

 ―――――ちょっと慌て過ぎただろうか?

 呼び出した途端に用件を切り出したのはまずかったかもしれない。――――そう思っていた瞬間、カイルさんはふんわりと微笑んでくれた。

 「ありがとう……探してたんだ」

 「いえっ!」

 差し出された手に僕は張りきって落とし物を渡した。それを受け取るとカイルさんはぽつりと呟いた…。

 「それがないと変身できなくて…」』

 

「何に変身するのっ!何にっ!!(怒汗)」

「もちろん!『プリティーカイルさんエンジェルハート♪』にですっ!!」

 

ビリィッ!バリイッ!!(怒)>紙の破ける音

 

「あーーーーーーーーーー!!!!!!!!!何するんですかーーーーーーーーーー!!!(泣)これから僕がカイルさんに『秘密をばらされたくなかったら…』と屋上で無理矢理〜〜〜〜な感じのシーンで驚くべき展開があったんですよっっっっっっっ!!!!!!?」

「!!(怒)」

「それから愛が芽生えつつも、悪の軍団『にんじんキライー』(ボスが親友というオチ)に掴まったカイルさんをあわや!と言う所で僕が敵軍団をぶちのめしっ!僕とカイルさんは空を飛びながら永遠の愛を誓いあうんですよっ!?」

 

 

<数百ページ破棄されました>

 

 

 「カイルさん!なんで僕の愛を受け入れてくれないんですかッ!」

 ザザーンと夕焼け色に染まった波打ち際で僕は叫んだ。そして、その前でカイルさんは辛そうに顔を伏せ、唇を噛み締めた…。まつげまでもが紅色に染まり震えている…。

 「僕も…カナタの事好きだけど………でもっ!」

 キラキラと輝きを放つ真珠が零れ落ち、そして海の中に溶けて消えた――――…

 「納豆にマヨネーズを入れて食べるのだけは我慢できないっ………!」

 「そんなっ!カイルさんッ!!」』

 

「納豆…?(汗)」

「この辺、大分徹夜し過ぎてハイになってましたからね〜…。」

 

 

<略。>

 

 

 「これで邪魔者はいなくなりました…」

 クワッと目を見開いたまま息絶えたシュウの生首は、無造作に床の上に転がっていた…。黒ずんだ肌に、真だ魚の様に濁った瞳は既に生と言う物を何一つとして感じさせずに虚空を見つめている……。

 「死体はこれでニ体……後一人でカイルさんの心は僕の物に……」

 2つに切断した、身体の方から取り出した心臓をツボの中に入れながら僕は呟く。中にはもう一つの肉の塊が防腐液の中に沈んでいる…。

 カカッ!と稲妻が古い洋館の中を照らし、凄惨な辺りの様子を暴き出した。床に散らばるのは数々の呪術道具…。

 幾ら防腐作業を施したとは言え、内臓は腐ってゆく…。

 辺りには嘔吐感を催す程の腐臭が漂っていた……。』

 

「…………………………………」

カイルは黙ったままその紙を見つめていた…。その表情は悲しいかな…カナタの方からではまったく見えなかった。

「これで、この後!カイルさんが身体を張って僕を止めて!僕とカイルさんはめでたく婚約(のちに)結婚をして終わるんですよっ!!」

「……………………………………………………………」

呑気にそんな事を言っている少年に、カイルは黙ったまま棍を掴んだ………。

 

 

 

 

 

 

 

ゴォ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!

 

「あっ!カイルさん!何燃やしてるの〜っ!」

「………さぁ?」

燃え上がる紙の束を興味津々にナナミは覗き込んでいた。

そして、それに対してカイルは小さく笑みを浮かべながら、首を傾けるばかりである…。勘のいい者ならば、何故か背筋が寒くなるだろう。

しかし、ナナミは気にしない。

「ふ〜ん…あっ!じゃあ、お姉ちゃんさつまいも貰ってくるわ!やっぱり焼き芋を作らなきゃっ!!」

「………」

パタパタとか気去ってゆくナナミを背後に、カイルは…「これで焼いた焼き芋…お腹(頭かもしれない)が痛くなるかも?」などと思っていた…。

そして、数日後、カナタは懲りずにも(何があったか不明)2000Pもの大作を再び書いて来たと言う………。

 

 

完。

 

 

1000Pは無理でした(笑)

ほとんどの部分がカイルさんの手によって破棄されました…(死)

なんというか訳のわからないノリです…。

ふ、ふふ…(汗)

やはり逃げ出します!!;>ダッシュ