幼児劇場〜恐怖の幼児〜

 

 

「…うあ〜?;」

 

ある朝起きると、

 

「…なんか手が小さいです?;」

 

 

――――――子供になっていた。

 

 

 

 

 

「うーむ;一体どういう事ですか?」

えらくブカブカになってしまった服を脱ぎ、何故だかコレクションルームにある子供服を探しながら、カナタは独りごちる。

鏡で自分の姿を映してみた所、大体5才くらいだろうか?という頃の、あどけない姿が映っていたのだ。…今の同盟軍メンバーらが見たならば、何で今はこんな捻くれて育ったんだ…と突っ込みたくなる程、素直そうな顔立ちをしている。―――別 に今が捻くれた顔立ちをしていると言う訳ではないが、こう…性格が顔に出ていて恐ろしいと言うか何と言うか…

―――それはともかく。

何故カナタが幼児化してしまったのか、という事が問題だ。

「1、変な病気。2、風呂上がりに間違って自分で変な薬を飲んだ。3、何かの陰謀。」

3なら、犯人タコ殴り〜と、およそ子供らしからぬ事を言いながら、チャキ☆と子供服を着替え終える。

ニキニキと小さい手を握ったり開いたりして、今の自分の大きさを確認すると、ふぅ…と腰に手をあてた。

「チビ化しているのは確実ですね!カイルさんにこの姿を見られてないのが唯一の救い!!」

何故ならカイルは昨日用事があるから、と一時帰宅をしたからだ。

そして、すぐに自分から戻って来るから帰らせて!;とまで懇願するカイルに泣き縋り、棍の一撃で昏倒させられたからだ。

とりあえず、約束したからには、ちゃんと戻って来てくれるだろうし…(何せ無理矢理またたきの手鏡を押し付けたのだから)――――問題は、この身体である。

「こんな…!こんないつもよりちみっこでカイルさんと何が出来るっていうんですかッ…!?(泣)親子ですか!?一度はやってみたかったネタ子供シリーズですか!?(涙)」

よよよっと、芝居じみた仕草で、床に座り込むカナタの姿は、その姿がいつもより小さいだけで妙な感じの光景である。

「ああっ!子供だと!子供だと―――…」

更に泣き言を続けようとして、ふいにカナタは言葉と涙を止めた。

「…僕だってバレなきゃ、子供のフリしてやりたい放題?」

服の下に顔をつっこむとか!(?)

グッ!と拳を握りしめると、帽子はどこにあっただろうか!?と衣装箱に頭を突っ込んだ。

 

 

 

 

「あ♪カイル様ー」

ロビーの辺りで遊んでいた子供の1人が、またたきの手鏡で戻って来たカイルの姿に気付き、そう声を上げた。

ボールを手に持って、朝から元気よく遊んでいる無邪気な子供らの姿は、見ていてとても微笑ましいものだ。思わず微笑を漏らして(カナタがこの場にいたならば、一発でメロメロになっただろう)挨拶をする。

「こんにちは、」

「「「「「こんにちわー♪」」」」」

きゃわきゃわ☆と男女入り交じった子供らは、一応同盟軍本拠地で過ごしているだけあって、きちんと賢い挨拶を返せした。そして、子供らが言った事には…

「ねえねえ、遊んで…?」

「カイル様遊んでくれる?」

「え?」

どうやら、いつもリーダー様に一人占めされている、優しいお兄ちゃんに遊んでもらいたいらしく、そう誘いをかけられた。

カナタの所にすぐ(またたきの手鏡を返しに)行かなければならなかったカイルは、一瞬戸惑ったが――――…

 

キラキラ☆×5

 

――――期待に満ち満ちた、子供達の純真な瞳に負けた。

「…少しだけなら、」

「「「「「きゃー♪」」」」」

 

歓声を上げて、子供らはカイルを中庭の方へ引っ張って行った。

 

 

 

 

ボール遊びに始まり、かけっこ、高鬼、鬼ごっこ…

その後にかくれんぼをしようという誘いに至って、何とか抜け出し、カイルは息をついた。

子供と遊ぶのは楽しいけれども、異様に体力がいる…。

そう実感するカイルだった。

「………?」

再びロビーへと足を向けた時、ふいに独り小さく立ち尽くす子供の姿が目に入った。

帽子を深くかぶり、弱々しくその子供はカイルの方を見ているのだ。

どうにも放っておけなくて、カイルは向きを変え、その子の方へと歩いて行った。

「どうしたの?」

カイルがしゃがんで尋ねると、子供はますます帽子を深く被り、困ったような仕草を見せる。

「遊ばないの…?」

皆と遊ぶのに、タイミングを外して中に入れなかったのかと思いそう尋ねると、子供はきゅっとカイルの服を掴んだ。

その仕草は、遊んで欲しいと控えめに言っている様で、ついついカイルはまた絆されてしまう。

「…遊ぶ?」

こくっ

子供は頷くと、意外な行動力で、カイルをグイグイと展望台の方へと引っ張って行く。

しかも、掴まれた場所がまずかったのか、上着の下で服の裾がズボンから引っぱり出されつつある。

「どこに行くの?」

あっちとばかりに指が示される。

「?」

人気のない展望台の下辺りまで来ると、カイルの腰ぐらいまでの身長しかない子供は、きゅっとカイルに抱きついて来た。

展望台に上りたいのだと思ったのだが、違うのだろうか?

不思議に思い、カイルは尋ねる。

「登らないの?」

こくっ

お腹の辺りで頭が動くと、非常にくすぐったい…。

声を出すの堪えて、カイルは更に考えた。

寂しいとか、恐くなっちゃったんだろうか?と、(この辺りは人気もなくて恐いし、)

「どうしたの?」

帽子を被った子供はそれでも喋らず、カイルに甘えたように抱きつくばかりだ。

脇腹の辺りを彷徨う手が、非常にくすぐったい。

「………(汗)」

対処に困り、頭を撫でてあげると、子供はカイルの服の下に頭を――――…

 

「え?;」

 

さすがにそれは、くすぐった過ぎるとカイルは慌てた。(しかもいつの間にか腰紐が緩んでいた…)

そして、慌てながらも服の中から出て来てもらおうと子供を引っ張る。引っ張る内に、何やらこの子供の気配がどこか馴染み深いものである事に気付き――――…

「カナタッ!?;」

「チッ!;もうバレましたーーーッ!!」

そう服の中で子供、…カナタは、悔しげに言った。

…さすがに殴る訳には行かない…何せ相手は子供の姿をしているのだから。

「カナタッ!やめて早くッ!出て!服の下で動かないでッ!!;」

必死にカイルは引っ張り、まるで綱引きのような戦いを繰り広げた…。

 

 

 

 

〜原因探究〜

 

「なんでこうなったんでしょーねー?」

カナタはちゃっかり、カイルの膝の上に座ってそう呟いた。

「…昨日ね、」

「はい。」

「帰る時に、カナタが『せめてお茶だけでもーッ!』って言ったよね?」

「なんか、気絶させられたショックでその時の記憶が少々飛んでます〜」

「………(汗)―――その時だされたお茶…(嫌な予感がしたから)カナタのと入れ替えたんだけど…」←そしてお茶の後で殴り倒したらしい。

「―――おぉ!」

ポンッとカナタは手を打った。

「そう言えば、カイルさんが帰って来てくれますようにvって保証に遅効性のチビ化薬を仕込んだんでした!」

「………(怒)」

使われかけたのはカイルだったらしい。

「そうとわかれば話は簡単です!効果をなくすにはカイルさんとのディープ☆なキッスが必要なんですー!とうッ!」

ガバァッ。

「〜〜〜〜〜〜○△×□!?!?!?」

 

 

…カイルは、正真正銘の子供に襲われ、そのショックから再び本拠地を後にしたという…(傷心旅行)

 

 

 

 

 

幼児になった方が恐ろしい気がします…

えらい目にあったカイルさん…

そ、そんな感じです☆(吐血)