早朝の城内風景〜軍主自室の欲望と恐怖の物語…(?)〜

 

 

 

同盟軍本拠地早朝。

それはこの城が唯一平和な時刻である。

朝起きるのが早い者らが、早朝トレーニングを行う気配や、レストランで朝食の仕込みをする音が僅かに響くばかりで、どこからも悲鳴怒声が上がろうともしていない…それだけの事が、この城にとっては極稀な状態なのである。

もっと適切に言えば、深夜から早朝にかけての時間帯だ。そう、

――――この城のリーダー、カナタが寝ている時間帯…。

その時間だけは、この城に束の間の平和に訪れる…。

 

 

 

 

で、その平和を乱す張本人である少年はと言うと、城内に設えられた自室でまだ眠っている最中だった。

早朝トレーニングなどやるタイプの人間ではない為、この時間帯はグースカと眠っているのだ…。(まあ、何かの企みがあった時には早朝でも深夜でも起きているだろうが…)

そして、一人で寝ている訳ではなかった。

寝癖まみれで寝こける少年の隣には、すやすやとトランの英雄ことカイルがやすらかな眠りに包まれて横たわっていた。

こちらも早朝鍛練の為に起きようとはしていなかった。…昔は行っていたのだろうが、今は夜にカナタに押し倒され………………もとい、大人の事情で、体力の快復の為に睡眠を優先しているのだろう。

もうだいぶカナタのペースに慣らされてしまっているのか、周囲に気を張る事なく無防備に眠る寝顔は、(カナタいわく)「むちゃくちゃ可愛んですーーーーーッッvvv」…という代物だった。

そして、それが見たい為か…

 

「――――――――…おはようです、カイルさんvv

 

カナタの方が起きるのが早い。しかも、カイルを起こさないように小声で挨拶をしている。

音もなく目を開いたカナタは、すぐ近くのカイルの寝顔を覗き込んだ。…寝ている間に存分に相手の顔を堪能するのが日課なのである…。

あまりいい趣味だとはいえないが、しかし一つだけフォローを入れるならば、別に顔が好きだと言う意味で見つめている訳ではなく(多分)、自分の隣で相手が安心して眠っているのを見るのが嬉しいからである。

「………!(唇が…!!無防備に開いてる唇が!僕を誘ってます…ッッ!!)」

多分。

(ちょっとだけなら…♪)

そ〜っと寝ているカイルに手を伸ばす。

…詳しく言うと、うっすらと開かれた唇に触ろうと人差し指を伸ばした。

 

ふにっ。

 

「〜〜〜〜〜〜っっvvv」

「〜〜〜…?;」

柔らかい唇を指で撫でて悶絶する少年…。(カイルはむにむにと唇を触られてくすぐったそうに眉を顰めているが、まだ起きる様子はない。)

――――寝ている間にこんな事をしているとバレたなら、そろそろカイルはこの少年に愛想を尽かすかもしれない。

しかし、幸運にも今までバレた事はなく、たいてい早朝のこの時間、カナタはこんな事を日課にしていたりする…。

(こうなったら!ちゅーvもしていいんでしょうか!?起きてませんしッ!いや!起きてないからこそしますッ!何故なら物語の王道はスリーピングビューティーをキッスで起こす事だからです!!誰にも文句は言わせませんッ!寝込みを襲うのが変質者だと言うなら童話の主人公は皆変質者ですッ!!)

無茶な理屈を心の中で叫びながら、少年は身体を起こし、眠るカイルに迫る。…ちなみに寝込みを襲う常習犯な少年である。

カイルの頭の下に敷かれた柔らかい枕の、その上に両手をバンッバン!(無音)とつき、顔を近付ける。

これは、おはようのキッスではなく、完全な寝込み襲いキッス(?)である。(※おはようのキスはそれはそれとして、別 に実行されるらしい。)

「♪〜」

…唇を舐めるように味わわれたカイルは、寝苦しそうな表情になっている。

(ギャーv♪可愛いですーッ!!)

しかし、それでもそう言うのだから、恋は盲目というか人の気持ちを考えないというか…

爽やかな朝の気配が、濁って来ているようなムードだ。

「……………」

少年は一瞬真顔になって考えた。

 

(―――――カイルさんは可愛いんです!!こんな無防備な寝顔を見せられて、襲わないなんて事は出来ませんッ!!朝っぱらからなんて事も気にせずにいざ!!)

 

反射というか、本能的なまでの動きでカナタはカイルの服を脱がしにかかった。

しかし、その手は白い肌を胸元まで一気に晒した時点で止まった。

 

(―――――ああっ!でも;朝からカイルさんを怒らせて一日中…いや!一週間くらいムシされるのと、一時の快楽を得るのとどっちを優先させれば…ッッ!!)

 

ぷるぷるとカイルの服を掴んだ手が震える。

晒された肌から覗くカイルの姿態には、昨夜の痕跡が残っていて、………

…ちゅっ。

「ん…」

「――――はっ!!;」

無意識の内に肌に吸い付いていた。

新しく赤い痕跡が、浮き上がる…。

 

(―――――愛のままにわがままにッ!?つい本能の赴くまま行動しちゃいましたーーーッッ!!でも口の中にごちそうを入れちゃったのに、わざわざそれを出すなんてもったいない事は出来ません!!なら覚悟を決めて!!)

 

「という事で!(小声)」

カナタはある意味潔く、決行した。

が。

「―――――ハッ!!;」

あっさりとその決意は散らばってしまった。

…別にカイルが起きた訳ではない。起きた方が良いとは思うが、起きてはいない。

ふいに、カナタは思い出した事があったのだ。

「カイルさんーーーーーーー!!!起きて下さいーーーーーー!!!!!!!;」

「っ!?;」

さすがに跳ね起きるカイル。

身を起こした先に、少年の顔があった為に、ぶつかりそうになったが、なんとかその寸前で止まった。

「…どうしたの?;」

すぐにいつも通りの体調になったカイルが問いかけると、カナタは必死の表情で訴える。

「大変です!!今日早朝会議あったんですッ!!;しかも寝過ごしたんで、誰か呼びに来るかもしれないんです!!」

「うん、」

「カイルさんの寝顔見せたくないんで起きて下さいっッ!!」

「……………;」

 

身勝手な要望で起こされたようだ…。

 

 

 

 

 

 

 

「…………………はあ;何でこんな役目を…(涙)」

フリックは溜息をついていた。

しかし、それでも歩く。

彼は今まるっきり罰ゲームに近い刑に処せられていた。昨夜行われかけた軍議を…「子供に深夜労働をさせる気なんですか!?子供は8時以降働いちゃダメなんですよッ!? え!?誰が言ったか? 僕ルールに決まってますよ! とにかく忍者と暗殺者以外を深夜に働かせるなんて!訴えますよーッ!?(怒) 部屋に戻ってカイルさんと夜のイチャイチャタイムなんですッッ!!カイルさん先に寝ちゃったらどう責任取る気ですかーッ!ヅラハゲーーーーッッ!!(乱闘)」と、…全く子供らしくない事をいう子供に押し切られ、深夜軍議は早朝会議に強制変更されたのだ。

で、そう変更させた本人が全く軍議の場にやってこない。むしろ起きて来ない。

それでも30分は待ち続け、シュウがぶち切れかけた為―――――――――ついにスケープゴートが捧げられる事となったのだ。

薄情な事に誰もフリックに決まった事に、異義を称えもせず、ついても来なかった…。

(……………せめて起きている事を祈るッ!!)

カナタの部屋に近づくごとに、だんだんとフリックの足はゆっくりした動きになって行く。

「……………(汗)」

理由は簡単で、現同盟軍リーダーであるカナタと解放軍時代のリーダーカイルとが、一緒に寝ている現場…コレ程心臓に悪い場所はない。誰が(カナタ曰く)愛の巣に足を踏み入れたいだろうか?

馬に蹴られて死ぬ羽目になるか、はたまたカナタに殴り殺されるか…

どちらにしても、フリックに明日はない。

…ないが、今起こさないで帰ると、…目も当てられない騒動が会議室で起こるだろう。

――――フリックは意を決した!

「カナタ、入るぞ!!;」

3年前のラストダンジョン並みに決意を固め、フリックはオデッサの名前を唱えながら、ドアを開いた。

 

 

………上半身裸のカイルの姿があった。

 

 

「「「………」」」

 

…慌てたフリックは、ノックをするのを忘れてしまっていたのだ…。

 

(ああ… 終わったな、 ―――オレの人生。

 

 

 

「カイルさんの着替えを覗くなんてッ!幾らフリックさんでも許し難いですよッ!?(怒)」

「カナタッ!!;お風呂とかも一緒なのにどうして…!;」

「お風呂で一緒なのと着替え中を覗くのは全然別物ですよッ!!」

「??;(どう違うのッ!?;)」

「いいから止めてくれーーーーッッ!!;」

ドッカーンガッシャーンと、暴行の音が、平和だったはずの本拠地に響き渡る…。

 

 

結論。

早朝でもなんだろうが、この少年がいる場所に平穏はない。

 

 

 

 

 

 

長くお待たせした上に、こんな内容のない仕上がりになってすみませんでした…(吐血)

どこか修行に旅立とうと思ったりみたり…;(遠い目)