押して押して押しまくれ☆〜押してもダメなら押し倒せ♪〜

 

「カイルさん!!デートしましょうっ!!!!!」

「………あのね、カナタ…」

「ええっっ!?イヤなんですかッ!!!?」

テラスから少年の悲痛な叫び声が上がる。

まあ、いつもの事だ。

「イ、イヤじゃないけど……」

「じゃあOKですねっっ!!!!!」

「…………………」

大分悩んだ末に、結局カイルは首を縦に振った。

言いたい事はあるのだろうが、『何を言っても無駄』というような気がして口を噤んだのだろう…。

カイルが何を言いたかったのかというと―――…

 

「お前らが今やってるのはなんなんだ?」

お人好し―――いや、保護者のフリック氏がかわってツッコミを入れる。―――ちなみに、他のメンバー達は『いつもの事』『言ってもムダ』などの理由でわざわざツッコミを入れるような者はいない。見てみぬ フリだ。

『今やっている事』と、言うのは。

テラスで二人向かい合って並び、一つのジュースにニ本のストロー。あまつさえ、そのジュースにはハート形の果 物がカラフルに浮かんでいたりもした………。

「それはそれ!これはこれですっっ!!!!!本拠地じゃなくて!外でデートしたいんですッ!!!」

きっぱり言い切ると、カナタはグラスをカイルの方にグイ〜ッと押しやる。

勧められ、断る理由と術を持たないカイルは黙ってストローに口をつける。

「えへへv」

カナタは幸せそうな顔をし、自分ももう一方のストローでジュースを飲む………。

もう勝手にやってろという感じだ。

ジュースを飲み終わって、カナタが叫んだ事は………

「さあ!行きましょうっ!!今行きましょうっ♪すぐ行きましょう〜〜〜〜ッッッ☆」

 

 

「♪♪♪」

「………」

手を繋いで歩いているのだが、なにぶん歩くペースが違う。カイルはカナタに引きずられる形になって歩いている。

「楽しいですよねっ!!」

「………うん…。」

妥協案で、二人はグリンヒル周辺の森で散歩デートコースだ。

「カイルさんとデート〜♪カイルさんとデート〜〜〜〜♪♪♪」

カナタは手を振り回し無邪気(嘘)にはしゃいでいる、それを見てカイルも『まあいいか…』みたいな気持ちになっていたが………

 

「カイルさーーーーんッッッッ!!!!!」

「え?」

暫くしてカナタがタックルをかけてきた……

哀しいかな、あまりに急な事だったがために、カイルは反射的にその攻撃(?)をよけてしまっていた。

 

捨て身

見切った

 

―――の、結果。

 

スカッ

ゴンッ!!

 

カナタの腕は空回りし、行き場を失った力は一直線に前に向かう。

鈍い音がして、カナタは木の幹に顔をぶつけズルズルと下にずり落ちていった。

ターゲットに避けられたため、カナタは木と接吻する事になったのだ………

「hh……」

「カナタ…だ、大丈夫?」

「大丈夫じゃないです〜〜〜」

大丈夫じゃないと言いつつも、かなり大丈夫そうだ。

素早く起き上がると、カナタはカイルに抱き着いて叫ぶ

「なんで避けるんですかーーーーッッッ!!!!」

「カナタ………(そんな事言われても…)」

「『デート』と言えば『ちゅう』ッ!!『ちゅう』と言えば『デート』なんですよーーーっっ!?」

いや、それは何か間違った認識だと思うが………。(あっているかもしれないような???)

「カイルさん僕の事キライなんですかーーーーッッッッ!!!!?」

びーびーと泣きながら訴えるカナタ。この少年が本気で泣いているのか泣いていないのかは謎な所だろう……。

「キライじゃないけど………」

「ホントですかッ?!」

ピタッと騒ぐのを止め、カイルの方を見る。

「うん…………」

「じゃあ♪ちゅうしてもいいですよねっっ!!!」

「え…?」

「問答無用です〜〜〜vvv」

 

うっちゅうううううううううぅうぅぅぅぅぅぅううううぅぅっっ!!!!!

 

カナタはカイルの抵抗にも構わずに口を塞いでしまった………。

ド○フ調に言うと、『なんでこ〜なるのっ!』といったかんじだろうか?

まあ、ここから先は『イヤなんですかッ!?』『イヤじゃないけど………』のやりとりが数回程あった事だけを告げよう………………。

 

 

 

「。。。」

「………………カナタ…」

ムチャクチャ上機嫌なカナタ。

くったりとしたカイル。

かなり状態の落差がある二人だ。

そして、なんとなく弱気に頷いてしまった事を後悔するカイルだった…………。

 

 

                        逃終