「リウ・シエン、秘枢たる線刻の書に触れさせて欲しい。」
「は?」


ルオ・タウに真顔でそう言われ、リウは反射的に固まった。

「シロ殿に全ての書に触れておくように言われた。」
「あ、ああ!書な!そうかシロに…;」

新しい書が増え、それに触れる度に書の記憶と知識が増えるとは言え、城に戻った当初は大変な事態になった…。
行方不明になった筈の人間が帰って来た喜びもあり、ほぼ城中の人間に身体を揉みくちゃにされたのだ。
確かにその中にルオ・タウはいなかったと思うし、星の印を持つ者だとわかった時に触れたのもシロの持つ書だった気がする…。

「リウ・シエン、何か不都合があるなら言って欲しいが」
「え、いやいやいや!別に不都合なんてねーよ、触るなら触ってくれ。」
「そうか」

相変わらず真面目だねー(別に嫌いじゃないが)と思いつつも、リウは手を差し出したが――――何故か腰を掴まれた。

「…どわぁあああああ!!!!?;」
「どうした」
「どうしたも何もなんでこここ腰を…!;」
「…触れられて不都合があるならば、最初から外部の視線に触れないようにすべきように思うが。」
「フツーは言われなくても触らねぇよ!!;」
「問題がないならすぐに済む、この後にすぐにシロ殿に同行しなければならない」
「わあ!;ちょっと待てっての…!;あ、そこはダメだ!!;(くすぐったいから)」

そんな風に揉み合いになっていたが…ふと、ドアの方からガチャンと何かが割れる音が聞こえた。
…持って来た花瓶を床に落として割った、レン・リインの姿だ。

「…ご…ごめんなさい、リウ・シエン…わたし、貴方とルオ・タウがそんな関係だなんて知らなくて……」

…いや、そんな関係ってどんな関係?とリウが突っ込む間もなく、レン・リインは踵を返し部屋から駆け去って行く…。

「……………」
「……………」

後に残された二人は、無言で佇むばかりだ。



…逃げていい?(人生から)

 

 

 

 

 

(日記SSより転載。)