―――ある朝、目が覚めてみると、おれは一匹のスライムになっていた。 一体前世でどんな因果を背負えば、こんな単細胞生物になるというのか…。 まあそんな訳で観察していて気がついたこと。
初めは軽く絶望した。………が、悲しいかな単細胞生物は、どうも脳みその容量が小さかったらしく前世が人であっただろうこと以外は全く忘れてしまっていた。
きっと人格を残そうとした結果そうなったに違いない。うん。
初めておれが目覚めた瞬間はパニックを起こした。
全く知らない地面にいて、視界も身体を動かす感覚さえ違っていたのだから。
周りには(うすぼんやりと覚えている)落ちゲーのぷよっとした生き物に似たカラフルな生き物(ただし目はない)が動き回っており、何事かと跳び起きようとしたものの…自分が同じ姿になっていることに気付き、木のウロに数日引きこもった。
…しかし、毎日毎日(おそらくスライム的な生き物なのだろう)仲間の、のんきな動きを見ていると、煤けているのも馬鹿らしくなって開き直った。
おれはおれなのだから、生きて行こう!と。(ザ☆前向き)
1、スライムは非常にカラフル。
ぷよぷよぷるぷると色の洪水が動き回るのは非常に可愛い!
2、おれは水色のスライム。
うにーっと身体を伸ばすと、少々地面が透けていたものの綺麗な水色をしていた。
3、スライムはとても大人しい。
日光浴をしたり、水を飲んだり…思い出したように果実を丸呑みにする様子は仲間ながらもとても可愛い!
4、スライムには目も鼻も口もない。
しかし、どういう理屈なのか視覚はある。360度も見える視界は新鮮なものだ。きっと理屈ではない何かで見ているのだろう。
ちなみに、食事は全身から吸うような感じでとっている。おれは今のところ泉の水オンリー。いずれは果物も食べてみたいと思う。基本は菜食のようで、獣を食べている仲間を見たことはない。
5、スライムは―――狩られるものである。
スライム生活にも慣れた頃、住家に人間達がやってきた。
こうなってから初めて見る人間に、最初は興味津々だったものの―――人間達が剣や杖を振り上げてから、周りの様子が一変した。
人間達が来てもいつもと変わらずぷよぷるしていた仲間が、慌てて逃げ出し始めたのだ。
潰れて砕け散った赤色の仲間を見て茫然としていたおれも、緑色の仲間に押されるように逃げ出した。
ぶちゅんぱちゅんと弾ける音を聞きながら、森の奥へ逃げ込む…。
―――――どうやら、あれはゲームの初期育成のようなもので、スライムは冒険初心者の恰好の餌食らしい。
3分の1程数を減らした群れを見ながら、おれはそう結論を出した。
…どことなく仲間の元気もない。
……………。
おれは思った。
このまま仲間を殺されるままでいるものか!と。
元人間であっても、今のおれはスライムである。仲間(スライム)を守って何が悪い!
水色の身体をプルプルと震わせ、おれは誓った。
―――勇者でもなんでも来い!おれが倒してやる!!(ぷるぷるぷる…!)